673『オレらで…!!』

1.オレらで(1)

「(点穴のチャクラが消えない?
  …どういう事だ?
  いったい何をした!?
  八門の最後を止めたとでもいうのか…!?)」

ガイの八門のうち最後の門である死門から
チャクラが吹き出し終えたことを確認したマダラ。
その死門からチャクラが漏れ出ず、留まっているのは、
ナルトが何かをしたからでしょう。
蹴り返されてきた求道玉を棒状に変化させ、
ナルトからの急襲をどうにか防ぎ切りますが、
ダメージは大きいようです。

「(まだ回復が完全ではない……からか!?
  イヤ…!
  こいつの力が急に伸びている!?)」

地を這いつくばっている自身が信じられない、
といった様子のマダラ。
ガイとの戦いでダメージがあるとはいえ、
こうも簡単に自分がやられてしまうわけはない――
ナルトの力が先ほどまでとは、
まるで次元が異なることを肌で感じます。

「孫! チャクラを貸してくれってばよ!!」

四尾・孫悟空の力を借りて《仙法・熔遁螺旋手裏剣》を
完成させたナルト。
尾獣たちのチャクラをもつナルトは、
もはやすべての血継限界に通じたということでしょう。
さすがにこの術の規模にはマダラも肝を冷やします。
輪廻眼の特殊な術《輪墓》を使って、
ナルトを止めようとしますが、
何かを感知したナルトがさっと身を翻します。

「何!? 輪墓を…かわした!!?」

絶対不可避の《輪墓》を避けられたことに、
マダラも目を丸くします。

「よし!!」

仙術しかも熔遁の螺旋手裏剣を直撃させたナルト。
マダラとはいえこの大技を受けて無事ではすまないでしょう。
必死に六道チャクラを展開させ、防御に入りますが、
螺旋手裏剣の勢いを止めるまでには至りません。
そのまま神樹の幹の中を突き進んでいきます。
炭素線が突き進んだ最奥でエネルギーを一気に解放するが如く、
螺旋手裏剣もまた一気にそのエネルギーを爆発させます。
それは神樹の幹を切り倒すほどのパワー。

「ワレヲトリコメ
 シンジュヲ…
 ジュウビヲスベテトリコメ…」

十尾もこのままではまずいと感じたのか、
マダラに自らを取り込むように提案してきます。

「ナルトが…やったのか!?」

神樹が倒れる様を見て、
我愛羅をはじめ、一同がナルトの力に驚愕します。

「ゲキマユ先生なら大丈夫だ!
 もう死んだりなんかしねェーよ!」

瀕死のガイを背負って、その場を離れるナルト。

「ナルトくんがガイ先生を…!?
 八門を全て開いたハズなのに!?」

リーも八門を全て開放してなお
ナルトのお陰でなんとか無事であったガイに安堵。

「うん…何か色々できそうな気がすんだ。
 …今のオレってば…。」

自分の掌に刻まれた太陽の紋を見ながら、
ナルトは自らに納得するかのような表情を見せます。

「飛べるか、二代目?」

扉間のもとに現れたのはサスケ。

「マダラのこの棒に触れても平気とは…。
 …こやつ。死にかけている間に何があったと…。」

扉間を突き刺す黒きチャクラの棒を
何事もないかのように引き抜く様を見て、
サスケが何らかの力を覚醒したことを感じます。

「そういう事か…。」

棒が外れ、周囲を大きく見渡せるようになって、
サスケが何をしたいのか理解します。

「ああ…。
 四代目のマーキングとリンクさせておいたからな…。
 しかしだ…。悪いが今の力で飛ばせるのは、
 一人だけだ。」

扉間の言葉に頷くサスケ。

「十分だ…。
 オレが行くだけでいい。」

マダラとの戦いに覚悟はできています。

2.オレらで(2)

一方のマダラは倒れてきた巨木を一気に吸収し、
まるで樹が一瞬で消えたかのようです。

「そうか…。
 神樹そのものが……。
 ハハハ。全てを一つにする時が来た。」

力が漲り、ほくそ笑むかのようにマダラは言います。

「ゲジマユと我愛羅はガイ先生を守ってくれ。」

仲間のもとにかけつけたナルトは、
ガイをみんなに託します。

「ナルト…。
 …お前が火影ににったら、一緒に杯をかわそう。」

と声をかける我愛羅に、
ナルトは微笑んで、

「オウ!」

力強く返事します。
ナルトが回復した姿を見て、
オビトが何をしたのか悟ったカカシ。
さて、そのオビトはいまはサクラの前にいます。

「アナタは敵…。
 仲間をいっぱい傷つけ殺した…。
 だから本当はこんな事言いたくはないけど、
 この一回だけは味方として特別…
 ナルトを助けてくれてありがとう。」

とオビトに礼を言うサクラ。

「……。最後に頼みたい事がある。
 味方でなくていい…。
 敵としてだ。」

礼を言われる筋合いはない――
しかしこの事態を引き起こしたことに
責任をとれるとしたら、頼みがある、と。

再び場面はナルト対マダラ。

「大じいちゃん仙人に会って、
 力をもらったからかな?
 こっからでもハッキリ感じる。
 大じいちゃんの片方の力を…。」

神樹の根元に突き刺さる父のクナイを手に、
マダラを睨みます。

「御前ではオレを倒せん。
 オレは言わば完全なる不死…。
 永久を手にしたのだ。」

そんなマダラに不敵に笑って見せるナルト。

「バーカ!!
 オレがお前を倒すんじゃねェ…。
 オレらで倒すんだってばよ!!」

もう一つ分けられた六道仙人の力。
ナルトと肩を並べ、マダラを見据えます。

「お前をな…マダラ。」

その左眼には輪廻眼が。
ナルトもチャクラの衣に包まれ、
マダラを討つ態勢は整っています。

「六道仙術を開花し…
 片や輪廻眼を開眼したか。
 …だがな…、オレはその2つの力を
 両方併せ持つ存在だ!
 これが最後の闘いだ!
 オレの力とお前らの力…
 どっちが上か決着をつけてくれよう!!!」