525 『影、復活』

1.影、復活(1)

「…動きが止まった…。
 チャクラも姿も無い“無人”と恐れられた
 二代目土影が感知されたようだね…。
 そろそろ戦場が育ってくる。…ここからが本番。
 …口寄せの後は自由にやらせてみるか…。」

とカブト。戦場が育つ――とはどういう意味なのでしょうか。
二代目土影・無は自分の意志と無関係に口寄せの術を使わされます。
三代目雷影、二代目水影、四代目風影が登場します。

「これはこれは…。かつての仇同士が揃って…
 イヤ…こいつは知らないな。」

二代目土影、三代目雷影、四代目風影の姿を見て、二代目水影は言います。

「これは二代目火影の卑劣な術だ。
 死者を黄泉から寄んで縛る…。
 お前らをここへ無理矢理口寄せさせられた。」

と二代目土影。しかし、事態が呑み込めてない二代目水影は、
自分がとうの昔に死者となっていたことがすぐには分かりませんでした。
二代目土影と二代目水影は相討ちでともに斃れていたようです。
しかし、術者と思われる二代目火影の姿はどこにも見とめられず、
二代目土影は数キロメートル先に四代目風影と似たチャクラを
大軍とともに感じる現在の状況を不可解に思っている様子。

「きさまは確か…」

と三代目雷影は四代目風影の方を見て、見覚えのある素振りを見せます。
穢土転生の術は死者の往生の年齢を反映している様子です。
二代目の土影、水影が若き日の三代目雷影を知っているように、
三代目雷影もまた若き日の四代目風影を知っているのでしょう。

「オレは四代目風影…。
 アンタ達の武勇伝は先代から聞いている。
 オレ達の世代で二代目火影はとっくに死んでた。
 …しかし、この術、穢土転生を後に使えた忍がいた。…大蛇丸だ。」

と四代目風影は、二代目土影の疑問に、
ひとつの答えを見出すことを口にします。

彼らの様子を砂の目玉から監視する我愛羅

「(4人…内一人は……)父さまか…」

一人が父親であることに複雑な思いを抱いていることでしょう。
後ろに控える隊に指示を出します。

「本部でも感知できねェような奴がいんだろう?
 まあ…強えー奴しか生き返らせねーだろーからよ…、そりゃ。」

本部の感知部隊からの連絡がないのに、
敵の姿があるということを不審がるテマリに、シカマルはそう答えます。
チョウジはその話を聞いてまだ見ぬ敵に少し怯えている様子。
この情報はすぐに本部へと伝令されます。
その一報を聞き取った首脳陣。

「オヤジまで…!! えーい! “暁”めェ!」

三代目雷影は四代目雷影エーの父親のようで、
エーも居ても立ってもいられない様子です。
青は多勢の穢土転生組が日向ヒアシ、秋道チョウザ、テンテンらのいる
ダルイ第一部隊に押しかけていることを感知しました。
敵軍の中には“暁”の角都をはじめ、
木ノ葉精鋭のアスマ、ダン、ヒアシ、

「それに何だ? この二人は!?
 九尾のチャクラを帯びてるぞ! すごいチャクラだ!」

九尾のチャクラを帯びているという雲隠れの金角、銀角兄弟もいます。

「えーーーい!! 間違いない。
 雲の金銀兄弟だ!!
 どちらにしてもこうなってはワシが出るしかない!!」

身内にいれば頼もしい味方。しかし敵に回れば強敵。
雲隠れのかつての精鋭たちに雷影も焦ります。
金角、銀角の謎については後日書くことにして*1

「待ってください! 雷影様は忍連合軍最高総対象!
 総大将は戦闘の最終段階まで無事でいて指揮し続けなければならない!
 それが部下に対する責任です。」

と逸る雷影をシカクは堰き止めます。

2.影、復活(2)

