473 『ブラザー』

秘伝・皆の書が12月4日に発売されるそうです。
者の書(2008/9/04)からはおよそ1年で発売という形で、
これで九字(臨兵闘者皆陣列在前)の5文字目まで来ましたね。

1.ブラザー(1)

ビー絶体絶命の危機。
鬼鮫が振りかざした刀はすでにビーの脚を斬りつける寸前。
サブちゃんは全速力でビーのもとまで駆け寄ろうとしますが――

「ここだ!!」

ビーは隙をついて躱しようがない密着した距離から
雷遁をまとったエンピツを投げつけます。

「惜しかったな…………」

しかし鬼鮫は超絶な反射神経でこめかみを掠る程度で避けます。

「これを…狙っていたんですね。
 確かに惜しかったですね。
 最初に投げつけてきたエンピツがそんな所にあったとは。」

こめかみからは血が流れるものの余裕の表情の鬼鮫

「しかし…悪あがきはここまでのようですね!」

再び振りかざされる兇刃。
流石のビーもいつになく強張った表情です。
――と、そこに雷遁をまとった手裏剣が、
振り下ろすその一瞬を縫って刀の峰側から突き抜け刀身を折ります。
雷影一行到着。
水遁・大爆水衝波による水のドーム。
そこにはビーの八尾のチャクラが練られており、
シーによって感知されたのでした。

「むやみやたらに他人のチャクラを吸い取って利用すんだもんよ。
 バレバレだっつーのよ。」

とダルイ。この台詞は分かりにくい言い回しですが、
要するに、鮫肌はビーのチャクラを八尾の衣を引っぺがすほどの夥しい量を吸収し、
その鮫肌から鬼鮫はチャクラを分けてもらったわけです。
そしてそのチャクラは鬼鮫オリジナルのものとして同化されることなく
“ビーのもの”そのものを使いまわししていたようで、
それが水遁のドームに必然と含まれていた――ということでしょう。
しかし恐るべきは、
仲間のチャクラが普段では考えられない状況(水に分散(?)して含まれている)
にあることを短時間でその敵対者が吸収して使っていると見抜いてること

ではないでしょうか。それともナルトの世界では常識の範疇?

「…やっぱバレちまったな…」

鮫肌からさらにチャクラを供給され、ビーは起き上がります。
ビーは居場所がばれ、諦念のようなものを口に出しますが、
雷影の呼びかけには即座に答えます。
鬼鮫が水遁・大鮫弾の術の印を結ぶ刹那、腹背<ふくはい>方向からの
ギロチン式ラリアット、その名も絶牛雷犂熱刀<ダブルラリアット>。
尾獣の衣をまとったビーと雷遁を纏った雷影のタッグ技ですが、
その威力は計り知れなく、すれ違いざまに鬼鮫の首は高く吹き飛びます。
ビーのもとを目指すサブちゃんの目の前にその首が落ちてきて、
身の毛も弥立つ様子で目を丸くして驚いてます。

「一人でチョロチョロしおって!!」

ビーは雷影から頭を右手で鷲摑みにされます(アイアンクロー)。

「…利き腕じゃなくても き 利く 危機だヨウ♪」

と語彙もままならない稚拙なラップになるほどの効き目なのでしょう。
このことから雷影の利き腕は左であることも分かります。

2.ブラザー(2)

一方で鉄の国。侍達はサスケの部下を捜索中です。
なかなか見つからず、もう瓦礫に埋もれているのではないかという話も出る中、
ミフネの付き人であった隻眼の僧侶のような人物が現れます。

「いや…雲隠れの感知能力者がその二人の生存を確認し、
 我々に拘束するように頼んで去っていった。」

のらりくらり受け答えする怪しい侍二人。
と突如鎧を脱げと刀を向けられます。

「あらら…バレてたみたいだね。」

水月と重吾は侍に変装していましたが、見破られてしまいました。


青の元には水影と長十郎が駆けつけます。
どうやら青が鎌に向かって飛び降りていく中途を水影が助けた様子。
青に乗り移っているフーはこの状況を巧く利用し、
青が心転身の術か何かで操られてい――という状況に持ち込みます。
(実際はまだ操られてい

「感知タイプの先輩でも流石に助けが間に合うか不安でした?」

と訊く長十郎に、

「心配をかけてすまない…」

と謝ります。

「………その右目……、奴らは白眼を狙ったようね。」

水影は呪札の張り付いた青の右目を見て言います。

「あやうく潰されるところでした…。
 すみません…この手の縄を解いてもらえませんか?」

そういって青は縛られた手を水影に差し出します。

「ええ…その右目の術も…私が解いてあげますよ。」

そう言ってにこりと笑う水影。
しかしもう既に水影は目の前にいる青が青自身でないことに気づいています。
つい先ほどまで操られていたのに、今現在術が解かれている保障はない。
こういうポーズをとったのはおそらく、敵の目的を確認するため。
白眼を潰す――ということの確認および後述の罠の布石。
縄を早く解いてもらって白眼を潰そうとにわかに色めき立つ
その様子を水影は見逃しはしません。
木偶に閉じ込められた青の精神は光景そのままを見て焦ります。
一方でフーはしめたといった様子。

「………そうだ! このチャクラ、木ノ葉のあいつだ
 感知タイプだった奴だ!
 サスケのつれてきた女が感知してきた時、
 オレと同じようにそれを逆感知したリアクションをしていた……。」

焦りの中でようやく敵の正体に気づいた青。
フーとトルネのうち、チャクラの質からか
感知タイプだった方(つまりはフー)であることに気づきます。

「こいつも二人がここへ近づいてきてるのが分かってたのか!
 はなからこれを狙ってやがったな!」

青としては心転身の術の使用者と木ノ葉の感知タイプが
同一人物であるとは気づいていなかった。
水影と長十郎のチャクラが自分へ近づいてきているのは知っていて
だからこそ、鎌へ飛び込むという時、
この二人という後ろ盾があったからこそフーに対して強気な発言ができた。
しかし、それは相手の知るところでもあった、というわけです。

「これでよし!」

何故か解かれないままの手の縄。なのに水影は微笑みます。

「ヒラメカレイを貸して長十郎。」

水影の様子に一瞬困惑する長十郎。

「アナタは青じゃない…。
 私はその右目の術を解く事はできません…。
 この事は青もよく知っています。
 それに青は長十郎の前でカンタンに謝ったりしません…。」

もうすでに勘繰ってはいたものの、裏付けるためにあえて罠を張る。
99.9%怪しいと思っても100%だと断定するまで行動しない、
水影の慎重性が如実に現れている言動であるともいえます。

「…カマをかけたか…。食えないババアだ。」

――と吐き捨てた青(フー)に鉄拳制裁。

「わ…私が……言ったんでは…ないん…ですが…」

どうやら捨て台詞のあとにすぐフーは術を解いたようです。
赤く腫れ上がった顔で涙を浮かべる青。

「ヒラメカレイの方じゃなくてよかったですね。」

長十郎も憐れみの表情です。

「すみません…失敗に終わりました。」

ダンゾウに失敗したことを伝えるフー。
ダンゾウはそれを咎める様子はありません。
もう豪雪地帯を抜けたのでしょう。
松のような木が岩肌からはえている、
そんなところにダンゾウたちは差し掛かっています。


ナルトたちはというと、サイの分身がナルトの前に現れます。

「さっきサクラが君に言おうとして言えなかった
 本当の事を言うよ。」

果たして――。