539 『血の夜』

すみません。
遅くなりました…
なかなか月曜更新できませんね。

1.血の夜(1)

「フン…あの、ちんちくりんが、
 ずいぶんと盾突くようになったじゃねーか。」

ナルトが生まれたときから、
その中にいてナルトを見てきた九尾。
いかにも老獪な口調をやめて、
ナルトを"ちんちくりん"と表現します。

「なあ九尾……オレはな、
 いつかおめーの中の憎しみも、
 どうにかしてやりてーと思ってる!!!」

そういって満面の笑顔を見せるナルト。

「…オレをさんざん苦しめたお前だけど…、
 憎しみにふり回されんのが
 いい気がしねーのはオレも知ってっから!」

九尾の人柱力として、
暗澹たる時期を過ごしたこともあったナルト。
九尾を恨んだこともあったし、
その九尾を宿すナルトが恨まれることになるのも、
――いまのナルトには理解できるのだと思います。
自分が歩んできた道を、そうやって振り返って、
結局ぶつかりあっていた九尾に対しても、
そのような気持ちになれるのです。
相手を理解する、理解しようとする――
それは憎しみをどうにかするために、必要なこと。
一歩歩み寄っていくその姿勢に、
九尾は弱いところを突かれたかのように、
いきなり声を荒げます。

「お前はバカか!?
 ワシは九尾だぞ!!
 ちんちくりんにどうこうされるほど
 落ちぶれちゃいねーし、
 ワシは憎しみの塊だ!!

自らを"憎しみの塊"として、
敢えてナルトに歩み寄らせまいと威嚇する九尾。
ちんちくりん、すなわちチビと表現しているように、
九尾にはナルトの成長を認めたくないと思う気持ちと、
逆にナルトが成長し自分をも超えようとしていることへの
驚嘆というか素直に認めてしまう気持ち――が、
そこかしこに見え隠れしています。

「ならOKだ!
 オレはちんちくりんじゃねーし!
 そっちの方がやりがいがある!
 じゃあな。」

そういって背を向けるナルトを、
九尾はどう見て良いのかわからないような
困惑した顔つきで見やります。

2.血の夜(2)

「アンタどこまで"暁"の事を知ってた?」

イタチは肩を借して夜道を長門とともに進みます。
長門の問いかけにイタチは、

「お前よりは知ってたつもりだが…」

と答えます。
暁のリーダーであり中枢であったペイン、長門よりも、
イタチが知っている"暁の真実"とは、
トビのことを指すのでしょう。

「フッ…結局オレもアンタも人に利用された忍だ…。
 …お互い持っているこの強すぎる瞳力のおかげでな…。
 今回も…術者に後回しで動かされてる。」

長門は自分の輪廻眼、そしてイタチの万華鏡写輪眼という
類まれな力をもつがゆえに、
上手につけこまれ利用されるような
また穢土転生の術で死してなお無理矢理動かされる身の上に、
歯がゆさを感じているかのように語ります。

「ペイン…お前の六道の力・輪廻眼と、
 オレの万華鏡写輪眼…。
 この二つの瞳力さえあれば、
 ほぼ何でもできると言っていい…。
 術者の奴はこのタイミングで、
 オレの幻術の力を利用するつもりだ。」

とイタチ。
満月が辺りを照らす不気味な夜です。

「イタチ…。
 確かにお前は"暁"において、
 闇の中の忍だったからな。」

長門は言います。
この闇夜でこそ、イタチの真価を発揮できる、
絶好の環境であるという意味なのでしょうか。


医療部隊は戦場から帰ってきた怪我人の治療で、大童という様子。
キバのススメもあってネジがサクラのもとに顔を出します。
時を同じくして医療上忍たちの何人かが、
何者かに襲撃され暗殺されます。

「変化の術程度では当然無理…。
 …連合の忍でなければ入れないのは確実…。
 …とするとその連合の忍が
 術で操られてる可能性も高いわね…。
 相当の術よ。」

医療部の本部に入るには、
チャクラで徹底的な本人確認がなされるので、
まずもって侵入する余地はない――
と考えられることからサクラは考察します。

「なるほど…。
 連合の忍しかここにいないという事になれば、
 見分けるのは難しい。誰が犯人か分からない………
 …今もこうして皆立っているが…。
 隣の奴が犯人かもしれない…
 という疑念が互いの不信を生み、混乱を生む事になる。
 それが敵の狙い…。」

とネジは分析。

「医療忍者は今や戦術を成すための要。
 穢土転生の不死を相手にするには、
 私達のバックアップ無しでは考えられない。」

と医療忍者の女性。

「こんな事でここが麻痺したら、
 夜明けの開戦で不利になる。」

と初老の医療忍者も口をそろえます。

「…オレが犯人を見つけ出してやる。
 この眼にかけて!」

とネジは意気込みます。


サクラのテントを窺っていた怪しい影。
サクラが一人になるや、中に入っていきます。
暴漢かと思われますが、

「次…戦争へ出て生きて帰ってくる保証はありません…。
 だから……」

実はただサクラにラブレターを渡しにきた忍のようです。
サクラに介抱され、惚れてしまったのでした。
しかしサクラは手紙を受け取り、
ありがとうと礼を述べるものの、
好きな人がいると告げ、その忍にやんわりと断りを告げます。
一方で怪しい人影を見たといって、
医療上忍たちのテントに入ってきたネジ。
サクラを探しにきた様子を装って、
実はネジ自信が食わせ物だったようです。
医療上忍たちを倒し笑みを浮かべるネジ。
どこか様子がおかしいですね…