イナビ、テッカ、ヤシロの三人がイタチを問い詰めにきます。
今回はこのシーンを中心にイタチについて考えます。

1.シスイ殺害疑惑

会合には何故来なかったのか。そして、昨夜南賀ノ川に身投げして自殺したうちはシスイについて。
この日を基点に、もう一度どのような経緯があったかを見てみます。


注釈として、

「やっぱり兄さん…、昨夜父さんが言ってた会合には行かなかったんだ。」

というサスケの台詞に一瞬戸惑いますが、
「昨夜(に)父さんが言ってた会合には行かなかったんだ。」
ではなくて、もちろん
「昨夜、父さんが言ってた会合には行かなかったんだ。」
です。これは会話の流れから、こう解釈するのが自然ですが、
紛らわしさ回避のためにあえて言及しておきます。


●フガクとの言い争い(2日前・深夜(〜1日前・未明))

●一族会合(1日前・夜)、イタチ任務で来れず?

●サスケとの縁側での会話、シスイ殺害疑惑(基点)


シスイの自殺について聞かされたイタチは、一瞬目を険しくします。
すかさずイナビが、シスイを兄のように慕っていたな、と婉曲的に疑いをかけますが、

「…そうですか…最近は全く会って無かったが…残念です…」

とイタチは哀悼の意を述べています。やや間をあけた後、
警務部隊が全力で捜査に乗り出すことことを聞かされます。

「…他殺の線がないなら、何の捜査ですか…」

ヤシロからシスイが遺したと思われる紙の切れ端、
写輪眼鑑定でシスイ本人が書いたものであるとされた遺書を渡されたイタチは尤もらしい質問をします。
それに対してイタチに攻撃的な姿勢を崩さないイナビは、

「写輪眼を使える者なら筆跡のコピーなど容易いからな。」

とまるでイタチが筆跡をコピーして遺書を捏造したかのような口調。

「うちは一の手だれ…瞬身のシスイと恐れられた男だ。
 一族の為ならどんな任務でも先だってやる男だった。」
「そんな男がこんなものを残して自殺するとは考えづらい。」

彼らがイタチを内心疑っていることが垣間見える台詞です。
それに対してイタチは、

「見た目や思い込みだけで…人を判断しない方がいいですよ。」

と意味深めいた発言をします。
これは疑われてることに感づいたイタチがその場逃れの提案のような発言をしたわけでなく、

  • シスイが遺した遺書の内容が分かっていたから。

に他なりません。シスイの遺書の内容とは、以下のものです。




任務に疲れた。

このままでは うちはに

未来は無い。

そして、オレにも…。

これ以上“道”に

背くことは出来ない



遺書についての思案は今回は保留しておいて、この後の流れを考えてみます。
遺書を受け取り、暗部からの捜査協力を要請することを承諾したイタチ。

「手がかりが出てくるといいがな…」
「それと警務部隊にも暗部には別ルートだってある。
 握りつぶしたりすれば、すぐ分かるぞ。」

三人の去り際の会話に、終に業を煮やしたイタチは

「オレを疑ってるってワケか?」

とイタチには珍しく、逆上して食って掛かります。

2.イタチが逆上するに足る理由

シスイをイタチが殺したとするなら、この展開は腑に落ちないものです。
逆上した後、イタチは三人に手をあげてしまいますが、
これは追い詰められた犯人が自棄を起こした自己保全の行動でなくて、むしろ、

  • 絶対的な自分の正しさを確信している

ことから起こされる行動に他ならず、この点において、イタチには次の2通りしかありえません。

  • 完全なる清廉潔白だが、シスイについての何らかの事情を知っている。
  • ある思想や考えのもとにシスイ殺害が正等であり、それゆえ絶対的な正しさを確信している

この後の展開で、何やら崇高な思想めいたことイタチが話すことからも、後者を推したくなりますが、

  • 遺書を捏造してまで、わざわざ自殺に見せかけること。
    • (⇒シスイ殺害が正等であるなら、このような真似をしなくてよい。)
  • 一族会合の日に犯行を行ったこと。
    • (⇒自分に疑いが向くような状況で犯行を犯した。他の日でも良かったはず。)

など、どう見ても冷酷冷静なイタチが犯した犯行とは思えないのです。
さらにこの3人が来る直前までイタチはサスケに対して微笑んでいました。

  • 兄のように慕っていたシスイを殺害した翌日に見せられる微笑みではない

と思われます。
ならば、イタチが逆上するに足る理由とは何か。

  • 『一族』に固執し『真実』を感じ取れない『愚かさ』や、うちはの『柵<しがらみ>』『妄執』に対する辟易。

が大きな理由として読み取れるでしょう。

3.会合

写輪眼を用いた遺書の鑑定の件ですが、
微妙な差異までもがわかるのが写輪眼です。
筆跡をコピーできたとしても、果たしてそれは写輪眼で見切れぬものなのでしょうか?
イタチは写輪眼を持っていたとしても写輪“手”は持ってないはずですし。
それに遺書の内容を全く読み取ろうとせずに、これはおかしいとする警務部隊。
遺書を遺書と思わず、自殺ではなくて他殺だと決め付けています。
後々判明しますが、シスイがイタチを監視しているという内容を受けての行動だとしても、
あまりにも軽率すぎる行動ですし、イタチを目の敵にしすぎています。

「いいかイタチ…一族を裏切るような真似をしてみろ。
 タダじゃ済まさねーぞ!」

というヤシロの言葉。
一見シスイ殺害に関して言っているようですが、
極秘のうちは一族会合の内容に関する裏切りも言い含められている、
そんな気もします。