450 『歓呼の里』

450話。この回ではサムイ、オモイ、カルイのパーソナリティと、
ダンゾウの陰謀が見え隠れします。

.歓呼の里

とぼとぼと疲れきった様子で里を目指して森の中を歩くナルト。
そこに目覚めたばかりのカカシが駆けつけます。
里の皆が待つところまで、ナルトをおぶっていきます。

「皆…お前が帰るのを待ってたんだ。」

大手を振ってナルトを迎える里の人々。
カツユによってナルトの活躍が里に伝わっていたようです。
里の奴ら全員にオレの存在を認めさせてやる――
と、かつてカカシに言ったように、
ナルトは“九尾”に由来する差別、幾多の困難を乗り越え、
ほんとうに皆に認められるような立派な忍者へと成長しました。
まさに歓呼の声があちらこちらで響き渡り、
ナルトのまわりに人々が集まっていきます。
涙するヒナタ、そして抱擁するサクラ――
みんなの輪に入れなかったナルトの幼少を知るイルカは、
胴上げまでされている現在のナルトを見て、
ほろりと嬉し涙がこぼれていきます。

一方、歓喜の渦の中、上忍班長であるシカクに暗部の者が近づきます。
危急の報せ――それは里の大事を決める大名会議のようです。


その頃暁では観察者ゼツからの一報がトビに入ります。

「…また外道魔像とシンクロさせるコマが必要だな…。」

ペイン、小南と去り、残る暁はトビ、ゼツ、鬼鮫の3人のみ。

鬼鮫……お前は八尾を探せ。
 オレは少し別の用がある。」

八尾探索を鬼鮫に任せ、どうやらトビは外せない別件がある様子。


道中を往くサムイ、オモイ、カルイの雲隠れの三人。

「ハア〜〜〜〜〜。どうしよう…。」

何かを深く悩むように歩くオモイ。

「いやさ…木ノ葉の里にむちゃくちゃカワイイ娘がいっぱい居てさ…
 その娘たちがオレにむちゃくちゃ告白してきたらどうしようかと思ってさ。」

と真剣に考える様子に、

「あ〜〜〜〜〜あ…そうですね!
 だったら付き合ったらよろしいんじゃないですか!? …手当たり次第に!

と呆れかえる様子のカルイ。
<〜よろしいんじゃないですか> という言葉遣いのあたりに遠巻きの皮肉がこめられてますし、
<手当たり次第に> というのはどうでもよいという感じがひしひし伝わってきます(^_^)

「……でもなぁ、木ノ葉を去る別れの時、その娘がオレの事愛しすぎて、
 離れたくないって言われたらオレどうしたらいいかなって…。
 心中しよ! とか言われても怖いし。

オモイは…しかしして、起こりえなくはないけれども非常に起こる確率の低い、
ぶっ飛んだ出来事を真剣に考えてしまう性質なのでしょう(・o・)

「てめーはそれが嬉しいのか嫌なのか、
 どっちのベクトルで話進めていきてーんだよ!
 まだ木ノ葉に着いてもいねーのにどこまでいってんだ! キモイわ!」

かっ飛んだボケを指先伸ばしてビシッと突っ込みを入れるあたり、
妙にバランスが取れてるとも言えなくもありません。

「でもカルイだってむちゃくちゃイケてる面をしている男
 告白してくるかもしんないんだぞ。」
「そこイケ面でいいだろ!」

イケメンはイケ“面”でなくイケ“men”なのですが、
そこをあえて無関心を装おうとしているサムイが突っ込めばよかったのですが…。

「ま…しかしそう言われてみれば、
 イケ面で金持ちで背の高いセレブ忍者
 告白してこないともかぎらない訳だが!」

と満更でもなさそうな素振りを見せるカルイにオモイは、

「イヤそれは考えすぎだからナイナイ! 絶対ナイ!」

とあっさり言い切ります。
自分で振っておいた話題に乗せたあとに陥落させるとは、
オモイもカルイに言われてばかりではないという様子をそこはかとなく感じ取れます。

「てめーに言われたかねーんだよ! てめ―――に!!」

堪忍袋の緒というものが解けたのか、
もう我慢できぬと大人気なく石をオモイに向かって“全力で”投げるカルイ。
グキッと腰を壊す奇怪な避け方をしたオモイは、
スキンスキン痙攣させながら、また性懲りもないことを言うのです。

