たいへん遅れまして申し訳ありません。m(_ _)m
年末に忙しさが拍車をかけております...

611『到着』

1.到着(1)

《神威》を使った八尾の渾身の尾獣玉。
十尾の巨大な目へ一直線に飛んでいきます。
しかし、十尾はまるで何事もないかのように、
いともたやすく指で尾獣玉を弾いてしまいました。
これにはさすがの八尾も唖然。
弾かれた尾獣玉は跳ね返るように自分のところへ――
そして被弾してしまうのです。

「上にもハエが2匹いるぞ…」

上空のナルトとカカシ。
奇襲失敗で態勢を崩しているところを、
十尾の尾が狙い撃ちします。
カカシを庇って、影分身のナルトが犠牲になります。

「(…ナルト…。
  お前はオレとよく似ている…)」

そんなナルトを見て、
若かりし頃の自分を思い起こすようなオビト。

「(そう…。お前はオレよりまだ若いだけだ。
  …いずれ)」

仲間を助けるために躍起になる様子を
かつての自分と重ね合わせます。
しかし、それはあくまで気づいていないだけだとするオビト。
結局、守りきれはしないと――

「九喇嘛!!
 こんな時に何で崩れんだよ!!」

自分の尾獣玉に被弾した八尾を受け止めるまでは良かったのですが、
九尾化が解除されていきます。

「約8分…
 前よりは長持ちもしたが
 これが限界だな。
 一旦ワシはチャクラを練り溜める!
 その間、お前達だけで時間を稼げ。
 ワシのチャクラ無しではアレには勝てんからな!」

と九尾。どうやら尾獣化の限界時間のようです。
再び九尾がチャクラを回復させるまでは、
ナルトたちだけでなんとかせざるを得ません。

「…しゃあねーか…。」

といつになく素直に従うナルト。
ナルトも素直にならざるを得ないほど巨大な相手――
というべきなのでしょう、十尾という存在は。

「ビー!
 オレも少し休む…限界だ。」

八尾の方も回復のため尾獣化を解いて
回復に専念する様子。
満身創痍のナルトたち。

「八尾と九尾は一旦チャクラ切れのようだな……」

と戦況を見極めた様子のオビト。
もはや煮るなり焼くなりといった状況です。

2.到着(2)

「…お得意の影分身か?
 禁術の高等忍術とて、
 同じ無能が増えたところで……」

ナルトは戦う意志を捨ててはいません。
再び影分身のための印を結びます。
カカシはナルトを止めます。

「よせナルト…!
 これ以上チャクラを等分散させる影分身は意味が無い…。
 陽動に使えても決定打にはならない…。
 お前が倒れたら…この戦争は負ける…!」

マダラもそんなことをしようと無駄だと言います。
所詮は無能な烏合の衆であると――

「頭数だけ増やしても、
 その中身がまったくなければ、
 無意味だと言ってるんだ。
 オレもお前もしょせん無力な忍。
 お前も…イヤ…誰でもいずれ…
 オレのようになるのだからな。」

とオビトは達観したような目をしながら言います。
どんなに粋がろうと、
相手を敵を理解し、平和を目指すために戦おうと、
圧倒的で残酷な現実の力の前では、
みな為す術なく自分の無力を思い知り、
絶望を味わうものだと――
その絶望から逃れるためには、
"夢"しかありえないのだと、オビトは感じているのです。

「オレはてめーみてーにはならねェ…!!
 何度も言ってんだろ…。
 オレがなりてえのは火影だ!!」

孤独という絶望から這い上がってきたナルト。
"夢"とは"現実"を否定するためのものではない――
"夢"とは"現実"に肯定されるべきものなのです。
希望を持つから生きられるのです。
希望の為に生きているわけではない。
そして生きるからこそ希望があるのです。
現実があるから叶えようと思う夢もある。

「心配するな…全て上手くいく…
 無限月読に勝る忍の術はない。
 …この術の中でお前を火影にしておいてやる…
 だから…この世界ごと消えろ。」

十尾は巨大なエネルギーを集め尾獣砲を放ちます。
直線状に一帯を消し飛ばしますが、
それはナルトやカカシたちからは逸れていました。

「カカシ! ガイ!
 待たせたな!」

駆けつけてきた忍たち。

「ナルトくん大丈夫!?」

ヒナタ。

「白眼のサポートでドンピシャの心転身を
 たったの2秒でハジくなんて…!」

連れられるようにして、いの。
どうやら十尾が砲を外したのは、
《心転身の術》によるものだったようです。

「それでもデカブツの攻撃ポイントはズラせた。
 上出来だ!」

とネジ。

「ヒナタの前だからって、
 強がんなくてもいいぜ、ナルト!」

とキバ。

「来たよナルト!」
「…よしこれで簡単には感知されねーだろ。」

油女一族の《蟲邪民具の術》や霧隠れの《霧隠れの術》で
辺り一帯が包み込まれます。
チョウジやシカマルもナルトの近くへ。

「ビー様!! 思ったより大丈夫そうね!」
「ビー様!! 重傷じゃないッスかあ!!」

言ってることが名前通りの
オモイやカルイも駆けつけます。

「ガイ先生。まさか昼虎を!!?」

ガイの近くにはリー。

「遅くなりましたカカシ隊長。」

サイも来ました。

「サクラちゃんまずは…!」
「分かってる!」

サクラはナルトの言わんとすることを心得ています。
カカシの怪我を治療しはじめます。
忍連合の全五部隊、医療部隊、感知部隊、
本部を除くすべてが結集していました。

「これでもうウゴウノシュウってのじゃねェ…!!
 今ここにあるのは…忍連合軍…の術だ…!!
 …超スゲー忍史上最高最強の忍術だってばよ!
 無限月読に勝る術だ…覚えとけ!!!」

つながりの力。
そして大切な何かを守るための想いの力。
何千、何万と結集したその力は
ウゴウノシュウのような単なる足し合わせだけで
表されるような力ではありません。
十尾をも凌駕するやもしれぬ力です。
悪しき夢を打ち砕くために、
最期の戦いが始まります。