1.写輪眼の移植

「マダラは新たな光を手に入れた。
 そしてもう二度とその眼の光は閉じることがなかった。
 永遠の万華鏡写輪眼
 弟の眼は新しい宿主を得ることで永遠の光を手に入れたという…

別館【ナルト世界の謎に縺れる】にコメントをご投稿くださっている方々m(_ _)mのうち、
ちょびさんの話によれば、この台詞において、
“眼主体”で述べられている部分が気にかかるといいます。
つまり、眼が宿主を手に入れるのであり、
宿主が眼を手に入れるという形では発言されてないことから、
眼に“自主性”があるということになります。
これを単に擬人法的な強調表現ととらえることもできますが、
この眼の“自主性”に関して掘り下げて考えることもできます。
つまりこの自主性とは、宿主にあって写輪“眼”として機能する――
Aの写輪眼として働いていたものが、Bに移っても写輪眼として機能するのは、
写輪眼という“眼”そのものがもつ何かしらの機能が重要であるという考え方をします。

「リン…お前の…医療忍術で……オレの写輪眼を…眼軸ごと……
 カカシの左目に……移植してくれ……」

オビトの左目の写輪眼を眼軸ごと移植した結果、
カカシも写輪眼を扱えるようになりました。

「ただし瞳のやりとりは一族間でしか行えない。
 それにこの方法で誰もが新しい力を手に入れるわけではない。」

ところが本来、こういった眼のやりとりは一族間、
おそらくは血族同士でないとできないこととされているそうです。
しかしカカシは血族ではないようですし、
移植した写輪眼を扱いこなせるのはなぜでしょうか?

2.独立機能

そこでキーワードとなるのが“眼軸”です。
眼軸とは角膜から網膜までの長さ、眼球の奥行きのことです。
つまり眼軸ごと移植するということは、視神経を切り離した眼球そのものを指す事になります。



【性質変化7・血継限界(ii)】*1では、
オビトから写輪眼と一緒に血継限界も移植された、としましたがこの考え方を継承するなら、
“眼軸”つまり眼球のどこかにオビトの血継限界が含まれていることになります。
血継限界とはいわば遺伝子と似たものだと思われますが、
【性質変化7・血継限界(i)】*2において
コツのようなものが伝授されていくとしました。
つまり、血継限界というエンジンを持っていれば、
潜在能力という車の性能が向上し、扱いやすくかつスピードも飛躍的に速くなるわけです。
眼球をそのまま移植されたカカシは、
血継限界というエンジンを搭載した写輪眼という車を得たことになります。
オビトの眼球はオビトのDNAパターンで構成されたものです。
ところがカカシに移植された場合、
この眼球はカカシの視神経につなげられ、さらにはカカシの眼という器官として、
カカシの体液(血液、リンパ液等)やチャクラが流れるために、
構成パターンはオビトのDNAですが、
それを動かすのはカカシのDNAということになります。
いわば車と燃料の関係です。
ところがこの燃料は少し特殊なもので、
血族では必然的にこの燃料に合うようにエンジンがつくられるのですが、
血族外はそのような燃料をもってはいません。
水素車をガソリンで走らせようとしても無理な話であるのと同じです。
写輪眼(車本体)とエンジン(血継限界)は変わりませんから
写輪眼という車を動かすためには、今ある燃料を使って車に合う別の燃料をつくりだす必要があります。
つまり水素車はガソリンという燃料では走りませんが、
ガソリンから水素を生み出せば、その水素を燃料に走ることはできます。
この燃料の作り変えこそがカカシがチャクラを余分に使う重要なファクターなのです。
カカシはオビトから移植してもらってすぐに写輪眼を使いこなしています。
つまり燃料の作り変えの環境はすぐに整っていたことになります。
これはカカシというもともと写輪眼と関係ない宿主が
移植された写輪眼に応答して、そのような環境が整ったというより、
オビトの眼が自然とカカシのチャクラ環境に適応したと考えることができます。
カカシが血族でなかったという観点に立つとするなら、
写輪眼の独自の機能が働いた――つまり眼という本来の器官から離れて、
独立にそういう応答を見せたと考えられるのです。