ナルト達が抜け忍となったサスケを追う理由――
以前、記事【ナルトがサスケを追う理由】*1では
ナルトが私情を挟んでしまう理由について推察しました。
が一方で、この記事では

  • 木の葉がサスケを追う(のを許す)理由

については触れませんでした。
今回はこちらについて考えてみたいと思います。

1.木ノ葉中枢の事情(1)

木ノ葉中枢がサスケを追うことを許している理由。
木ノ葉の中枢というのは、五代目火影・綱手
および重鎮の老人ホムラ、コハルそしてダンゾウあたりであると思われますが、
また火影とこの老人たちとの間で方針が違うといえるでしょう。
九尾に関する暁の脅威に対して、両者の対立を見てみましょう。

「そもそもナルトは才能もある。木ノ葉の大きな戦力となる忍だ。」

暁の脅威から里を守るため、ナルトの活動範囲を限定すべきだとする老人たちに対して、
譲らない綱手。火影を目指すナルトに、弟・縄樹や恋人・ダンを重ねながら、
ナルト個人を強く信じる姿勢を崩しません。

「安い物言いだな、綱手。それでも火影か。」

綱手の私情入り交じった論に業を煮やすホムラ。

「ならばそれまでにナルトが“暁”にやられぬという保証はあるのか!?
 ナルトから“九尾”を奪った“暁”が、
 木ノ葉にとって大きな災厄にならぬという保証があるのか!?」

これに対して、綱手は、

「ナルトは…やられたりしない! 私はそう信じてる。」
「もし…木ノ葉隠れが…火の国がそのせいで危機になったのなら…
 この私が命懸けで守ってみせるさ。五代目火影としてな。」

五代目火影をかけてナルトを擁護しています。

「サクラもナルトも…かつて仲間だったサスケを必死になって追ってる…。
 サスケを助けたいと誰よりも強く思ってる。
 その強い想いが任務を成功に導く…。」

ナルトの身を案じるシズネにも、綱手はこのように言いましたが、
このことから綱手はナルトたちがサスケを追うことに対して、
ナルトたちがサスケを追う理由を重視していることが窺えます。
と同時に終末の谷での決戦以来、自ら大蛇丸のもとに下ったサスケ奪還――
それは任務として継続しているということです。

2.木ノ葉中枢の事情(2)

任務として継続している――ということはすなわち、
綱手が任務として認可していることになります。
暁の脅威に関して綱手と老人たちが張り合う場面では、
コハルやホムラはナルトと九尾のことを取り沙汰し、
そのナルトが向かおうとするサスケに関しては“あえて”口をはさんでいません。
(ここで“あえて”とするのは後述させていただきます。)
さらにはダンゾウという人物を介入させてきます。
このダンゾウという人物は、大蛇丸の器となりうるサスケを
サイに暗殺させることを目的に、
サスケに近づくナルトたちにその駒を投入したわけですが、
裏を返せばサスケ奪還の“任務”を知っていることになります。
ダンゾウがこの“任務”を知っているということは、
当然、ダンゾウに命令する立場にある重鎮のコハル、ホムラも知っているわけで、
サスケの件に関して重鎮たちは何も口をはさまなかったのは、
不自然だとは言えないでしょうか?
サスケ奪還、あるいは追跡――に関して口をはさまなかったこと、
そしてカカシ班に暗部の根を加えることをこの重鎮たちが許可することは、
ダンゾウの真の目的、サスケ暗殺を擁護している姿勢ともとれなくもありません。
うちは一族事件の真相――木ノ葉のため、イタチに与えられた任務だったこと。
これは、今は亡き三代目を除いてこの3人にしか知られていません。
しかし生き残りであったサスケは、任務として殺されることなく、
現在まで生き延びてきました。
木ノ葉に仇なすことないと判断されていたからではないでしょうか?
ところが一転して、大蛇丸という里を脅かす災いに転じるなら――
始末する必要が生じるわけです。
つまり、この時点において、重鎮の老人コハル、ホムラ、ダンゾウにおいては、
サスケを追うことを許す理由とはサスケの暗殺だったと考えられるのです。
ですから“あえて”綱手との議論でサスケを取り上げなかったと考えられます。
綱手はナルト側の動機を重視していますから、
議題に上ればダンゾウを面白く思わない綱手と衝突が起こり、
サイ配属の本当の理由が綱手の口からナルトたちに漏れ、
暗殺が遂行しにくくなるからです。



それでは、大蛇丸が死してなお、サスケを追うことを無駄とせずに、
これを任務として許諾するにたる理由が重鎮たちにはあるでしょうか?
トビが明かす話に何か手がかりがあるはずです。