「どーすんだよ。もしあの石が岩に当たって岩が崩れて……
 その崩れた岩がさらに大きな岩を崩して…
 すごい岩崩れを起こし、その下にあった木ノ葉の里が飲み込まれ壊滅…!」


\begin{eqnarray} n! &=& \prod_{k=1}^n k \\ \\&=& 1 \cdot 2 \cdot 3 \cdots \cdot n \rightarrow +\infty \end{eqnarray}
ということをいわれて、すかさずカルイも

「考えすぎはてめーの方だボケェ!!」

と言い返しますが――
里にやってきた三人。巨大な隕石でも衝突したのか、
ぽっかりと抉り取られた空洞を見てカルイは泣き喚き(?)ます。

「そんなっ!!
 ウチわざとじゃないし――――――!
 まさかあんな石コロで―――!」

…とまあ、過失感に打ちひしがれる様子に追い討ちをかけるように、

「カ…カルイ…お前何て事…」

というオモイの表情が冗談ぽさをまるで感じさせない、
いやほんとうに冗談と思っていない風なところがまた面白いです。

「ンな訳ないでしょ。とにかく人を探すわよ。」

付き合いきれない、といった感じで颯爽と二人に背を向けるサムイ。


里を守るためにカツユの術を使った綱手
老いた姿のままで目覚める気配がありません。
五代目火影不在のままの火の国大名会議。
火の国側の5人の重役とその向かいにホムラ、コハル、ダンゾウ、暗部の者、シカクの5が、
中央に火の国の全権を持っていると思われる人物“大名”が座っています。

「…里がああなってはな……我々火の国としても里の復興を全力で支援する。
 まずは予算を組んで…それから他国との緊張を…」

そう言いかける火の国の重役にダンゾウは新たな火影を擁立する旨の提案をします。
ダンゾウのこの提案に不審を抱くシカク。
綱手の隊長が回復するまで待てばいいのでは、という大名に、
コハルが今回の事件での責任、および昏睡状態で職務を全うすることができない
綱手に代わって、里の方針をたてる上でも新しい火影を擁立させなければいけない旨を述べます。

「今度こそ自来也だと思ったがのう…。
 余はあやつが好きじゃったが今はもうおらん。
 …で他に誰がおるのかえ?」

火の国の大名に自来也が好感を持たれていたらしいことがわかります。
ダンゾウが口を開きかけたとき、シカクがはたけカカシを推薦します。

「名声も力も徳もある…確かに…」
「しかしまだ若すぎるのではないか?」
「四代目のミナトの時はもっと若かったように思うが…」

と口々に言う重役たち。

「四代目は自来也の弟子で自来也は三代目の弟子であったの!
 問題ないではないかえ。よしでは――」

と決まりかけたとき、強く異議を唱えるものが一人。

「三代目のその教えが――里を壊滅させたも同然なのですぞ!!」

その怒号に大名も怖気づきます。

「里を潰した“暁”のリーダーはかつて自来也の弟子だった男だ。
 他国に同情し戦力を与えた結果がこれだ! 甘いのだ! 何もかもが!!」

ダンゾウが自来也とペインのつながりを知っているのは、
カツユからの情報が伝わったと考えるのが妥当でしょうか。

「代々続くその甘さが同盟国の砂の裏切り……、
 …そして大蛇丸の木ノ葉崩しを許し、
 “暁”の台頭、さらにはうちはの残党サスケが
 抜け忍になり暗躍する事になった!」

一抜け忍であるサスケの暗躍が、
ダンゾウの不安を煽るほどのものであったのか、
サスケの名を挙げるダンゾウに違和感を感じないでもないですが、

「今こそ必要な火影とは!?
 この最悪な事態の後始末をし、忍の世界に変革を成し、
 忍の掟を徹底させる希代の火影、このワシだ!!」

そう言い切って見せたダンゾウ。
重臣の一人がダンゾウに任せてみてはどうか、と大名に提案します。
合理的で無感情のやり方を批判しようとシカクが口を開きますが、
時すでに遅く、大名の心は六代目火影にダンゾウを選ぶことを決めたようです。

「ダンゾウ、お前を六代目火影に任命する。」


…ダンゾウについて何か記事を書きたくなりました。