527 『NGワード』

すみません。遅くなりました。

1.NGワード(1)

「大先輩への口のきき方が気に入らねーな…。
 すぐに黙らせてやる。」

ダルイの言葉に神経を逆撫でされたように銀角は言います。

「仕方ねェ…。
 どうやら随分と時が経ってる…。
 同胞でもオレ達の事を知らねーんだからよ。」

と金角。

「アナタ達が書物に出てくる本物の金角銀角なら、
 同胞呼ばわりされたくないわね。クールじゃないわ。」

助太刀にきたサムイ・アツイ姉弟
文献にのる英雄の本当の姿は、
あまり心象は良くないようです。

「おお…!
 いつにもなくクールな姉ちゃんが熱いじゃねーのよ!
 相当な奴らとみた!」

アツイはあまり目の前の敵のことを知らないようです。
すると徐に口から武器を口寄せする金角・銀角。

「間違いない…。
 書物にあったあれが金角銀角兄弟の忍具!
 かつて雲隠れが集めた最強忍具の五つのうち四つ。

 人を縛り言霊を追い出す“幌金縄”!
 言霊を斬って呪う“七星剣”!
 言霊を録音し人を封じる“紅葫蘆”!
 火水雷風土、全ての性質を巻き起こせる“芭蕉扇”!」

どうやら金角、銀角の由来は西遊記金角大王銀角大王のようですね。
母親が九尾の狐というところも、
九尾のチャクラをもっている設定にあっています。

「ぎょうぎょうしい忍具みてーだが、しょせんは道具!
 オレ達の魂こもった熱い忍術にゃ敵わねェーぜ!!」

と、そう言って突っ込んでいくアツイ。


場面変わって忍連合の影たち。
落ち着かない様子の雷影を見て、

「落ち着け雷影。
 お前は総大将だぞ。」

綱手が諌めます。

「……お前は金銀兄弟の恐さを知らんからだ。
 奴らは雲隠れの歴史において、最悪の大罪人だ。
 かつて木ノ葉と同盟を結ぶ儀礼式の際、
 クーデターを起こして二代目雷影と二代目火影を
 騙し討ちした兄弟だぞ。

かつて雲隠れは木ノ葉隠れと同盟を結ぼうとしていたようです。
その調印式の際に、クーデターを起こしたというのです。

「六道千人の宝具と呼ばれる五つの忍具を操り、
 二代目火影を瀕死に追い込んだ事までは知っているが…
 九尾のチャクラ…それを持っているとは聞いてなかった……」

綱手。ここで、一つ確認をしておきます。
瀕死に追い込んだ――という言い回しは、
金角、銀角が二代目火影を殺せなかったという意味にとれます。
しかし、金角銀角が先に発言しているように、
「ぶっ倒した」はずですので、これは綱手の失言でしょう。
【雲の精鋭、金角・銀角】*1では、金角、銀角が九尾のチャクラをなぜもっているのか、考えました。
それについても雷影の口から語られます。

「昔……一度雲隠れが九尾を捕えようとした事があったそうだ。
 その時九尾に食われたのが金銀兄弟らしい。
 だが腹の中で暴れ続ける二人に、
 たまりかねた九尾は二人を口から吐き出したそうだ。
 それ以後、二人は九尾のチャクラを宿してしまった。
 なんせ二週間も九尾の腹の中にいたそうだ。」

伝聞体なので真実は定かではないが――という口調ですが、
この頃に雲隠れが九尾をとらえようとしたことがあったというのならば、
ミトから一度九尾が解放されたか、
ミトに九尾が封印される前、と考えられます。
【雲の精鋭、金角・銀角】(*1)でクシナの出産にあたり、
三代目火影ヒルゼンがミナトの身辺にやけに気を払ったことを考えると、
前者の方ではないかと思われます。


2.NGワード(2)

さてどちらにしても、
冒頭から金角銀角を英雄と扱ってきたことを訂正しなければいけません。
“大罪人”だったようです。
サムイが同胞として言われたくないといったのは、
クーデターを起こして争いを巻き起こした金銀兄弟を
純粋に尊敬できないためにそう言ったと考えられるでしょう。
しかし、雲に二つの光、とまるで英雄扱いのように
“様”をつけて呼ばれていたのは、
純粋に強かったからという点に他ならないでしょうね。


金角、銀角の逸話にはまだ続きがあります。

「宝具はただの人間には扱えぬ…。
 アレらを扱うと大量のチャクラを吸い取られ、普通の者は死ぬ。
 九尾のチャクラを宿したバケモノのような輩以外はな。」

一つの宝具でそうなのだから、
二つも同時に扱うとなれば凄まじい量のチャクラが必要でしょう。
雲流火炎斬りでゼツを退け、突進していったアツイ。
冷静を失っている弟をサポートしようとサムイも入ります。
しかし金角にはじかれる際に幌金縄に触れてしまった姉弟
幌金縄によって言魂を引き出されてしまい、
七星剣で斬られたそれが紅葫蘆に納められると、
どうやらその人物がもっとも言葉にする言葉を言えば
吸い込まれてしまうといった忍具のようです。

「私達は呪印術と封印術にかけられた…。
 言霊を人質に取られたのよ。」

とサムイは自分の置かれた状況を冷静に分析します。
熱いが言えないアツイ。
しかし芭蕉扇の火の巻によって起こされた灼熱で、
アツイはうっかりNGワードを口にしてしまいます。

「昔からこう言う。“沈黙は金”とな。
 口は災いの元だ…。なぁ銀角。」
「ああ金角! ベラベラしゃべってるとこうなる…。
 言葉なんてのは嘘で人を騙すための道具だ。」

先輩に生意気な口をきいたダルイに
あてつけるように言って聞かせる金銀兄弟。
サムイを人質に取ります。

「……言葉をバカにすっとビーさんに怒られるっスよ…。」

しかし、言葉について、
ビーからその信念を聞かされているのか、
あくまでダルイは反抗的です。
人を騙すための道具――決してそうじゃない
ダルイはふつふつと煮えたぎらせた怒りを解放。

「すみません。…サムイさん。」

人質をとられても動じず、
金角に反撃し、嵐遁・励挫鎖荷素で銀角を攻撃します。
しかし一瞬の攻防でダルイも幌金縄に触れてしまいます。
言霊を引き出され、紅葫蘆に納められてしまいます。
何もNGワードを言っていないサムイも何故か紅葫蘆の中へ。
ダルイは一人にされた上、呪印にかけられた状態です。