452 『ダンゾウに迫る』

1.ダンゾウに迫る(1)

サスケ始末容認というダンゾウの指令に、
驚愕するナルトやサクラ。

綱手様が回復するまで待てないって事だ…。
 それも一理ある。」

五代目火影綱手を差し置いた六代目火影決定。
現在の里の状況を考えれば、はやく里のまとめ役となる火影を取り決めて、
早々のうちに事態の収拾を図る必要があるわけです。

「それにサスケは抜け忍だ。普通は抹殺するのがセオリー。
 綱手様だったからこそ穏便に図らってくれただけだ…。」

息巻いてダンゾウのところに飛び込もうとするサクラやナルトですが、
カカシが二人を止めます。

「二人共、少し落ち着け。
 こんな時こそ冷静にならなきゃ、うまく事は運ばんぞ。」

「冷静になんてなれっかよ!
 サスケに手なんか出させねェ!」

カカシはそういきり立つナルトの腕をぐいと掴みます。

「待てっていってるでしょ!
 ダンゾウはお前たちがそう行動に出ると考え済みだ。
 会ってどうするつもりなの?」

ダンゾウ側はナルトがどういう人間であるかというのは把握済みです。
体よくあしらわれて返されてしまうのが関の山。

「乱暴なんかしねーよ!
 ただサスケの件は変えてもらうよう話をつけるだけだってばよ!」

しかし反対にナルトはダンゾウがどういう人間であるかを知らない。
話合いなど徒労に終わり、結局ダンゾウの合理的なやり方で
丸め込まれてしまうのは目に見えているところです。
暴挙に出ない、とはいっても暴挙に祭り上げられてしまっては元も子もない。

「まだ大名の任命だけで、上忍衆からの信任投票は受けてないが、
 今のところダンゾウは火影だ。ヘタをすれば牢に打ち込まれる事になる。」

火影は大名の任命の後に上忍たちからの信任投票で正式に決定となるようです。
カカシは上忍たちもダンゾウが六代目となることをあまり快く思っていない
そういう風な評判が耳に入っているのか、上忍による選挙があることを
ナルトたちに告げた
と考えられます。
それでもいくといって聞かないナルトにカカシは言います。

「ナルト。お前は九尾を持ってる…。
 だからダンゾウはお前をこの里に拘束しておきたいと思ってるんだ。
 このままじゃ相手の思うツボだぞ。
 それじゃサスケを探す事もできなくなる…。今はあまりはしゃぐな。」

2.ダンゾウに迫る(2)

サイを呼び寄せたダンゾウ。

「ナルトを見張れ…。何か変わったことがあれば逐一ワシに報告しろ。」

命令に素直に従うサイ。
しかしダンゾウの腹を探りかねる様子でナルトをどうするのか質問します。

「心配するな…。今やナルトは里の英雄だ。
 里の皆もナルトを信頼しきっている…。
 このワシ六代目火影よりもな。」

ダンゾウはナルトに里の信頼があるのを面白くないといった感じで言います。

「ワシがナルトに何かすれば火影としての体裁に障る。
 信任投票を控える大切な時期だからな…。
 だがナルトは人柱力だ。火影として人柱力は監視しておかなくてはなるまい…。
 綱手のように甘くはできん。」

分かりました、といって引き下がるサイを、
見定めるように細い眼を見開いて見るダンゾウの姿に何か良からぬものを感じます。
監視を始めたサイ。そんな折、向こうから接触してきます。

「ダンゾウについて詳しく教えてほしいの。」

ダンゾウのことを教えることはできないというサイ。
ナルトとサクラは詰め寄りますが、サイはそうできない理由を
舌の呪印を見せることで納得させます。

「ダンゾウ様に関する事を話そうとすれば、
 全身が痺れて話す事も身体を動かす事もできなくなるんだ…。
 “根”の者は全員ね。」

その用心深さは相当なもの。里を守る為に汚い仕事をいくつも積み上げてきた――。
里を守るためだったとはいえ、このような情報が漏れれば、
六代目火影としての心象が悪くなるのは必須、というわけです。

「だったら綱手様が認めてくれたサスケくんの件はどうして撤回したの!?
 また追忍を放ってサスケくんを追いつめるつもりじゃない!」

サスケを仲間としてどうにかしたい、
そう考えているナルト、サクラの二人の意気込みを認めて、
抜け忍であるサスケのことを二人に託した五代目火影。
しかしそれが覆されようとしていることに、
焦燥感と不安を言葉に表さずにはいられないといった様子のサクラ。

「そ…そうだったの? 
 ボクはサスケくんについては何も聞いて…」

サスケのことに関しては初耳といった様子のサイ。
と、突如素早い身のこなしで間合いを詰め、刃を向けるカルイとオモイの姿が。

「サスケってのについて色々教えてもらおうか!
 どうやらお友達らしーな。てめーら!」

刀身を抑えようとしたナルトを見て、カルイは刀を引き上げます。
カルイが反動で動けないところをナルトは肘打ちに切り替えて突進しますが、
オモイが割って入って柄でナルトの肘を受けます。
いくつかの攻防の後、間合いが離れてにらみ合う両者。

「何だってばよ、てめーら!!?」

そういうナルトをオモイは鋭く睨みつけます。

「お前たちサスケの話をしてただろ!
 そいつの話を聞かせろ!」

今度はサクラが言い返します。

「アンタ達…雲隠れの忍に何の関係があんのよ!?」

「大アリだ!! お前ら木ノ葉のうちはサスケがオレ達の里を襲った!」

その言葉に唖然とするナルトたち。

「てめーらのとこの抜け忍うちはがウチらの師匠を連れ去りやがった!!
 師匠は生死不明だ。バカヤロー!!!」

サスケについて何も知らないナルト達は困惑します。
そしてサスケがいま“暁”として活動していることも併せて知ることになるのです。

「サスケ…お前どうなっちまったんだ…!!」

ペインが去って落ち着きを取り戻しかけたかに見えた木ノ葉。
でも事態はどんどんと悪い方向へ膨らみ続けていくかのようです。