509 『平和への架け橋』

今回はなんとか記事を更新できました。

1.平和への架け橋(1)

対峙する小南とトビ。

「一つ問う…。なぜお前らほどのメンバーがオレを裏切った?
 うずまきナルト…、奴にそれ程の価値があるとでもいうのか?」

とトビが訊ねます。

「…彼は。だからこそ皆……、希望のを持てる!」

小南はナルトを光に例え、
“花”という単語で希望を表しています。
光があるから花は咲く――のですが、
花は一般的に光を求める性質があって、
小南の例えはナルトに向かって希望が自然に集まっていくことを意味します。
つまりそれだけ、ナルトへの小南の期待も大きいのです。

「フッ…。オレに牙を向けるというのに、
 まだその衣を着てるとはな。
 “暁”に未練があると見える。」

トビが皮肉を言うとおり、
小南はまだ暁の衣を羽織っています。

「“暁”は弥彦の作った組織。この衣にある赤き雲は、
 ここ、雨隠れに血の雨を降らせた戦争の象徴…!
 “暁”にアナタが乗っかっただけだ。
 この衣は私達の正義。アナタのものではない。
 そして輪廻眼は雨隠れの忍、長門が開眼したもの。
 やはりアナタのものではない。
 彼の眼はこの国の…里の宝だ!!」

弥彦がつくり、長門が礎となってつくられた“暁”という組織。
その二人を傍らで支えてきた小南にとっては、
S級犯罪者が集う戦闘集団としての“暁”ではなく、
その平和への思想を胸に改革を目指した“暁”という組織なのです。
それを土足であがって蹂躙するようなマネは小南には許せないはずです。

「クク…。お前は二つ勘違いをしている。
 どうせ最後だ。教えてやる。」

小南の攻撃を透過させながら、
トビは小南に告げます。

「“暁”を弥彦に立ち上げるように仕向けたのはオレだ。
 輪廻眼を長門与えたのもオレだ。
 だから返してもらうと言った方が正しいか…。」

えーーーーーーーーーっ!!??
と言いたくなる様なトビの台詞ですが、
小南には耳を覆いたくなるような事実(?)です。
“暁”立ち上げ当時、トビの奸計を遂行する目的で
弥彦にそういう組織を立ち上げるようにしたならまだ話は分かりますが、
輪廻眼の方はどうでしょう。
長門は不幸にも潜在的な力を暴走させた結果、
自らで輪廻眼の発現を成しえたはずです。
長門の両親を追い込んだり、
略奪の限りを尽す岩忍を差し向けたりしたのも、
全てトビの掌の上での出来事だと言うつもりなのでしょう。
あれもこれも全て計画通り、
そしてオレのものはオレのもの、お前のものもオレのもの
とでも言いそうなジャイアニズム思想のトビは、さらに小南を罵ります。

「まあいい…。オレからすれば、お前は何も知らないただの小娘
 ただ、今は…長門の輪廻眼の場所を知っている小娘だが…。
 お前を捕らえさえすればどうにでもなる。
 うちはの瞳力をなめるなよ。小娘!」

さすがに小南もこれを聞いて黙っているわけにはいきません。
小南は大きな両翼を携え、紙吹雪でトビを撹乱します。

「(数で攻め、オレが実体化するスキを逃さない気だな…。
  …いいだろう。何か策を練って誘っているのは分かる…。
  勝負してやろう!)」

トビは小南のどんな戦略すらも叩き潰せるという驕った態度で、
その攻撃を受け流し続けます。
そして紙吹雪にまぎれた小南の実体を捉え、
その写輪眼の術で吸い込もうとします。

「(私があの世に連れていく。)」

しかしその瞬間大量の起爆札が表れます。
小南は実体化の瞬間を狙って、
逃れようのない爆破攻撃を狙っていたのです。


2.平和への架け橋(2)

――小南の回想。
どうやら、暁の作戦会議のようです。
ゲリラ戦が展開される危険地域、第7区。
そこへの偵察を買って出る手負いの長門を制し、
同じく手負いの弥彦は単身その任務を請け負おうとします。
心配する小南が弥彦に出立の際に言葉をかけます。

「気をつけて弥彦…。」

その言葉に弥彦は、

「見送りなんていい!
 それより長門の傷を診てやれ。」

と一喝します。

「あいつは“暁”の要!
 これからこの国を、世界を変える男になる!
 これからは心配する気持ちは全てあいつに注げ。」

弥彦はあえて小南を突き放すような酷い言い様をしますが、
小南はそれにめげることなく言い返します。

「それはアナタも同じ事…。
 皆アナタという人間についてきている…。
 …それは何より長門も同じ。」

気遣う小南に弥彦は告げます。

長門は……あいつは平和への架け橋になる男だ。
 オレの役目はその橋を支える柱になる事だ。」

どうしてこのような事を小南に言う必要があったのか――
それは自らの死期が近いことを悟ってなのか、
はたまた暁という組織を統括し続け、
自らの能力の限界を感じ、疲弊してきていたからなのかは分かりません。
1つ確かなのは、この3人の間柄でどんな事情があったにせよ、
弥彦は小南を気遣い、長門に小南を託そうとしています。
自らが作った暁という組織も、その思想である平和も。

「この国は相変わらず泣いている。痛みに耐え続けている。
 昔は泣いてばかりのこの国が嫌いだった。
 …だが今は救ってやりたい…。心からそう思ってんだ。
 泣き虫だったオレと似ててほっとけなくてな。」

――例え自分が死ぬ事になっても…という心境なのでしょうか。
そう言って雨の中へと去っていく弥彦を、
やはり心配そうに小南が見つめます。

「平和の架け橋は彼だよ。
 彼の意志そのものがね。」

休んでいるはずの長門が、一同を引き連れて、
弥彦の見送りに来たようですが、
一足遅かった様子――否、わざと一足遅れてきたのでしょう。
弥彦を一人で行かせないために。

「オレ達は弥彦を信じてる!!」

長門の号令のもと、弥彦を追って何人もの忍たちが向かっていきます。
長門も動くということは第7区の偵察だけでなく
鎮圧にも向かったと考えられます。

「(私は弥彦と長門…。二つの架け橋を支える柱になる!!)」

その中で小南は誓ったのです。
平和の架け橋を支える柱は自分であると――

3.平和への架け橋(3)

再び小南とトビの戦闘。
起爆札で右腕とその仮面の目元にダメージを受けたトビ。

甘く見ていたな…。
 考えれば、元“暁”メンバーだ。お前も。
 …吸い込む瞬間に自爆して
 オレごとやるつもりだったようだな…。
 だが、失敗だ…。」

輪廻眼の在り処を聞き出すために捕えようとしていたはずなのに、
自爆されることを読めなかった甘さで、
計算通りに万事が進んでいると言いたげなトビに
突っ込みを入れたい発言です。

「爆発ごと吸い込んだ…オレの方が速かった。
 少しくらったが……。
 ……おかげでお前も助かったな…。……感謝しろ。
 これで…お前の秘策も終わりか?」

そんなトビを今度は小南が皮肉ります。

「マダラ…アナタに一つ問う。」

小南もトビはマダラであるという認識があるようです。

「なぜアナタは私達に裏切られたか分かる?」

その問いにトビは、小南と長門の問題とします。

「アナタは闇。
 光のない世界では花は枯れるしかない!!」

小南は川を割り、紙に変化させて、トビをその奈落へ誘います。
闇には闇を――。小南の秘術は果たして通じるのでしょうか。