「戦闘状況は生き物と同じ。刻一刻と変化してる。
 それを見極めるためにオレがここに居る!」

シカクによればミフネ第五部隊を増援部隊として帯状に配置し、
ダルイ第1部隊に向かわせながら、
黄ツチ第2部隊の敵の後ろ側をとるようにして包囲網をつくります。
そして黄ツチ第2部隊は、ゆっくりとダルイ第1部隊の方へ移動し合流。
ダルイ隊の敵(A)を挟み撃ちにしつつ、ミフネ隊を使って後方の防御も固めます。
一方で我愛羅第4部隊はくの字型に折れながら、
敵を誘い込むように後退し、このうち上半分はダルイ隊へ合流。
ダルイ隊の敵を殲滅し、ダルイ隊は我愛羅隊の敵(B)を挟み撃ちするように合流。
これを殲滅するという作戦です。

「なぜAからだ?
 それに我愛羅第4部隊を半分にすれば、
 Bの敵がそれを機に攻め込んで来る場合もある。」

と雷影。シカクは次のように説明します。

「Aの戦場には第2・第5部隊が近く早く行動できます。
 それに敵を知っている黄ツチ第2部隊が、
 白い奴を後方から攻める事ができ、効果が期待できます。
 そして……Bの敵は攻め込みきれない…。
 急にこちらの隊が半分になれば敵は何かあるとみて
 うかつに深追いできない。
 しかし攻め込んで来たとしても、
 我愛羅第4部隊は戦闘遠距離部隊。
 遠距離攻撃を得意とし近接戦闘に持ち込むまでは時間がかけられる。
 つまり時間稼ぎになります。どうします総大将?」

つまり我愛羅隊の敵(B)は、強敵とはいえその絶対数は少なく、
我愛羅隊が遠距離を専門とするゆえに、
半分でも増援が来るまでひきつけられると踏んでの作戦です。

「………木ノ葉をなかなか落とせなかった訳だ。
 いい忍が居るな、綱手。」

と参謀のシカクの頭の良さに感嘆する雷影。

「褒めんのは戦争が終わってからにしな!
 で…どうすんだ!?」

綱手に後を押されるまでもなく、雷影はすでに決めていた様子。

「よし…やってみろ!」

シカクの作戦命令はいのいちを通じて各隊へ伝えられます。

「よーし…。久しぶりに猪鹿蝶といきますか。」

猪鹿蝶――おそらくは、
シカクの作戦、いのいちの伝令、そしてチョウザの遂行という意味でしょう。
木ノ葉の精鋭の戦いぶりを表すような言葉です。

「お前の作戦を完ペキにするには、
 少々手を加えねばならん事がある。」

そこへ土影が口を挟みます。

「二代目土影はただの忍ではない。
 …両天秤のじじいでなければ止められん…。」

綱手も苦言を呈します。

「………どんな忍なんです?」

木ノ葉の忍。しかも、随分と世代が離れているためか、
シカクは二代目土影の恐ろしさをあまり知らないよう。

「血継限界のさらに上、“血継淘汰”と呼ばれる忍だ。」

と雷影。

「血継淘汰…!
 それは三代目土影あなただけの事とばかり…!
 まさか二代目まで!」

シカクは血継淘汰という言葉とその能力は知っている様子。
三代目土影オオノキ。彼もその血継淘汰の忍でした。
重たい腰を上げ、オオノキは説明をはじめます。

「風土火の性質。三つを一度に合わせる事のできる…
 塵遁をワシに教えてくれたかつての師じゃぜ。」

血継限界はその特殊性ゆえに、一族一族の秘伝であり、
易々と盗んだりするのは不可能と、
コピー忍者のカカシでさえお手上げでした。
しかし、編み出されたからこそ、それぞれの術があるわけで、
その源流、すなわち考案者は確実にいるわけです。
――そして、2つの基本性質を混ぜるのも不可能に近いのに
さらに不可能と思われる神がかり的な、
3つの性質を混ぜることができる血継淘汰といわれるもの。
しかも、それをオオノキに“教えた”とされる二代目土影。
オオノキの口調からして二代目は血縁者ではなさそうですし、
オオノキのこの話によって血継限界や血継淘汰も
血継でなくても可能ということなんでしょう。
このあたりのことも後日改めて考察します。


各国の大名達が匿われた所。
黒ゼツが密かに彼らを狙っていますが――。