結論に急ぎたい方は螺旋丸の制御(3)へ

1.螺旋丸の制御(1)

チャクラの高速な流れをマクロで考えたときに
実際、ジャイロ効果が考えられ、
いったん自転(回転軸に対して円運動)をはじめると
姿勢を乱されにくくなると考えられます。(乱回転は起こりにくい。)
ジャイロ効果についてはwikipedia*1を参照していただくとして、
他に歳差運動(コマの運動)といって、
さらに回転軸が円運動する運動もありますが、
この"乱回転運動"はまったくの別物に見えます。
では一体この乱回転は何者かと考えたとき、
今回までのことがようやく結ばれます。




【掌の上の螺旋丸3・回転が重要となる理由】*2では、
ある時間τだけうまく切り出してくると単純なベクトル場

\mathbb{F} = (-y,x,0)

にしたがって運動していると考えました。
しかし回転軸が変わってしまうということは、
様々なことを考慮していくと
上述のように簡単なベクトル場には事を納めることができません。

乱回転する螺旋丸を制御するコツの1つは、
【掌の上の螺旋丸8・波動方程式の解】*3で求めた、
チャクラ振動(波動現象の1つ)の中心が動かず、
理想的には常に原点であるように(ぶれない)することと考えられます。
説明の補足として上の記事では最初、
球座標(極座標)における波動方程式


\( {\triangle}_{\small r,\theta,\phi} - \frac{1}{v^2} \frac{{\part}^2}{\part t^2} \)\mathbb{U} = 0

を与えました。純粋にチャクラの波を考えるにはいいのですが、
チャクラが円運動していることについて、
この式を持ち出すと、あまりに複雑で見通しが立ちにくいので、
"振動"として波動現象をとらえることにより、

\frac{{\part}^2 u(x,t)}{\part x^2} = \frac{1}{v^2} \frac{{\part}^2 u(x,t)}{\part t^2}

の一次元に帰結させたというわけです。これは、
大円断面(回転軸に垂直かつ重心を通る円断面)の一番外側についてみたときで、
ある時間τのある回転軸(pivot)に対する円運動は、
減衰振動としてとらえることができて、

u(x,t)=\frac{f(x+vt) + f(x-vt)}{2} + \frac{1}{2v} \int_{\qquad x-vt}^{\qquad \qquad \qquad x+vt} g(\xi) d{\xi}

(*1)
として与えられたわけです。
さてもう一つ説明不足だったのですが、このx とは大円上について
直径となるようにしてとった軸であり(回転軸に原点をもつ)、
分かりやすいようにz軸に回転軸をとったので、
x軸にこの軸を設定して、時刻とこのx軸の位置で、
螺旋丸のチャクラ波の動き(波動)を記述しました。
ここでそのx軸における位置xと、
時間τまでの間の時刻t(0からτまで)について、
u(x,t) は波の高さを表していて、
f(x) は回転軸(z軸)上の時刻t=0の中心の波の高さ、
g(x) はそのときの中心の変位の速度を表しています。


2.螺旋丸の制御(2)

原点(0,0,0)を中心とした円断面(大円)から、
z軸方向にhだけ進んだ点(0,0,h)を中心とする円断面では、
半径が\sqrt{L^2-h^2}となります。
(ただし螺旋丸半径をLとしています。)
なのでその場合の波の変位は単純に\frac{\sqrt{L^2-h^2}}{L} 倍になったわけです。
つまり、自然にu(x,t) を拡張させると、


u(x,t,h)=\frac{\sqrt{L^2 - h^2}}{L} \( \frac{f(x+vt) + f(x-vt)}{2} + \frac{1}{2v} \int_{\qquad x-vt}^{\qquad \qquad \qquad x+vt} g(\xi) d{\xi} \)

