523 『伝説の忍刀七人衆』

1.伝説の忍刀七人衆(1)

扉絵には忍刀七人衆の7人。
桃地再不斬を筆頭に、仮面が特徴的な栗霰串丸、
威厳溢れる無梨甚八、通草野餌人、
古代を感じさせる容姿の林檎雨由利、
水月の兄・鬼灯満月、鬼鮫の元上司・西瓜山河豚鬼が描かれています。
この7名の共通点でいわゆる果物が苗字に入っている点が面白いですね。
モモ、ナシ、リンゴ、アケビは水っぽい果物なイメージですが、
クリとホオズキはあまり瑞々しいイメージはありませんね。
イカは果実的野菜といわれており、
イチゴやメロンもこの果実的野菜に含まれるようです。
しかし、他にも葡萄(ブドウ)、柑橘系の蜜柑(ミカン)や橙(オレンジ)、
柿(カキ)とか無花果(イチジク)もあるのに、
よりマイナーなアケビを持ってきたのは語感が良かったからかな?
(※柿は干柿鬼鮫がありましたね)


目の前に突如現れた七人衆の亡霊たち。
もちろんカカシは直ちにに対応策をとるため、
エンスイ小隊の到着を待ちます。

「…歴代の忍刀七人衆の中でも、
 …どの方も強い忍ばかりだ!! …選んでやがる!!」

――との情報。
先代だけではなく、先々代なども含まれているニュアンスに受け取れますが――
作戦までの時間を稼ぐために、皆で一斉攻撃をかけます。


一方、水月たちは武器庫に忍び込んだ様子。

「なくなってた霧の忍刀を集めるって言ってたな…。
 なぜそこまでこだわる?」

忍刀に対して並々ならぬ執念を持つ理由を水月に尋ねる重吾。

「こればっかりはやる気出さないとね……。
 忍刀七人衆の復活とそのリーダーになることが、
 ボクの夢だからね。

水月が忍刀に拘る理由とは、
忍刀七人衆“復活”とそのリーダーとなるという目的を持っていたからです。
つまり水月霧隠れの里に帰る意志があるということになります。
ここで水月大蛇丸に実験体として連れ去られたことになっていて、
抜け忍ではないというような形なのでしょうか、
霧隠れの里から追われる立場でないことが浮き彫りになります。
国際指名手配中のサスケとともに行動するなど、
かなり危ない橋を渡っていますが、
水月自身は確実に“里に帰る”という意志を棄ててはいません。
また彼の台詞で“復活”とあるとおり、現在の忍刀七人衆は、
その名目を果たせていないという意味合いを見出せます。
重吾もその言葉が引っかかり、水月に訊き返します。

「ああ…。今や霧隠れ忍刀七人衆は長十郎ってガキ一人…。
 忍刀は代々受け継ぐ習わしだけど、
 今はヒラメカレイって刀が一丁だけで他は全部なくなってる…

水影の直属の護衛を任せられている長十郎ただ一人が、
忍刀七人衆であって、他は空席の部隊。
つまり、七人衆ではなくなっているのです。

「大刀“鮫肌”は鬼鮫が持ってるとして、抜け忍だし…。
 首斬り包丁はやっと手に入れたのになくなっちゃったし。
 今は正式にほぼ存在しない部隊だよ。」

というわけで、水月は忍刀七人衆の復活を考え、
消失した忍刀に執念を燃やしているのです。
それは里の意志というよりは、
兄・満月の影響を受けた個人的な思想によるもののようです。


エンスイの部隊が到着し、作戦を決行するカカシ。
エンスイは奈良一族のようで、
この作戦では影真似・影縛りの術がキーとなるようです。
余談ですが奈良一族は“形”の名前が多いようですね。

「エンスイは影真似の術の力をゆるくし、
 まずはオレの動きにゆだねてくれ。
 山中サンタは心転身の術でオレと入れ替われ。
 そして敵を感知しながら影真似で、
 オレを目視できるところまで導いてくれ…
 なるべく後ろを取るようにだ。

