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1.新たなる封印(1)
クシナの「愛してる」の言葉に、ナルトの中で、
不安や憎しみは払拭され、安堵感と自信と力が湧き立ちます。
呼応して、外界では九尾の衣が消えていきます。
「九尾をおさえてる私のチャクラも、そうもたない……。
今のうちにやっちゃいなさい!」
クシナに後押しされ、ナルトは一気に畳み掛けます。
多重影分身から何人ものナルトによる螺旋丸、『螺旋超多連丸』。
しかし九尾も一筋縄ではいきません。
クシナによるチャクラの鎖を引きちぎって応戦します。
「のぼせるなっ!!」
ナルトの猛攻も九尾に阻まれてしまい届きません。
「まだいけるってばね!」
しかし九尾の隙を見抜いていたクシナ。
足側に絡みつくチャクラの鎖を引っ張り、
九尾を死に体にし転倒させます。
ここぞとばかりに、仙人モードを発動させたナルト。
精神世界だからなのでしょうか。
ペイン戦では本体含む3人ほどだったものが、
ざっと見積もっただけでも20人以上――
しかもその全員が超大玉螺旋丸。
『仙法・超大玉螺旋多連丸』を喰らって、
さすがの九尾も大ダメージ。
「何だ!? この力は…!」
ナルトの中から湧き上がる力に圧倒される九尾。
すぐさま体勢を立て直しますが、
そこを螺旋手裏剣で追撃され、
ナルトにチャクラを剥離されるのを許す形となります。
競り負けた九尾はチャクラの大部分を引き抜かれ、痩せ細っていきます。
九尾のチャクラを融合させたナルトには、
首に巴紋が6つ、そして両肩と腹部に螺旋があらわれ、
それらをつなぐように封印の鍵の紋様が組み合わさって、
まるで六道仙人を表すかの様な紋様です。
「ナルトォ…ワシを、
ワシを怒らせたな! ナルトォオ!!」
九尾は残された僅かなチャクラを全て懸けるように、
巨大なチャクラの凝集体を築き上げます。
しかし、それを支えることももはや困難。
「まだこんだけの力が…。
やっぱすげーや…お前は……。」
ナルトは九尾の力の強大さを再認識するかのように、そう呟くと、
四象封印に手をあて再び封印を閉めます。
それと同時に鳥居のようなものが降ってきて、九尾の動きを封じ、
さらに堅牢な門があらわれ完全封印されます。
「…こりゃあ…六道の…!?」
九尾は封印方式に六道仙人に通じるものを感じ取ったのでしょうか。
次第に闇に包まれていく中で九尾は最後に、
「…覚えていろ。…ナルト。」
とだけ言って、闇の中に消えていくのです。
「……ごめんな…九尾。…………でも、
おめーを悪ィようにはしねーから…。
少しの間…待っててくれ。」
そうナルトは九尾に語りかけます。
2.新たなる封印(2)
九尾との戦いに勝利したナルト。
クシナも喜びます。
「母ちゃんは今……」
そう何か訊きた気なナルトの言葉を制するように、
「これでミナトのところへやっと行ける…」
とクシナは言います。
それを聞いたナルトは複雑な様子の表情を浮かべます。
ナルトの訊きたかったことは、おそらく「今どこにいるのか」だったのでしょう。
しかし、ミナトがそうであったように、クシナも自分の中にいるということは、
ナルトも薄々はクシナの“居場所”を理解していたと思います。
でも、せっかく16年越しで出会えたわけで、
生死がはっきりしている四代目火影・波風ミナトと違って、
現時点で何も伝え聞いてないクシナが、
どこかで生きているのではという淡い期待がないわけがありません。
でも、やっぱり――と視線を落とすナルトは、見てて痛ましいです。
「行く前にアナタに言っておかなきゃならない事があるの…。
ナルト……。アナタが生まれた…16年前の事件。
…その真相を言っておくわ…。」
と神妙な面持ちのクシナ。
「…16年前の真相…?」
ミナトもナルトに告げていた16年前の真相。
「なぜわざわざそんな事をしたのかには理由がある…。
…今から16年前、九尾が里を襲った時、分かった事がある。
あの時、九尾を操り里を襲わせた黒幕がいる。
それもかなりの力を持つ忍だ。
特別な力がなければ到底太刀打ちできない。
おそらくそいつはまた里を襲う。」
ミナトによれば、九尾を操って里を襲わせた黒幕がいる、とのことでした。
そしてそれは暁の一人で面をつけている男であることも。
「私は…アナタの前任の九尾の人柱力…。
まずはそこからね。」
クシナの口から告げられた意外な真実。
1話目からずっと明かされなかった伏線が、
ようやく500話たって明らかにされそうです。
ところで、
前回の記事【八尾と九尾7・対決九尾】*1に記したとおり、
この記事までの状況証拠ではクシナが、
- 前任の九尾の人柱力であることはない
はずでした。しかし、今回のクシナが前任の九尾の人柱力であることを受けて、
解釈を改めなければならないところがあります。
それは【九尾事件1・九尾の人柱力】*2で取り扱うことにします。