395 『トビの謎』

.トビの謎

シノのまわりを蟲がジワジワと覆い、そして解き放たれると、
一斉にトビへと飛んでいきます。

「油女一族は一点集中型の攻撃ではなく、空間を大きくとった
 広範囲型攻撃を得意とするんだ。」

寄壊蟲の広範囲空間攻撃はトビの逃げ場所を消すように広がり、
瞬く間にトビを包み込みます。

「かわしているのか、すり抜けているのか…
 アイツの術を見切ってやる」

秘術・蟲玉。トビを覆う蟲が球状に寄り集まり、
トビの中へと入り込んでいきます。

「オレが決める。何故なら任務に参加している以上、
 今回こそは役に立たなければならない。」

意気込むシノ。サスケ奪還のとき、
任務に参加できなかった分をトビにぶつける勢いです。
やがて、蟲たちが人型を形作り完全にトビを閉じ込めます。

「手ごたえは感じる…
 何故なら寄壊蟲がチャクラを吸い取っている活発な動きが見てとれる。」

しかし次の瞬間、中身が突然消えたように、蟲がばらけてしまいます。
ヒナタの白眼では確かにトビは蟲の中にいました。
瞬身の術ではない――瞬身の術であったなら、
蟲はチャクラを追ってトビが飛んだ方向へ反応するといいます。
ヒナタの白眼ですら、トビの行方を見失います。

「あの状態で時空間忍術を使ったということか…?
 いや…そんな事はありえない…
 印も結ばず、マーキングも口寄せも無しに空間を飛んだってのか?
 それじゃ四代目以上の時空間忍術だぞ!」

時空間忍術の可能性を考えるカカシ。
体全体を、存在を消した――ヤマトもたじろぎます。

「自在に体を消せると仮定すれば、体の一部分だけを消せても不思議じゃない…
 だとしたら体に当たるであろう外的攻撃のその接触部分だけを消すことも…
 そうすれば攻撃はすり抜けて見える。」

やはりトビは何らかの特殊な術で、攻撃をすり抜けさせているのでした。
見失っていたトビをヒナタが再び捉えます。
キバの鼻もトビを捉えていました。通牙でトビを奇襲します。
しかし難なくかわされます。

「こらキバ! 一人でムチャしない!!」
「また、すり抜けられたか…くそっ!」
「キバくん…今のは単にかわされただけだと…」
「クゥ〜ン」

と、トビの脅威の術に対しても木ノ葉勢もまだ余裕はあるようです。
そこへゼツがあらわれます。

「サスケの勝ちだよ! うちはイタチは死亡。」

ゼツの言葉に一同がたじろぎます。

「うわー! しんじられなーい!
 なんてね…思った通りだ…」

だんだんとトビがその本性を露わにしていきます。

「サスケも倒れちゃったけど…どうだろ?
 結構ギリギリかも。」

“サスケ”という言葉にナルトが強く反応します。

「おい!! そこのトゲトゲアロエヤロー!!
 今サスケはどこにいる!?」

ゼツが一瞬ムッとしますが、片方に制されます。
カカシの写輪眼がトビの仮面の奥をとらえると、そこには写輪眼が。

「貴様らの相手はまた今度だ。」

…トビは写輪眼モードになると、マダラにかわるのかもしれません。