1.“根”(1)

暗部――暗殺戦術特殊部隊…
その実体は未だ多くが謎に包まれていますが、
木ノ葉の里において特に重要な任務にあたる
選抜された忍で構成される特殊部隊です。

「暗部は火影様の直轄部隊…。
 いくら我々警務部隊でも補足状が無ければ逮捕できない。」

サスケの父フガクの話にもあるように、
基本的に暗部という存在は火影の直轄部隊であり、
やはりそれだけ重要な任務を負っているということでしょう。

「ダンゾウという男は…、かつて三代目と対立していたタカ派の男だ。
 暗部の中に別働部隊として、暗部養成部門“根”を組織し、
 その主任の座に就いていた男だ。」

しかし綱手の話によれば別働部隊が存在していたこともあり、
一概に火影直轄の暗部と一つ括りにできません。
さて、この別同部隊の一つと思われる“根”について少し焦点をあててみます。

「“根”には戦いで生じた離散家族の子が多くいてね、
 その中で兄弟の様に親しくなったのが兄さんだった。」

大蛇丸のアジトにて、サイが根についてこのように話しています。
この場面で、サイはダンゾウと大蛇丸の仲介役としての任務だと装っていますが、
実はサスケ暗殺こそが本当の任務でした。
ですが、“根”についての情報には嘘が無いと考えてよいでしょう。
それは“兄さん”というサイの過去にまつわる人物が話題に上って、
任務の話から、自分の過去にまつわる話になって、嘘をつく必要がないからです。

「サイ…君が暗部の“根”の者だって事も知ってる。
 ダンゾウによって感情を殺すために特別な訓練を受けていた事も知ってる。
 感情を奪う為に、血霧の里・霧隠れでかつて行われていた悪習と同じだ。」

再不斬卒業の翌年、改変されましたが、
水の国霧隠れの里では、忍者学校の卒業試験は生徒同士の殺し合いでした。
“根”においては、感情を殺すための特別な訓練があったようですが、
どうやらこの訓練の内容とは、“根”で養成されている忍同士の
殺し合い、あるいはそれに近いものだったのでしょう。

「“根”には…名前は無い。感情は無い…」
「過去は無い……未来は無い。あるのは任務……。」
「木の葉という大木を目に見えぬ地の中より支える、
 我々“根”の意志……忘れるな。」

サイが“根”の先輩から忠告を受ける場面。
“脱自己”教育が徹底されているようです。
サスケ暗殺任務は結局失敗に終わりますが、
ダンゾウの真の目的は木ノ葉に対する危険因子排除、
木ノ葉狂信と言っても過言でないほどの信念に突き動かされていることが露呈します。

2.“根”(2)

「“根”はすでに解体されてるし、奴(=ダンゾウ)も一度失脚した身…
 …が相変わらず何を考えているか分からん男だ。」

根はしかし、すでに解体されているといいます。

「お前はうずまきナルトと歳もさほど変わらぬ上…
 里の同世代の誰よりも強く………、
 何よりもあの…素晴らしい絵心は感嘆の一言じゃ。」

サイはナルトと年齢がそれほど離れていない(離れていても1,2歳)ことから、
根が解体されたのは、そんなに昔の話ではないようです。
うちは一族事件――
もしもこの事件直後に根が解体していたとしたなら、
うちはマダラとは別の何らかの形で関わっていた、ということになるでしょう。
ただ解体されているとはいえ、
根の意識は暗部で働くそれぞれの忍に生き続けているようです。
ダンゾウの手足として――理想の為に犠牲を厭わない駒として。

「…“根”の者には気を付けておけ。」
「ああ…分かってる。」

という自来也綱手のやり取り。まるで火影である綱手が“根”によって
その立場を脅かされることを危ぶんだ物言いです。
しかし、木ノ葉右派、国粋主義の“根”が火影である綱手を狙うとは、
いかなる理由でしょうか?
以前綱手ご意見番である水戸門ホムラ、うたたねコハル両名と、
九尾の人柱力であるナルトの制限について論争しました。
ナルトの行動範囲に制限をかけるべきだというご意見番に対して、
綱手は断固として反対しています。

「ならばそれまでにナルトが“暁”にやられぬという保証があるのか!?
 ナルトから“九尾”を奪った“暁”が木ノ葉にとって
 より大きな災厄にならぬという保証があるのか!?」

この論争をダンゾウは部屋の外に控えていたので聞いているはずです。
もしも、綱手の考えが――木の葉に災厄をもたらすと、
ダンゾウが決断したならば、綱手が狙われる可能性は大いにあるかもしれません。