404 『"鷹"と"暁"』

1.鷹と暁(1)

暁のアジトの一つでしょうか。
切り立つ岩壁に沿ってつくられた階段を鬼鮫は登っていきます。
――と後ろからトビ。

鬼鮫先輩にお話があるんスけど…」

マダラだという気配を感じさせない、
いかにも後輩という口調で鬼鮫に話しかけます。

「ゼツが邪魔しに来て、次はお前ですか。
 死んだと思ってましたがね、トビ。」

水月との戦いはゼツに割り込まれて中断させられたのでしょう。
そして死んだと思っていたトビが登場し、
驚きよりもむしろ半ば呆れたように喋る鬼鮫

「結局最後になってしまったが…
 一番身近なお前を騙していて済まなかった。」

とトビは突然口調を変え、そして仮面を外します。
その素顔に驚きを隠せない鬼鮫

「…そういうことでしたか。
 トビがまさかアナタだとは思いませんでしたよ。
 これで安心しました…。アナタが黒幕なら私の立ち回りもやりやすい。
 水影様…いやマダラさん。

鬼鮫は暁の目的以外の目的で動いていたのでしょうか。
そしてトビの正体はマダラであり、水影でもあるようです。
しかし、相変わらず私たち読者にその素顔は明かされません。
もう一つ。
【トビについて8・トビとゼツの立場〜矛盾】*1などで取り上げたトビの二面性の矛盾。
これはどういうことでしょうか?
マダラや水影であることを隠すためだったのでしょうか?
――とはいうものの、最終的に残った暁のメンバーほとんどに
水影はともかくマダラであるという正体を知られています。
知らなかったのはデイダラ、サソリ、飛段、角都ですが、
これらのメンバーにどうしても正体を秘匿しておかなければならない何かがあったのでしょうか?
とにかく、マダラが水影でもあるというのなら、
これから起こるであろう木ノ葉と暁の戦いは、
里が絡んだ大規模な戦いとなる予感です。

2.鷹と暁(2)

一方で場面が変わって木ノ葉隠れの里
床にうつ伏せのまま寝てしまっていたナルトをカカシが起こしにきます。
ガマブン太にガマ吉もいます。
言いかけたガマ吉を制するガマブン太。
事情が呑みこめていないナルトを急かすように、
カカシが歩を進めます。
綱手の部屋――ナルト以外は事情を知っているようです。
頭・フカサクは自来也が死んだこと、予言の子がナルトであることなどを話していたようです。
ナルトを見とめると、単刀直入に自来也が戦死した旨を伝えます。
先ほどまでジジイ蛙と耳を貸さなかったナルトの表情が凍りつきます。
サクラ、カカシ、サイ、シズネ、綱手――、
その場にいる一同が、冗談でないことを訴えるようにナルトの方を見ます。


一方で鷹の面々は、トビそして鬼鮫とともにいます。
木ノ葉を潰すという具体性を問われ、
上層部を狙い、それ以外は基本的に対象としないと答えるサスケ。

「上を狙えば下が盾になる。そう簡単にはいきませんよ…。
 アナタたち“鷹”とやらだけでは戦力不足ですねェ。」

それに対して冷静な意見をはさむ鬼鮫
気に入らなかったのか、水月が食ってかかります。

鬼鮫先輩…ボクたちをあまりナメない方がいい。
 あの時の遊びの決着はまだつけてないし…。本気で…」

「やめろ」と制する重吾を振り切って、巨大剣を振りかざす水月
しかしトビに片腕で、その刃を止められてしまいます。

「ボクの目的はそこの鮫肌だ…。
 それを手に入れるためにサスケにくっついてただけだ。」

そう言って聞かない水月

「分かった…やりたきゃ勝手にやれ水月
 どうせまだそいつに勝てない。」

トビにしつけがなってないと言われたことを全く意に介さないように、
サスケは言い放ちます。
「まだ」という言葉に、何かを感じ取ったかのように鬼鮫は薄ら笑いを浮かべます。
トビは暁の戦力不足を踏まえ、“鷹”と“暁”の利害一致から、
行動を共にすることをサスケに伝えます。
その見返りに尾獣を渡すといいます。尾獣とは、チャクラのバケモノ。
元々は初代火影・千手柱間がいくつか集めてコントロール下においていたもので、
忍界大戦の折*2に条約や協定の証として、各国間の力を均衡に保つため
他国に分配していたものであり、究極のチャクラ兵器である――トビはそう説明します。

「ただし、“暁”を裏切ればちゃんと死んでもらう。」

トビもまたサスケの裏切りを警戒しているようです。
暁は七つの尾獣を暁はとらえており、残すは二匹。
暁側はナルトを鷹側はもう一つの人柱力を狙うようです。

3.鷹と暁(3)

桟橋の上でトビの話をうかがうゼツ。上手くいったと語るトビ。
黒幕であるとされるトビと、まるで立場が対等であるかのように振舞うゼツ。
リーダーであるペインも含め、暁の上下関係はいまいち分かりにくいところです。
イタチとは木ノ葉に手を出さないという取り決めがあったようで、
トビ自身も天照の仕掛けを、イタチの真実をサスケに知られるより
サスケをトビが仲間に引き入れることを、
イタチが危惧していたのだろうと解釈しています。
サスケの手前、その尤もと思われる推測を話さなかったのは、
次の言葉で納得できます。

「どこかしらに問題はあったが、皆、己の意思で“暁”に貢献してくれた。
 デイダラ、サソリ、飛段、角都…
 彼ら無くしてここまでの進展は無かった。
 そのお陰でオレのシナリオ通りに事は運んでいる。
 何より…サスケを手懐けた。

*1:【トビについて8・トビとゼツの立場〜矛盾】

*2:トビの台詞では「忍界大戦の度に」となっているが、大戦は過去3度ほど、しかも柱間が3度を通じて火影であったわけではないので、「〜の折に」の誤記だと思われる。または歴代火影通じて、協定や条約に尾獣が使われたという意味かもしれない。