637『十尾の人柱力』

今週も遅れてお送りしていますm(_ _)m

1.十尾の人柱力

「オビト…
 お前はオレをよみがえらせるために
 手懐けておいた予備だ。
 今こそ返してもらう。」

マダラに身体を乗っ取られるような感覚に
ひたすら耐えるかのようなオビト。
徐々に体の右側が黒くゼツのようになっていきます。
マダラが幼きオビトの命を救った事実――
その恩をいま無理矢理返してもらうために、
容赦はしません。

「(マダラのチャクラで操られている)」

柱間はその様子を見て、
オビトがいまどんな状況にあるかを見抜きます。

「六道の禁術…。
 輪廻天生というやつか!?」

みるみる生気を帯びていくマダラを見て、
《輪廻天生》だと見抜く柱間。

「少年達よ! お前達が近い。
 今すぐ十尾の上の者の術を止めてくれ!!」

術を完成させてはならないと直感した柱間は
ナルトとサスケにオビトを止めるように向かわせます。

「ちょっ…サスケェ!!」

功を焦るかのように、ナルトより先んじて
オビトへと向かうサスケ。

「…そうか…。そういう事か。」

事態を把握したミナト。

「オビトの側が間に合わぬとふんでの、
 オレ自身への攻撃準備…。
 分かっているハズだ。
 分身ではこのオレを止められぬと。」

柱間が木遁分身を、扉間が影分身をして、
マダラ側を叩こうとします。
しかしそれでは力不足だと分かっているマダラ。

「アオダ。もういい。消えてろ!」

ある程度の距離まで接近したサスケは、
アオダから離れて《須佐能乎》の弓矢を放ちます。
そして追撃として雷遁を携え突進していきます。、
一方でマダラの意志に呑みこまれゆく中、
昔のミナト班での出来事を思い出し始めるオビト。
カカシの隣に立って先に歩みゆくリンを見守りながら、
悲しそうな表情を浮かべて佇んでいると、
ミナトがそっと近づいてきます。

「お前も今のままじゃないはずだよね。
 諦めるな。リン…、大好きなんだろ…?
 オレ達は火影になる――。だろ……オビト。」

あの言葉があったからこそ強くなれた――
なろうと努力した自分がいた――
今ではどうでも良いはずの世界に、
どうでも良いはずの過去の出来事。
それがふと頭を過ります。
そして一人、光のごとく瞬間移動して
誰よりも速くオビトの前に躍り出たミナト。
オビトに致命傷を与えます。

「……お前…だったのか…。」

ミナトはようやく気づきます。
あの時の仮面の男はオビトだったのだと。

「失敗だ…が…まぁいい…」

ミナトの一撃により、
術が止まったのを感じたマダラ。

「飛雷神のマーキングは決して消えない。
 それは教えてなかったね…。オビト…。
 生きていたなら……、
 火影になってほしかった。なぜ…」

《飛雷神の術》――
その瞬身の術のためのマーキング、
それは消えないのだと告げるミナト。
あの時の仮面の男との攻防の中、
不意をついた一撃とともに施したマーキング。
それは偶然にもミナトに
仮面の中の素顔を報せることとなったのです。

「あっけなかったな……。
 後はあの生き返り損ねた
 マダラを封印すればこの戦争も終りだ。
 後、このデカブツもな。」

遅れて駆けつけたサスケがそう言い放ちます。

「何をもって終戦と決めつける。
 …裏切り者の同胞よ。」

地の這うような声で、
サスケに語りかけるオビト。
まだ絶命はしていなかったようです。
急に辺りの雰囲気が変わったのを察知して、
その場を退避するサスケとミナト。
その二人を自分のチャクラの保護下に加えるナルト。

「マダラに操られてるのを振りはらって、
 こいつは最初からずっとこれになる為に、
 印を結んでた…!!
 十尾の――人柱力だってばよ!!!」

そうマダラに操られて《輪廻天生》の印を結んだのでなく、
十尾の人柱力となるための印をオビトは結んでいたのです。