 まずは再不斬だ!
 奴を目視できたならすぐにサンタは心転身の術を解き、
 オレを体にもどしてくれ。
 再不斬と闘いオレが奴の影を踏みつけ影を合わせる!
 そしたらすぐにエンスイは影真似と影縫いの2つの術の力を上げ、
 おもいっきり奴を縛れ!
 その後マキが布縛りの術で再不斬の体を動かぬように縛り上げろ!」

――というのがカカシの作戦の概要です。
どうやらそのままでは届かない影を、カカシを使って届かせ、
影縛りから布で完全に拘束する作戦のようです。
このときに影真似がカカシにもかかるため思うように動きがとれないため、
山中サンタの心転身の術を使って身体を動かし、
再不斬の不意をついて影をとらえる作戦のようです。

「よし! 気づかれていない!
 先手を取った! いける!」

作戦はうまくいき、なんとか再不斬の後ろを捉えることができました。

「多勢を相手にするには再不斬の霧隠れの術が要…。
 他はただの盾にすればいい。
 再不斬をまるで命がけで守る白。
 クク…今はただの人形だけどね。
 戦争ではなかなか面白い演出になってるだろうな…。」

しかし、そこへ邪悪なカブトが白を捨て身で盾にさせます。
再不斬も白もろともカカシを貫こうとします。

2.伝説の忍刀七人衆(2)

行方が不明であった忍刀残り4本はどこにあるのか――
それは甦った満月が持つ(おそらく口寄せされた)巻物の中に収められていました。
そこには断・大・長・鈍・爆・雷・双のそれぞれの特徴を現した漢字が書かれ、
首斬り包丁『断』、鮫肌『大』、ヒラメカレイ『双』はすでに外にあるためか、
黒く塗りつぶされています。
残りの4本が巻物から召喚され、それぞれの使い手の元へ渡ります。

「でも他にも色々刀があってさ、
 歴代の忍刀の中には鬼鮫や再不斬、長十郎以外にも
 すごい使い手がいたんだ。」

と嬉々とした様子で語り出した水月

「まずは――、雷を帯びた切れ味最高の一本。
 雷刀“牙”の使い手 林檎雨由利 。」

千鳥いらずの電気を帯びた二刀、牙。

「どんなガードをも叩き潰す、
 鈍刀“兜割”の使い手 通草野餌人!」

斧や戟<ゲキ>に似た、兜割。

「全てを突き刺し、縫い合わせる
 長刀“縫い針”の使い手 栗霰串丸!」

レイピアのように非常に細長い剣、縫い針。

「太刀筋に爆発の力を加えた、
 爆刀“飛沫”の使い手 無梨甚八!」

刃の峰に夥しい数の起爆札をもち、
その爆発にも耐える強度を併せ持つ、飛沫。

「それから干柿鬼鮫と同等に大刀“鮫肌”をあつかった一人。
 西瓜山河豚鬼!」

鮫肌の元持ち主で、鬼鮫の上司だった人物です。

「そして…それら全ての七刀を使いこなす…
 鬼人の再来と言われたボクの兄、 鬼灯満月!」

全てを使いこなすといわれている満月の愛刀は他の使い手を考えると、
いま長十郎が手にしているヒラメカレイと考えられます。

「そして――何よりこのボクが、
 新世代忍刀七人衆の隊長であり、そして――」

水月が力を込めて自らの夢を語りかけたところで、

「もういい……。大声でしゃべりすぎだ。」

と重吾に止められ、

「…なんだよ…せっかくの締めだったのに…」

と残念そうに水月はこぼします。

「………お前の持っていた刀は折れてしまったのだろう…。
 あんなものより、新しく作ればいいんじゃないのか?」

と提案する重吾に水月は首斬り包丁の秘密を打ち明けます。

「何も知らないくせして…。
 …あの刀にはある能力がある…。
 断刀、首斬り包丁は刃毀れしない刀…。
 いや…刃毀れが直ると言った方がいいかな…。
 人を斬りさく人の血を吸い続ける事でね。
 アレは血中の鉄分で再生する!」

鮫肌がチャクラをかじり取るように、首斬り包丁も特殊な刀で、
血を浴びることで再生するようにつくられているようです。
このことについては、次の記事【断刀・首斬り包丁】をご覧下さい。