1.雨を止める(1)


この図は雨雲の中にある、雨のもととなる粒子の様子を模式的に表したものです。
図にあるように、融合を繰り返し成長して大きくなった粒子ほど下の方に集まり、
最終的に重力に耐え切れなくなるまで大きくなると、落下していきます。
これが雨です。これらの仕組みより、様々な方法が考えられますが、

  • 粒子の成長を遅らせる。
  • 大きい粒子を小さい粒子に戻す(分解する)

という観点で雨を止めることを考えてみます。


ここで濡れている洗濯物が風で乾くことを想像してみましょう。
水分子は凝集力(同じ分子同士で集まる力)が強く、
洗濯物の表面に薄い水の膜をつくります。
そこに流動性の空気が当たると、この水の膜が崩れ、
水分子が飛び出して、水蒸気となって空気の中に溶け込んでしまいます。
これが繰り返されることで、洗濯物に含まれる余分な水分が飛び、
乾いた状態になるわけです。
日光に当てたり、気温が高く湿度が低いときに乾きやすいのは、
この洗濯物の中にある水分子の活動が活発化し、
風で水の膜が壊された後に、
新しく洗濯物表面に水の膜をつくることが速くなること、
空気に含まれる水分量が小さいため、
より多くの水分を奪っていくことなどが考えられます。


これは水の塊が、風によって細分化される過程として考えることができます。
このことが雨雲の中でも起これば、雨は止むでしょう。
ところが雲の中でも風は吹いていますが、
実際は雲の中の空気が含む水分量が多いこと、(=粒子から奪われる水分量が小さい)
粒子が成長していく速度が速いことから、
結果として雨となってこぼれてくるわけです。

2.雨を止める(2)

そこで雨を止めるためには、風(乾燥)以外に別の力が必要になってきます。

ここで水遁の術について考えます。
周辺に川や湖などの水源がなくても、水遁の術で水を大量につくりだせるのは、
空気中に含まれる水分を液体の水に相転移させているからであると考えられますが、
水は液体から気体になると体積はおよそ1700倍になります。
つまり同じ量の液体の水を得るにしても、
水源がある場合に比べて単純に1700倍の広範囲から水をかき集めることになります。
このとき、術者を基点に縦横高さ方向は等倍だとすると、1700の3乗根倍、11.94倍大きくなります。
したがって水の無いところから水をつくりだす水遁の術は、
かなり高度な術であることが分かります。
と同時に、この範囲の水を“かき集める力”が必要ですから、
より広範にチャクラを操れる力が必要になります。
逆に、再不斬が濃霧をつくり出した例を見れば、
水分子を“かき集める”ことができるなら“ばら撒く”ことも可能であるといえます。
この範囲を雨雲に限定した場合、
ペインクラスともなれば、大きい粒子を小さい粒子にすること、
核となる塵から水を離すことは造作もないでしょう。
つまり雨雲の中で水遁の術の逆をやっていると考えられるのです。


雨をレーダーのように扱う仕組みに関する推論は次のコラムで扱うことにして、
このようにペインが遠くのチャクラを感じることができたりするのも、
卓越した水遁の術を扱うためであると考えられます。
ということは鬼鮫、二代目火影をはじめ水遁を主軸に使う忍は、
チャクラを感じる能力が鋭敏であるといえるかもしれません。