558 『カブトの切り札』

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10月10日、ナルトの誕生日に更新します。
カウンターは絵柄が元サイトからなくなってしまったようですが、
元サイトは生きていておよそ193万ほどでした。多謝m(_ _)m
近々、他所のカウンタに乗り換える予定です。
昨今更新が遅れ気味で、
相変わらず荒削りの拙いブログですが、
これまで来訪してくださった方々に
改めて厚く御礼申し上げるとともに、
これからもよろしくお願いしたします。
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扉絵にはグリフォンかと思われる薙刀を構えた鷹と、
相対するように矛を構え鎧に身を包んだ武者姿の蛙。
それぞれその上にサスケとナルトが乗り睨みあっています。

1.カブトの切り札(1)

「…ここまで劣勢に立たされるとはね…。
 ……しかし余計なことを言われる前に、
 奴の分身が封印されて助かったが……」

四代目風影や三代目雷影、二代目水影がやられた戦況を
顧みるように独りカブトはそう呟きます。

「(ナルトのあの力…。
  穢土転生の体とはいえ…再生に時間がかかるな。)」

カブトが指し示しているのは、
封印されたかに思われた二代目土影・無。
実際封印されたのは彼の分身体だったのです。

「甘いなオオノキ…。オレの弟子たる者が……。
 オレの分裂を見過ごすとは…。」

惑星螺旋丸を喰らい凄まじい衝撃とともに
吹き飛ばされ岩に叩きつけられた無。
そのときクローンをつくり、片方が封印されたのです。

「(確か無のこの術…。
  分身ではなく分裂だったな…。
  本体が半分に分かれるだけだから、
  印無しで分裂スピードは速いが…、
  力は半分になる…。)」

とカブトの分析にあるように、
影分身の術などと違って"分裂"というわけで、
自分の複製を短時間につくりあげてしまうわけです。
もはや人間技じゃないほどの無の技…さながらプラナリアのようです。
弟子であったオオノキはこの特異な能力を看過、
最期の瞬間忠告を与えようとした無の言葉も届かなかったのでしょう。
とはいえダメージを受けた状態で分裂したので、
そのダメージももう片方へ引き継がれている様子。
能力も半減し、封印されたもう片方と融合を試みるも、
封印が思いのほか強固でそれも難しいと判断したカブトですが、

「(あいつを口寄せするには弱ったこいつでは少し時間かかるな…。)」

どうやら二代目水影が蜃を召喚したように、
無の相棒である何かを口寄せしようと策をめぐらせています。


二代目水影を倒したばかりのところ。
先ほどの水蒸気爆発を聞きつけナルトが駆けつけました。
ナルトからは三代目雷影を封じたことを聞き、
一方で二代目水影を封印するところだと我愛羅は言います。

「ハハ…風影…お前と違ってバカっぽいな。そいつ……。」

ピラミッドから頭だけを覗かせる姿に、
早とちりするナルトを見てそうこぼす二代目水影ですが、

「いいコンビだ……。」

そう微笑みます。

「そうか………。」

我愛羅も微笑みます。
二代目水影ですが、どこか満足したように封印されます。
分隊がそれぞれ合流。束の間ですが、勝利をかみ締めます。
本部の命令があるまでは待機するよう迅速に伝えるテマリ。
テマリはナルトが影分身体であることを察知していたようです。
一方でナルトの本体はビーと今しがた合流したところの様子。
他の分身たちは我愛羅やオオノキ、テマリにとどまらず、
各隊、各戦場へ散らばせたのだそうです。

2.カブトの切り札(2)

白ゼツの術に撹乱されている状況下、
シカマルたちは地面に各々円形の領域を定め、
そこを不可侵とすることで一種の膠着状態にある様子。

「シカマル。いつまでこんなことをしてなきゃならないの?
 こんなんで、またあのデカイのが来たらヤバイんじゃ……。」

とチョウジ。

「とりあえずナルトが来るまでだ!
 それまで絶対に他人の円の中に踏み込むな……。
 いくらお前でも敵とみなす!」

とシカマル。この台詞から、
いかに現在の状況が切羽詰った状況か分かります。

「…お互い知ってることを確認するしかないって、やっぱ!」

といのが提案しますが、

「それもダメだ! 何人かはそれでやられた!
 適当に言ったことが当たる場合がある!」

シカマルは逸る気持ちを抑え、
この膠着状態を打破するためにも、
はやくナルトが到着することを祈るような様子。
そこへ折りよくナルトの分身体が登場します。
ナルトの姿を見て縄樹と見間違えるダン。
ダンは四方を特殊な空間で覆われ、
幽閉されるような形で封印されているので、
外界をその眼で認識し、外部と会話できる状況にあります。
綱手が認めているというその少年の不思議な雰囲気を見て、

「九尾を封印されてる…
 大人は人柱力って呼ぶらしいな…。
 …ガキの頃から火影になるってずっとほざいてる
 同胞のバカでなるとってんだ。
 けど…今じゃ本気でそうなるんじゃねーかと
 思わせてくれんだアイツ……
 綱手さまはアイツに賭けてんだ。」

とシカマルからナルトの素性を聞き及んで、
その熱意のようなものを感じたのでしょうか。

「ナルトか…。
 (昔のオレや縄樹みたいな奴が今も居るんだな…)」

どこかほっとしたような笑みをダンは浮かべます。
縄樹を彷彿とさせる姿、火影を目指していること、
そして自分の恋人だった綱手から認められているといった逸話は、
懐古の情にふけさせるには十分です。

医療部隊に助けてと乗り込んできた男女の忍。

「医療忍術ならまだ間に合うかもしれないんです!」

ぐったりした男性の忍に肩を貸している女性の忍。
しかし医療部隊の門番は頑なに拒みます。

「来るな!! 誰も動くなと言ったハズだ!!
 お前達が味方だとどう証明できるってんだ!?」

誰も動かず、動くものは敵と見なす――
信頼の原則に成り立ったもっとも有効な策です。
しかし死にかけのものには、この膠着状態は、まさに地獄。

「一生のお願いだから彼を助けて…!!
 私の腕の中で夫を死なせないで…!
 私が信用できないなら、私はここで死にます!
 だけど夫は……」

どうやらこの男女の忍は若夫婦である様子。
堪えるものを堪えきれないといった表情で
その二人の姿を見ていたサクラは、
そっと中に入るように促します。
しかしにんまりとする様子の夫婦。
人の弱いところを突くようなやり口。
実は白ゼツの演技だったのです。
不意を突かれたサクラたち。
危機一髪のところでナルトの分身体が到着し、白ゼツを片付けます。

ネジ、キバ、ヒナタの隊も混乱している様子。
偽者のヒナタが現れ隊を撹乱、
本物まで危ういといったところにナルトが駆けつけます!

「もう大丈夫だ!」

ヒナタを安心させるようにいいます。