一日遅れですm(_ _)m

610『十尾』

1.十尾(1)

とうとう復活してしまった十尾。
禍々しい一つ目の怪物。
辺りに轟く奇声。
おびただしいチャクラ。
見る者を圧倒する存在感。
全てが規格外の化け物です。

「魔像のチャクラは消えたハズなのに…。」

とナルト。それに対して九尾が答えます。

「アレにそんな感情も概念もねーよ…。
 感知はできねェ。
 ありゃな…普段土や水…空気に感じるものと同じ、
 …この世界を循環している自然エネルギーそのものだ。
 仙人モードに成る時と同じコツでやりゃあ話は別だが…」

十尾は自然そのもの――と九喇嘛は語ります。
他の一尾から九尾までの尾獣に見るような、
感情などといった生物っぽい要素は
決して持ち合わせていないようです。
つまりその暴威は過ぎ去る台風や、
あらゆるものを呑み込む洪水と同じ。
人智を超えた存在なのです。

「そっか…!
 アレが自然エネルギーだってんなら…、
 どれほどのモンか確かめてやんよ!」

と仙人モードに切り替え、
自然エネルギーを感じ取ろうとするナルト。

「やめとけナルト…。
 どの道そんなことしても…、
 計り知れねェ…ってのが量れるだけだ。

と九尾を推してそう言わしめるほどの
ただただ膨大なチャクラ――自然エネルギーの塊…
それが十尾なのです。

「へっ…笑えねェ……」

ナルトですら思わず顔が引きつります。

「十尾復活までの間に奴らを捕えるつもりだったんだがな…
 意外にやるな。直ぐに無限月読の儀式を始めたい。
 …あの大幻術は月を呼ぶまでに時間がかかる。
 奴らは術の邪魔になる…
 先に魔像の力で処理した方がスムーズに事が運ぶ。
 …違うか…?」

対してマダラとオビトは十尾の頭上で構えます。
予想以上に食い下がるナルト達に対して、
十尾の力を解放して殲滅することを望むかのようなマダラ。

「……マダラ…。
 アンタは十尾の力を使ってみたいだけだろ。
 …だからわざと…。まるで子供だ。」

とオビトははマダラが圧倒的な実力を出さず、
あえて戯れるかのようにしていたように感じているようです。

「違うな……。ガキってのは…、
 落ち着きのないせっかちのことだ。」

とマダラは言います。

2.十尾(2)

「…オイ…すんげーの来てるぜ。
 …本当にやれんのかよ…!」

巨体が猛烈なスピードで辺りを破壊しながらやってくる様子に
思わず呆気にとられる八尾。

「恐えーからってタコツボにずっと隠れてられると思うなよ!」

と九尾。

「と、その前にガイってのを渡せ!
 後で回復させといてやる!」

八尾にガイを渡すように言います。

「ホラヨ!」

放り投げる八尾。
ついでに分身体のナルトとカカシも、
九尾の庇護下に入ります。

「いいかまずは距離をとってアレの出方を見ろ!
 その出方に合わせて攻撃をかわし、
 できるだけ近距離でデカイ一発を喰らわす!
 さっき言った通りだ!!」

と八尾との共闘戦線に入ります。

「九尾。まるで隊長だな。」

その様子を微笑ましげに見守るカカシ。

「あ゛?
 文句あるか!?」

と悪態づく九尾。

「イヤ…何だか…嬉しくてね!」

畏怖の対象でしかなかった九尾と、
いまこうして共に戦っているいまの境遇を
不思議に思ってしまうのと同時に、
なぜだか九尾に心を許せてしまうような感覚を
カカシは感じているのだと思います。
それは九尾と友達のように振る舞うナルトの成長でもあり、
そして長きにわたって抱えてきた"九尾"という問題に
ある種の決着を見たからかもしれません。

「そういうのは勝ってからにしやがれ!!
 行くぞ!!」

と九尾。十尾へ攻撃を開始します。
想像以上の速度で迫りくる十尾をかわし、
間合いをとると尾獣玉を構えます。
八尾もタイミングを合わせて尾獣玉を構えます。
十尾を挟んで左右方向から尾獣玉を連打。《連続尾獣玉》です。

「避ける必要もない。
 十尾の力はなるべく温存しておきたいんだがな。」

山一つ消し飛ばすほどの威力を持つ尾獣玉が
左右方向から立て続けに何連も来るのに、
オビトは極めて冷静です。それもそのはず。
十尾はほとんど溜めも見せずに、
まさに尾獣光線とも呼ぶべき様な線束ビームを放ち、
尾獣玉を打ち消したばかりか、
八尾や九尾を狙ってビーム束で薙ぎ払うようにして攻撃してきます。
何とかかわすことができた八尾と九尾。

「しぶとい奴らだ…。」

と余裕の様子のマダラでしたが、
ナルトたちは次の手を打っていました。
分身体のナルトとカカシを十尾上空へ投げ飛ばしていたのです。

「ナイスコントロールだ…ナルト!
 いい所へ投げた!!」

カカシはすでに《神威》によって
八尾を亜空間にいったん格納していました。

「確かにタコ足一本分…
 向こうへ飛ばしそこねたみてーだけどな…!」

尾獣玉を構えた八尾が突如として十尾のまさに目の前に現れます。
《神威》をつかって空間を飛んで来たのです。

「タコツボ作戦!
 卑怯でスミマセン…!!」

奇襲成功にビーもノリノリです。

「(その眼球にぶち込んでやる!!)」

オビトもマダラも十尾に意識を傾け過ぎていました。
この好機を逃さず、十尾に大ダメージを与えることができるでしょうか。