遅れてお送りしておりますm(_ _)m

640『やっとだよ』

1.やっとだよ

ミナトの虚をつき、サスケとナルトを
その手に捉えたオビト。
ミナトは飛雷神の術で二人の元へ引き返そうとしますが、
オビトへのこした飛雷神のマーキングが
消えていることに気付いたミナト。
絶体絶命――
そのとき、ナルトが纏う九尾のチャクラから伸ばされた手が、
ミナトに触れていることに気付きます。
同時にサスケも掴んでいます。

「オレ自身かオレのチャクラが間接的にでも
 触れていなければ飛ばせない…」

とミナトが伝えていたことを、
ナルトはよく理解していたようです。

「ウチの子もサスケくんに負けてないかな…」

少し父親としての感傷に浸りそうになりながらも、
なんとか危機を脱することができた三人。
いったん仕切り直して、
異形の者となった姿のオビトを眺めます。

「体をうまく扱えてない。
 今のうちにやらないと…!」

みるみる膨れ上がっていくオビトの身体。
どうやら十尾をうまく制御できていないように感じます。
不意に放たれた尾獣玉のようなチャクラ塊が、
自身ごと辺り一帯を覆いつくします。

「父ちゃんの分身狙ったのか?」

一見、不発にも見えるその攻撃。

「…イヤ!
 どうもそんな感じじゃなかった!」

目を凝らす一行。

「自分の技を喰らってやがる。」

サスケの言う通り、
自らが作り出した尾獣玉を自らに放ったようです。

「攻撃はハズれたんだ!
 大きすぎる十尾の力に、
 オビトの意識がどうにかへばり付いているだけで、
 まるでコントロールできていない!」

と見切ったミナト。
今度こそ、こちらも不発だった《螺旋閃光超輪舞吼参式》の出番。

「スキを作るからカンパツ入れずに
 お前達のコンビ技をたたき込むんだよ!」

ミナトは自ら陽動をかってでます。

「…リン……」

そのときオビトからかすかに呻き声とともに、
何かの言葉が発せられたのを感じました。
リンと言っているようです。

「もちろんオレは火影になんぜ。
 そしたら…女にかまけてる時間なんかねーんだよ!
 だろ? 先生。」

カカシの横を楽しそうに並んで歩いていくリンを
寂しそうに見つめるオビトの肩をたたいたミナト。
あの時オビトは確かにそう言って、
精一杯の笑顔を見せてくれました。
その時の事を思い出して、
ミナトはいまこの手で再び、
教え子に手をかけることを覚悟します。
"自分"という意識がどこかへ行ってしまいそうになるほど
引き裂かれるような苦痛。
忘れたくて忘れたくはないリンへの想い――
カカシ、ミナトとの思い出――
それらがオビトを巡ったそのとき、
ついに異形の変化は決着を迎えます。

「やっとだよ…先生…。」

現れたオビトは六道仙人を思い起こさせるような姿をしています。
十尾が不完全に融合したかのような人型ですが、
どこか神々しさに満ちています。
後光を表すかのような黒き球体。そして錫杖。
ミナトをあっと言う間に返り討ちにします。

「やられはしたけど大丈夫!
 飛雷神で飛んだから。」

一旦、飛雷神の術で間合いを取るため、
ナルトやサスケのところまで戻ったミナトですが、

「どうかな?」

オビトはそのミナトに黒き球体を一つつけていました。
それがナルトたちのところで爆ぜます。