1.写輪眼の経過

写輪眼の覚醒時期は人によってまちまちですが、サスケについて追ってみると、
一族事件→白との戦い→ナルトとの戦い(終末の谷)
の順で巴模様が1つ、2つ、3つ(それぞれ第1、2、3段階とする)と増えていきます。
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それぞれの戦いでは、サスケは極限の集中を発揮するために強い精神作用がかかっており、
巴紋の増加、すなわち写輪眼の段階変化には、この強い精神作用が求められるといえます。
カカシ外伝によれば、これはオビトにも同じことが言え、
オビトの場合はいきなり第2段階目に覚醒しました。
さて、第3段階まではたいていの写輪眼で共通であるといえますが*1
そこから先、万華鏡写輪眼への成長はどうでしょうか?

2.サスケの万華鏡写輪眼、開眼条件の相違

「お前もオレと同じ万華鏡写輪眼を開眼しうる者だ。
 ただしそれには条件がある。
 最も親しい友を殺すことだ。」

さて、イタチのこの発言によれば、万華鏡写輪眼へと成長するためには、
最も親しい友を殺すこと、とあります。
しかし、万華鏡写輪眼を写輪眼成長の第4段階に位置づければ、先ほど見てきたように、
ある強い精神作用によってもたらされたものと考えることが順当です。
事実、サスケの万華鏡写輪眼覚醒において、決して最も親しい友を殺したわけではないのです。

「どうするイタチの眼は…移植するのか……?」

マダラのこの発言は、イタチの眼によって、
サスケが永遠の万華鏡写輪眼(第5段階とする)を手にする可能性を示唆しています。
ですから、サスケの万華鏡写輪眼は、第4段階に他ならなく、
その第4段階に到達するための条件をサスケは満たさずして、
第4段階に到達したことになります。つまり友を殺すことが“条件ではなく”、
友を殺してしまったという強烈な精神作用によって、写輪眼が成長したと考えられるのです。
事実、この写輪眼の成長条件について、
例えば第2段階をサスケとオビトで比べてみると、
仲間を守ろうと必死になるという状況は似ていますが、
必ずしも各人の精神作用の大きさが等しいとは限らず、
巴一つから二つに成長したサスケに比べて、
いきなり写輪眼覚醒と同時に巴二つをもったオビトの方が、
より強烈な精神作用があったと見ることができるでしょう。

「ただし瞳のやりとりは一族間でしか行えない。
 それにこの方法で誰もが新しい力を手に出来るわけではない。
 これはその後の多くの犠牲の歴史の上に築かれた事実…」


「元来うちは一族は万華鏡写輪眼の為に友と殺し合い…
 永遠の瞳力を得るために親兄弟で殺し合い、
 そうして力を誇示し続けてきた汚れた一族なのだ!!」

イタチによれば、殺し合いの果てに誰もが力を手に出来たわけではない――とあります。
それは殺し合いが自分の望んでいたものだったため、
そしてその分、得られる精神作用がそれほど強くはなかったためだと思われます。
万華鏡写輪眼開眼――“友を殺した”という強烈な精神作用、それは“罪の意識”ではないでしょうか。
言い換えれば自分の犯した罪の証に他なりません。
ですから、まるで代償とばかりに、その眼は光を失っていくのでしょう。
あの幾何学的でどこか妖しく人間を離れたところにあるような紋様は、
そういった“負”の表情をどことなく醸しているようにも見えます。
サスケの万華鏡写輪眼開眼もイタチを斃したことによるものではなく、
マダラに聞かされた話によって、イタチへの“罪の意識”を感じたものだったのではないでしょうか?
第5段階・永遠の万華鏡。それはさらなる罪を重ねること。
光を失うことがなくなる代わりに、心を失っていくのでしょう。

*1:例:ヤシロ、イナビ、テッカやマダラの従えたうちは一族など