540 『マダラの作戦』

1.マダラの作戦(1)

サクラにフラれ、落胆して帰っていく忍。
サクラもサスケのことを思い出し肩を落とします。
入れ替わりにネジがサクラのもとにやってきます。

「落ち込むのも無理はない。
 目に見えない敵がどこに潜伏してるのか、
 分からないからな。」

サクラの肩を叩き、そう語りかけるネジ。
今の一部始終を見ていなかったためなのか、
サクラの心中を察することができなかったためか、
的が外れたようなことを言うので、
一瞬だけサクラが考え込みます。

「………。
 そうね…気を付けなきゃね…。」

医療隊の忍者が何者かに暗殺されている状況。
サクラはネジの言わんとすることを、
察したようにそう呟きます。


夜更け。
どこか神社の境内のような場所。
狛犬のようなものの上にイタチと長門がいます。

「どういう事だ?
 術者はなぜこうまでして、
 敵とオレ達の接触を避ける…?
 お前の幻術も使わないつもりか?」

穢土転生の術を操る術者が、
自分たちを戦場から敢えて遠ざけていることに
疑念を抱きつつも、状況を冷静に判断します。

「夜は睨み合いの続く静かなる戦争…。
 マダラにはオレ達を動かして静寂を破る前に、
 何らかの手があるのだろう。」

――とイタチ。

この穢土転生はマダラが新しく組んだ輩の術だ…。
 マダラ自身の作戦が前もってあった…。
 そういう事だな。」

長門はマダラ(トビ)が穢土転生を
使ってるわけでないことに気が付いています。
しかし、それが何者かは知らない様子。
つまりその"術者"がトビと組みつつも、
牽制しあっているというところまでは考えが及ばないでしょう。
カブトはこの二人を意図的にトビから遠ざけている、
そんなような気がします。

「だろうな…」

長門の考察にイタチは頷きますが、
何か他に考えているかのようにも見えます。

「本当に、医療忍者部隊の所へ行かなくて
 大丈夫なのか?」

負傷して横たわるネジ。

「しつこいぞ、キバ!
 オレは大丈夫だと言ってるだろ!」

どうやら本物のネジは、
医療忍者のところには行っていないようです。
ではチャクラ検閲で"本物"と判定されたネジとは
いったい何者だったのか…
ネジが負傷したので、
ヒナタがネジの分も白眼での監視を頑張っています。

「…シノくん。心配してくれてありがとう…。
 でも…私も頑張りたいの…!
 この戦いはナルト君を守る戦争!
 絶対に負けられないもの!!!!」

2.マダラの作戦(2)

サクラのもとに現れたネジは会話を続けます。

「ところでサクラ。
 シズネ隊長は、今どこに居る?」

それとなく隊長であるシズネの情報を窺います。
些細なことでも報告しておきたいというネジに、
サクラも頷きます。

「うん……Bの2番テントに居ると思う。
 今、シズネ先輩はトントンを診てる…。
 足をひどく、くじいちゃったみたいで…」

と言うサクラに、ネジは、

「……手をケガするよりはマシだがな。
 戦場へは戻れそうなのか?」

と返します。
ハッとするサクラ。
トントンはシズネの飼い豚。
まるでそれが人間のような解釈をしているこのネジは、
何か不自然だと――

「…そうね…。
 手をケガした訳じゃないから、印を結べるし!」

と相槌を打ってみます。

「そうか…よかった…。」

と普通に会話を流したところから、
サクラは確信します。
このネジはニセモノであると。
腕の傷が痛むのでもう一度診て欲しいと言うこの偽ネジに、
警戒していることを悟られぬように、
自然と接するサクラ。
偽ネジがクナイを取り出し、
不意の攻撃を繰り出そうとするも、
すでに正体を見抜いていたサクラは
容赦なく鉄拳制裁を加えます。

このネジは白ゼツが変化したものでした。
サクラはヤマトのレポートにあった記述から、
すぐにネジのチャクラを取り込んで
うまく化けていたことを見抜きます。
大きな物音で駆けつけた忍たちに白ゼツを任せ、
本部へ連絡を急ぎます。

忍連合本部。
雷影と火影の代わりに
シカクが代理で指揮をとっているところへ、
闇討ちを受けているという報告があがります。

「…どういう事だ!?
 夜襲の動きはなかったハズだ!
 それに防壁を張り、感知タイプを置いていて、
 何で敵が見つけられない!?
 毒か何かか? 死体の状態は…?」

何も敵の気配を感知できぬまま、
つぎつぎと仲間が倒れていく不可解な状況に
シカクは頭を悩ませています。
直接的な外傷が死因となっていることから、
幻術で操られた同士討ちの線が濃厚と判断しかけます。

「! 待て!
 医療部隊から連絡だ!
 敵の…正体は…白いゼツが、
 連合の忍に変化している模様。
 チャクラまで真似る術を使うようだ!

 どうやら昼間の戦いで
 そいつにチャクラを吸い取られた忍は、
 そっくりに変化されてしまう!」

そのとき、ちょうどサクラからの情報が本部へ。
昼間の戦いは、このための布石。
完全変化による白ゼツの暗躍こそが、
トビの作戦だったようです。
何か対策を考えなければいけない――
シカクはこの焦燥感を必死で押し殺し、
冷静になるように心がけ最良の策を練ろうとします。


戦場へ向うビーとナルトの前には、
雷影エーと綱手が立ちはだかります。
ノーブラザーと言おうとして
ノーブラジャと言ってしまったことを

「ビィィ――!!!
 ワシを前にして火影の胸元を見とるとは何事だァ!!!」

と雷影に咎められるビー。

「イヤ…! ノー! ブラザー!
 を噛んだだけびっくり♪
 でも火影の胸は確かにビッグだ♪」

と冷静に訂正し、
しかも韻までフんで返すとは流石です。

「お前らを止めに来た!!
 これ以上先へは行かせん!!」