今回は台詞が少ないので、短めです。

605『地獄』

.地獄

カカシに左胸を貫かれたリン。
それを目撃してしまったオビト。

「くそ! やられた。」
せっかく苦労して手に入れたものを!

と霧の忍たち。
どうやらただの同士討ちではなさそうであることが分かります。
そもそもこのリンは本物だったのか?
本物であったとしても、どうしてこんな結末を迎えてしまったのか。
いずれ明かされると思いますが、
ここには霧隠れが一枚かんでいると言えます。
しかし、この光景を目撃したオビトは、
一つ一つを冷静に処理することはできませんでした。

「…リン…」

自分の守りたかった者の死――
それをもたらした友の裏切り――
絶望が彼を襲います。
もっとも大切な人を失った衝撃は、
彼らの写輪眼を"万華鏡写輪眼"とさせるのに十分でした。

「ウォオオオオオオ、
 オオ――――……」

意識を失うカカシ。
一方で感情を爆発させ、雄たけびをあげるオビト。

「(…認めるか…!! こんなもの……)
 認めてやるもんかァ!!! ウオオオオオ!!!」

オビトを援軍と見受けた霧隠れの忍びたちは、
オビトへ一斉に攻撃を開始します。
しかしすべての攻撃が、
まるで空を切るようにオビトをすり抜けていきます。
いまや万華鏡の力を暴走させたオビトは、
柱間の細胞体からチャクラを木遁にすることすら容易いのでしょうか。
《木遁・挿し木の術》で目の前の全てを否定するように、
ただひたすら殺戮を繰り返すのです。

「せめて女だけでも回収するのだ!
 死体を絶対に敵へ渡すな!!」

と、ある霧隠れの忍がいいます。
冒頭で述べたように、
このリンとカカシの一件は霧隠れによって
仕組まれたものであることは間違いないのです。

「(ここは…、…一体…どこだ…?)」

数十人からなる霧隠れの忍たちが、
読んで字のごとく血祭りにあげられていきます。
どんなに悲鳴があがっても、血が流れても、
オビトの凶行は止むことはありませんでした。

「…そうか…。
 オレは…地獄に居る。」

おびただしい血の雨が降りしきる中、
オビトは気づきます。
ここは地獄なのだと――。