水月の台詞によれば、

「何も知らないくせして…。
 …あの刀にはある能力がある…。
 断刀、首斬り包丁は刃毀れしない刀…。
 いや…刃毀れが直ると言った方がいいかな…。
 人を斬りさく人の血を吸い続ける事でね。
 アレは血中の鉄分で再生する!」

鮫肌がチャクラをかじり取るように、首斬り包丁も特殊な刀で、
血を浴びることで再生するようにつくられているようです。


さて、ここで実世界のデータに基づき、
およそ首斬り包丁の刃1m(刀身)の再生には、
どれだけの犠牲が伴ってしまうのか、
という恐ろしいテーマについて考えてみましょう。

    • (i)首斬り包丁にどれだけの鉄が含まれるか

鋼の密度は7.83 \times 10^{-3} \qquad [ kg/{cm}^3 ] で、
首斬り包丁の刃の密度を鋼と等価と考え、
鋼は炭素を微量含みますが、この炭素は微量なので無視し、
すなわち1cmあたり1.98gの鉄が必要と考えます。
刀幅は普通の日本刀では2.5〜4.0 [cm]程度ですが、
絵から首斬り包丁の刃幅は再不斬の胴の幅以上あり、
およそ40[cm]と推定できます。
さらに刃の厚さは2[cm]程度あると考えられ、
刀身方向1[m]の首斬り包丁の鉄の重量は
7.83 \times 100 \times 40 \times 2 =62640 \qquad [g ]

(1)
となり、約62.6[kg]です。

    • (ii)血液の鉄分について

人間の血液の量の基準値は 65.7±1.6 [mL/kg]とされています。
大雑把に体重1kgあたり65mlと見積もり、
筋肉量の多いであろう成人男子の忍の基準体重を70kgとします。
血液は血球と血漿からなり、wikipediaによれば、その成分比は45:55です。
さらにそのうち血球成分では、
赤血球96%、白血球3%、血小板1%で組成されています(重量比)。
そのうち鉄分は赤血球のヘモグロビンに由来し、
成人男子では血液中の 15.2±1.4 [g/dl]を占めます。
このヘモグロビン蛋白は分子量約64500で、
ヘムといわれる2価の鉄原子を中央に有したものを4つもつ構造です。
したがって鉄の原子量は55.85ですから、
これより1mlの血液に含まれるヘモグロビンの量、基準量を0.15[g/ml]とすると、
そこに含まれる鉄の量は、
0.15 \times (\frac{55.85}{64500} \times 4) =5.2 \times {10}^{-4} \qquad [ g/ml ]
であり、基準成人男子では、
65 \times 70 \times 5.2 \times {10}^{-4} =2.366 \qquad [ g ]

(2)
の鉄が血中に存在し、(1),(2)式から、
\frac{62640}{2.366}=26475
となります。
すなわち1[m]の再生には約26475人分の血を吸い尽くす必要があります。
これは恐ろしいことです…


しかし、ナルトの世界ではおそらくチャクラによって、
これだけの人数を斬らなくても、再生してしまうのでしょう。
絵を見ると数人〜数十人程度で刀身が回復してるので、
その作用は数千から数万倍程度のものと思われます。