(*2)
と表せます。
さて次にτが経過したとき、回転軸がz軸からpivot1に移ったとします。
このpivot1をz軸となるように考えるため、
x軸,y軸もこれにあわせるように移ったとすると、
(移った後をx',y',z'軸、移る前をx,y,z軸とする)
【掌の上の螺旋丸2・極座標ラプラシアンの導入】*4で考えたように、
pivot1(z'軸)が z軸となす角度をθ1、
そのxy平面への正射影がx軸となす角度をφ1として、
原点から距離rにある点は、

\( x' \\ y' \\ z' \) = \( rsin{{\theta}_1}cos{{\phi}_1} \\ rsin{{\theta}_1}sin{{\phi}_1} \\ rcos{{\theta}_1} \)

として与えられるのでした。
言い換えればz軸はxy平面の法線ベクトル方向で
pivot1(z'軸)はx'y'平面の法線ベクトル方向なので、
x'y'平面を-θ1だけ回転したものはxy平面に重なります。
このときx軸からφ1だけ回転したところにx'軸があります。
このx'軸上でまた新しい時間τ'だけpivot1を回転軸として
円運動が行われたとすると、このx'軸上のx'で観測した点は、
原点からその点までの距離をRとおくと、先の
u(Rsin{{\theta}_1}{{cos\phi}_1},\tau,h) = f_1(x',h)
を初期入力として与えられるわけです。
すなわち、

u_1(x',t)=\frac{f_1(x'+v(t-\tau),h) + f_1(x'-v(t-\tau),h)}{2} + \frac{1}{2v} \int_{\qquad x'-v(t-\tau)}^{\qquad \qquad \qquad x'+v(t-\tau)} g_1(\xi,h) d{\xi}

(*3)
と新しいx'軸上で複雑な振動となるわけです。
1回軸が変わっただけで、もう何が何だかですね。


3.螺旋丸の制御(3)

乱回転では(*1)式と(*3)式から明らかなように、
軸が変化するごとにある点について非常に複雑な波の入力がうまれます。
すると全体が単純な円運動というわけにはいかず、
螺旋丸のベクトル場は乱されていくと考えられます。

例えば【多重影分身の回転系3・遠心力と転向力*5でも考えましたが、
回転にしたがわず球の半径方向に動こうとするチャクラが内部に生じたりして、
これが転向力コリオリ力)によって
ナルトが意図しない方向に力を受けて、制御が乱れることにより
チャクラを乱雑にする方向へ、
つまり回転を大きく止めるように働きます。

これだと乱回転することによる意味が全くありません。


そこで、今まで 回転軸が変化⇒乱回転する を追ってきましたが、
乱回転の何らかの原因の存在⇒結果軸が変化する と考えましょう。
そこで冒頭にあったジャイロ効果の破綻、
すなわち回転安定性を崩してまで回転軸を変えるプロセスも含めて、
一連の現象を考えてみました。


まずより高速にチャクラを回転させようとしますが
このときチャクラの遠心力で外側に大きく膨らもうとします。
これを球形にとどめるために外力を加えますが、
この外力制御は人力制御なので一定の力を加え続けるることは難しく、
内部に渦や乱れを生むような状況をつくってしまいます。
この乱れは前述の式で示したとおり大きくなって回転は弱まり、
今度はこの乱れと球形にとどめようとする外力によって
チャクラ流全体の回転軸にモーメントが加わり、
回転軸が変化します。(回転軸が回転しようとする。)
この感覚はナルトにすぐさま伝わり、
回転軸の回転をとめて螺旋丸が暴れないようにする外力(留める)と、
球形にとどめようとする外力(圧縮)と、
チャクラを高速回転させようとする外力(回転)によって制御します。
ここである一定の回転軸に安定し、
この回転軸に対する高速チャクラ流が生じます。
あとはこれらの一連の流れのループと考えます。
これが乱回転の正体ではないでしょうか?


この辺りはもう単純な式やその解で表すのは難しい複雑な運動ですが、
結論としまして螺旋丸は意図的に乱回転させているわけでなく、
制御上どうしても乱回転してしまう
と考える方が良さそうです。
ナルトが螺旋丸を圧縮、留めるようにするのに苦労したのは、
こういった理由からだと推察されます。