641『君らがメインだ!!』

遅れておりますm(_ _)m

1.君らがメインだ!!(1)

ミナトに付随してきたオビトのチャクラ球。
いまにも爆発するかのように強烈な閃光を放ち始めます。
サスケがナルトを庇うように須佐能乎の衣を展開する中、

「オレごと飛ぶしかない!」

ミナトは爆発ごと飛雷神にて瞬間移動しようと決意し、
その高エネルギー体に手を伸ばしかけた刹那、
ふっと何者かが現れ、目の前の危険物を瞬く間に
持ち去っていってしまうのでした。

「早めに返してやる」

それは二代目火影・扉間。
彼もまた《飛雷神の術》の使い手でした。
オビトにチャクラ球を付け返すのです。
それと同時に辺りを包みこむように
黒い爆発が起こります。

「安心しろ…。分身を飛ばしただけだ。
 …前の接触時、奴の体に――
 マーキングしておいたのだ。」

ミナト、ナルト、サスケの前に再び姿を現した扉間。
種明かしをします。

「すげェ!! 父ちゃんのマネできんのか!
 二代目の顔岩のオッチャンも!!」

とナルト。

「四代目がワシのマネをしとるのだ。
 それにそこは二代目様でいい!」

と扉間が言います。
《飛雷神の術》――
考案者が扉間かは定かではありませんが、
兄・柱間に負けず劣らず、
そこは火影を務めあげた男。
忍術への鬼才ぶりを垣間見るところです。

一方、その兄・柱間はというと、

「邪魔をするな。マダラ!!」

木龍を駆り、全力でマダラを倒そうとかかります。

「時間が無いが、
 こうなってはやらねばならない事がある。」

そう言って山ほどに達するまで
須佐能乎を全開にし受けて立ちます。

「…もう少し、お前をいただく。」

マダラの意味深な言葉を把握できない柱間。
一方周囲はその神懸かった忍術の規模の凄さに
ただただ圧倒されるばかりです。

「確かにオレ達が行っても、
 邪魔になるだけかもしれん……」

日々が生死をかけた戦いの環境にあった戦国の時代の忍と、
現在の忍――その歴然たる差を垣間見たことでしょう。
連合軍の忍はとりあえず柱間とマダラの戦いを
見守ることを決めたようです。

「小さな力でも……要は使い様だ。
 役に立たねーかもしれねーが、
 役に立つ時が来るかもわからねぇ…。
 目を離さずしっかり見るんだ…。
 その時があるなら…、
 その力が世界を左右する事になる。
 なら――、オレ達が気を抜いていい時なんて
 一瞬たりともねーはずだ!!」

そんな気の抜けた忍たちに警鐘を鳴らすように
いのを通して皆に呼び掛けるシカマル。
自分たちの現在ある世界がなくなるかもしれない――
その世界の危機にただ黙って傍観しているだけでいいのか、と。
何もできない、ではない。
何かできるかもしれない。
この状況においては、
それが世界を大いに変えうるのです。
一人の一つの選択に大きな重みがある。

「シカマル。お前ならいい火影になれる……」

改めてシカマルの冷静さに舌を巻くテマリ。

「人の心を変える事…
 それは五影の必要条件みたいなもんだからな。」

人を束ねる存在は、
それらの心を一つにまとめ上げることができないといけない。
気が抜けそうになった連合軍に
喝を入れる事に成功したシカマルはまさにその器だと。

2.君らがメインだ!!(2)

「ガードされていたか……。速いな。
 ただ術を出しただけでは当たらんぞ。」

扉間の神速の奇襲攻撃も、
どうやらオビトは無効化してしまったようです。
オビトを包む高エネルギーのチャクラを
球状や衣状に形態変化させ、
ミナトたちを見据えるオビト。

「やはり螺旋超輪舞吼参式で…、
 オレがスキを作るしかありませんね…」

とミナト。

「お前…少しばかり天然だの……。
 普段ならお前の術名にツボるところだが…、
 奴の前では笑えんぞ…」

と扉間はより冷静な視点で
ミナトをやや叱咤するように話します。
《螺旋超輪舞吼参式》――
何度も不発に終わっているので
その術の実態はまだ見えませんが、
ミナトがこの事態に陥っても陽動に使えると踏むくらい
彼が自信をもつ大技なのでしょう。
ともあれ、傍から見れば、
術名だけが先行して、滑稽だというのも納得できます。
ミナトが二の足を踏んでいる間に、
サスケとナルトが攻め込みます。

「サスケくん! ナルト!!
 オレがスキを作るって言ったでしょ!」

しかしミナトの言葉ももう遅い。
彼らは走り出しています。

「オレがスキを作る!」

天照を仕掛けたサスケ。

「イヤ! オレ達でだ!
 メインは父ちゃん達にまかせる!!」

ナルトが続くような形で出ます。
膠着状態はまずいと考えたのでしょう――
もはやこうなれば一気呵成しかありません。

「チャクラを左目に溜めていたのはバレてる…。
 不意打ちにはならんぞ。」

天照の炎も涼しい風かのように、
掻き消してしまったオビト。
こちらに向かってくる二人を
返り討ちにする手筈を考える時間もあるくらいです。

「行くぞ…四代目。」

扉間の言葉に、

「まったくもう!」

ミナトも渋々頷きます。
早くしなければ、
彼らの返り討ちは目に見えています。

「分身での飛雷神ではやはり遅い…。
 ワシら二人で飛雷神回しをやるぞ。
 お前もマーキングをワシに付けておけ。」

と扉間。《飛雷神回し》――
《飛雷神の術》の応用といったところでしょうか。

「ナルト。今度はオレが写輪眼で
 お前のチャクラ比に合わせる。」

サスケ主導での攻撃に、
少し呆れ気味の様子のナルト。

「ンとに負けず嫌いだってばよ。
 コイツも!」

しかし四の五の言っている状況ではありません。
すぐさま《風遁・螺旋手裏剣》と《炎遁・加具土命》によって
黒炎の螺旋手裏剣が完成します。

「挟む気か…」

オビトの後ろに回り込んだ扉間。
一方でサスケとナルトの突進に割り込み、
わざと彼らの攻撃を受けるミナト。

「(君らがメインだ)」

さすがのナルトとサスケも、
その予想外の事態に驚きますが、
すぐさまそれが虚をついたものだと分かります。
《飛雷神互瞬回しの術》――
互いが互いの場所に《飛雷神の術》で瞬間移動することで、
予想を超えた一瞬で間合いを詰める攻撃。

「名付けて灼遁・光輪疾風……
 とにかくそのままいけェ!!」

ミナトと扉間の連携によって、
ナルトとサスケの攻撃は
オビトが反応するまえに当たります。
黒い炎が螺旋手裏剣の風を受けて
オビトを包み込みながら激しく燃え上がります。
成功。ナルトもサスケも安堵の笑みがこぼれます――