604『再会、そして』

1.再会、そして(1)

グルグルの人造人間を身にまとったオビト。

「根を繋げたまま魔像の力を借りたのね…。
 やるじゃん…。」

人造人間が魔像から受ける力を最大限利用して
入口の大岩を打ち壊し、ついに外に出る出口を切り開きます。

「助けてくれたことには感謝する。
 …けどオレは行く!
 行かなきゃならねーから!」

助けてくれたことに対する一通りの礼。
マダラと決別する未練はないオビト。

「お前は焦りすぎる……。
 感謝はまだ早いかもしれんぞ…。」

とマダラ。
この先のことを何か予感しているのでしょうか。

「…たぶんここへは二度と来ねェ…。
 一応礼は言った。…もう行く!」

とオビト。

「お前は…ここへ帰って来る。
 その時こそ本当の礼をもらおう。」

マダラは餞別の言葉は、
オビトはここへ戻ってくることを確信しているものです。

「白いの!
 リンとカカシの場所はどこだ!?
 すぐ案内してくれ!!」

マダラを一瞥するともう振り向かないことを決めたオビト。
白ゼツにリンとカカシの場所を訊き、
すぐにでも向かおうという構えです。

「君の体に付いたのは言わばボクの分身。
 ボクらはある程度の距離なら
 テレパシーで会話できるし、
 他の分身体もあちこちの地下に点在してて、
 情報をやり取りしてる。」

と白ゼツ。

「それを使って君を誘導するよ。」

衣状態となったグルグルも
他の人造人間たちと情報を共有できるようです。
いざリンとカカシのもとへ。
飛び出していくオビト。

2.再会、そして(2)

「仲間からの情報だと、
 かなりヤバイみたいだよ!
 霧隠れの実験体がどうこうとか言ってるけど……
 ボクはよく分かんない。
 とにかくリンもカカシも数十人に囲まれてるみたい!
 …それも皆凄腕の上忍や暗部みたいのばっかだって……」

道中、リンやカカシの現況情報を得たオビト。
"霧隠れの実験体"という部分は、
まだ本編で何も触れられていないはずですが、
今後何か本編で関連してくる部分だと思われます。
とにかくリンもカカシも
上忍や暗部といった実力者に包囲されるほどの
極めて重要な極秘任務中での出来事だと考えられます。

「ミナト先生は何してる!?」

すぐに思い浮かんだのはミナト。
この状況を打破してくれそうな人物ですが――

「誰?」

訊き返すグルグル。

「黄色い閃光は何してるって聞いてんだ!」

本名では一瞬分からなかったかもしれませんが、
その通り名を聞くや、
グルグルもすぐに情報を寄せ集め、
彼の近況をオビトに報告します。

「ん〜〜〜何か特別な任務中みたいだね。」

とりあえずカカシ達とは別行動であるらしいとの事。

「…こんな時に…!」

神無毘橋の戦いのときのように、
"同じ任務中"の別行動とは限りません。
ミナトにしてみれば、
カカシやリンがそのような状況だと
想定していないことでしょう。

「(カカシ…! 
  お前は約束してくれた!
  リンを…リンを何とか守ってくれ!!
  オレももうすぐ駆けつける!!)」

リンを守れるのは、この状況でカカシしかいません。
彼なら絶対約束を守り抜いてくれるはず。
自分が駆けつけるまで、なんとか持ってくれ――
祈るような思いでひたすら森を駆け抜けていくオビト。

「オビト…たぶんこれから戦闘になる…。
 その前に少し言っておきたいんだけど…。」

と切り出すグルグル。

「君の戦闘能力はボクより低い。
 さらに今は君の傷付いた小さな体に、
 大きなボクの体が覆って保護してるって感じだからね。
 戦闘はボクが動いた方がいいと思うけど…。」

戦闘では自分に身を任せた方が良いのではと提案するグルグル。
しかし、それでは意味がありません。
リンはカカシと自分で守り抜かなければ意味がないのです。

「マダラも言ってただろ。
 写輪眼は左右揃って本来の力を発揮するって!
 戦場にはオレと対になる写輪眼のカカシが居る!
 奴とのコンビネーションはオレの方が上だ!
 オレとカカシでリンを守る!!」

写輪眼は左右揃ってこそ真価を為す。
自分が足りないところはカカシが補って、
カカシが足りないところは自分が補う。
たとい一人の力が弱くても、
二人揃えば大きな力を発揮できるはず――!

「確かに君には柱間の人造体がくっついてる。
 千手とうちは両方の力が合わされば…、
 今までとは違う強さが表れるかもしれないけど…」

グルグルはどちらかといえば、
そういった"意志の力"のニュアンスは伝わっておらず
千手とうちはの力の融合によって、
思わぬ力を発揮できる可能性はあると考えています。

「雨だと思ったらアレか……」

山のような大きな水しぶきが辺りに雨を振らせます。

「仲間から連絡有り…どうやら……
 あそこみたいだね。」

ついにリンとカカシの居る場所へ迫ったオビト。
猛々しい水しぶきが狼煙のように何度もあがり、
激戦が展開されていることを物語っています。

「……行くぞ!!」

意を決してその場所へ足を進めるオビトですが、
突如、いまはカカシにあげた左眼があったあたりが痛みます。
そして脳裏にはリンが左胸を貫かれる姿が――

「くっ!
 (何だコレ!!?
  変なイメージしてんじゃねェ!!
  …もう少し…もう少しだ!!)」

嫌な予感なのか――
必死で振り払い、ひたすら走り抜け、
そしてとうとうカカシたちが居る場所へ
駆けつけることができました。

「!!」

しかし、そこで見た光景は、
さっき見たイメージと重なるもの――
否、それよりも酷で、もっと認めたくないものでした。

「…カカシ…」

戸惑いと驚きを隠せないリンの瞳。
その視線の先には、自分の左胸を、
雷切をまとったカカシの右手が貫く姿。
いったい何があったというのでしょうか――