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小人さん、初コメントありがとうございます。m(_ _)m
オビト関連はまたいつか…
今回はイタチについて、いよいよクライマックス。
事件の核心部分について妄察します。
1.不自然な犯人(1)
サスケがアカデミーから帰ってくると、
よく映える満月を背に、電柱の上に誰かがいた気配を感じます。
月に写るシルエットはイタチと同じような暗部の手甲、そして刀を差しているようですが、
髪が腰まであるかあるいは、このような長い虚飾があります。
その後サスケはあたり一面に血を流して斃れている一族の人びとを見つけるのです。
「…な……何だよ…コレ……」
この描写では5人の人間が斃れています。良く見ると、
斃れている人物から遠く離れているところにも血痕が飛散しています。
家へと帰る道を急ぐサスケ。
そして家へ着いたサスケは家にある小部屋の前で異変を感じます。
「サスケ…来てはならん!」
ややあって、扉を開くサスケ。
お気づきの方も多いと思われますがこのとき、
人が倒れる描写や、ぎゃああという悲鳴の描写がないことに注意してください。
折り重なって斃れるフガクとミコトを目撃したあと、そこに佇む兄の姿を見つけ、
駆け寄ろうとしますが自分に向かって投げられた手裏剣に、兄のただならぬ雰囲気を感じるのです。
そして万華鏡写輪眼によって両親が殺害される場面を見ることになります。
何よりもこの場面で注目して欲しいのは、
「ぎゃあぁああ!!」という断末魔の叫びにも似た悲鳴の描写があること。
これは明らかに不自然です。
サスケが駆けつけ扉を開けようとした描写を振り返ってみてください。
悲鳴はおろか人が倒れる描写は計ったように省かれています。
サスケは「来てはならん」と言われてからおそるおそる扉を開いています。
この間に断末魔の悲鳴の描写があるのが自然です。しかし、ない。
岸本先生は何故このようにこの場面を描写したのでしょうか?
忘れていた? 否、ちゃんとした意味があるはずです。
「サスケ…来てはならん」
これはいったい誰の台詞でしょう。「父さん、母さん!!」という呼びかけに答えるかのような台詞。
この描写だけを見れば口調からフガクの言葉だと考えることでしょう。
事実、フガクの言った台詞だとすれば、
息も絶え絶えでまさに死ぬ寸前だった――としても描写と合致します。
他にも実は可能性が残されています。
その後の描写、扉を開けて月明かりに照らされて斃れる父親と母親を認識します。
そしてそこに佇む兄の姿も。つまりこの台詞はイタチも言えたはずの台詞なのです。
逆にイタチの言った台詞だとすれば、
フガクがすでに死んでいて断末魔の描写がなかったことにスムーズに説明がつきます。
サスケは気が動転していました。実際、兄の姿を見るまで兄がいることに気がつかなかった。
この状況では兄の言葉を父の言葉と錯誤する状況はともすると生じてくると考えられるでしょう。。
問題はなぜ、イタチがこのように言ったのか――
それを考える前に、少し先に進んでみましょう。
2.不自然な犯人(2)
「愚かなる弟よ………」
そういって弟に手裏剣を投げる描写について、
「…兄さん!! 兄さん!! 父さんと母さんが!!
なんで! どうして!! いったい誰がこんなこと…」
この手裏剣によってこんなに取り乱している弟が一瞬我にかえります。
イタチは手裏剣をサスケに当てて殺す事だってできたはずです。
わざわざ注意を惹くように手裏剣を投げている点に着目してください。
そして万華鏡写輪眼によって残酷な場面を突きつけるのです。
「…どうして……兄さんが…?」というサスケの問いに
やや間をおいて「己の器を量る為だ」と答えます。
そんなことの為にみんなを殺したのかというサスケの悲痛な叫びに、
「それが重要なのだ。」
と遠い目をして答えています。
「オレの"器"はこの下らぬ一族に絶望している。」
以前自身で一族を『下らぬ』と表現しています。
自ら『下らぬ』と見限った一族を根絶やしにすることが器を量ることなのでしょうか??
さらにイタチに関する疑問は続きます。
「お前が望む様な兄を演じ続けてきたのは…お前の"器"を量る為だ…」
「お前はオレを疎ましく思い憎んでいた。このオレを超えることを望み続けていた。
だからこそ生かしてやる。…オレの為に。」
とちょっと無理がある(^_^;)台詞。
疎ましく思い、憎んでいた。超えようとしていたのはサスケだけじゃなかったはず。
イタチは優秀でしたし、まわりからはいつも嫉妬と羨望の眼差しで見つめられていたことでしょう。
事実イタチは自身で次のように発言しています。
「別にいいさ…。忍ってのは人に憎まれ生きてくのが道理ってもんだからな。」
「…クク…優秀ってのも考えものさ。
力を持てば孤立するし傲慢にもなってくる。
最初は望まれ求められていたとしてもだ。」
つまりはイタチがサスケを生かすために託ける形で口にしたものでしょう。そして弟に、
- 写輪眼と一族の本当の秘密
- 万華鏡写輪眼の開眼方法
という二つの真実をわざわざ教えています。何のため?
「貴様など…殺す価値も無い。…愚かなる弟よ……。
このオレを殺したくば恨め! 憎め!
そしてみにくく生き延びるがいい………
逃げて…逃げて…生にしがみつくがいい。」
そして自ら弟に恨みを募らせて殺すように仕向けている点に注目してください。
「このオレを殺したくば恨め!憎め!」この言葉が無ければ、
サスケに復讐のふの字すら当座は浮かんでこなかったはずです。
復讐するように仕向けたのは他ならないイタチ自身です。
自らの器を確かめるために、弟を自分の最大の敵にしようとした――
果たして本当にそうなのでしょうか?
結局、イタチは何だかんだといいつつ弟を生かそうとしているのは
本当にイタチがサスケに憎まれたいと思ってしていることなのでしょうか?
不自然な犯人。
サスケの言う皆を殺すことが"重要"で
なおかつ"器を測ること"につながるなら、
サスケを殺すことだって"重要"ではないでしょうか?
なぜ彼はイタチはサスケを生かしたのでしょうか?
器を確かめる相手となる、オレのため――
万華鏡写輪眼を開眼すれば、生かしておく意味がある――。
殺す価値が無い――つまり生かす価値があるという意味です。
そして弟のサスケでなければならない理由がそこには必ずあります。
愚かなる弟よ――兄を捨てきってないイタチの台詞。
このイタチの振舞い方には違和感を感じずにはいられません。
3.シルエットの人物
もしもイタチが犯人であり、あの電柱のシルエットもイタチのものだったとするなら、
サスケがイタチを見かけてから帰ってくるまでの間にフガク、ミコトを殺害したということになります。
さらに先ほど挙げた発言も百歩譲ってフガクだとしましょう。(=サスケ到着時までフガク生存)
一族が殺害されてからイタチが現われるまで(=サスケが現われるまで)、
フガクとミコトは一族が惨殺されているのにのうのうとしていたことになります。
これはあまりにも考えにくいでしょう。
そしてシルエットに写る人物。イタチにしては髪が長すぎです。
25巻143ページ左上の絵から、イタチの髪の長さはうなじより少し長いくらいで腰まではありません。
またそのような長い虚飾もありません。
つまりこれらの矛盾点から電柱のシルエットはイタチじゃないと考えるほうが自然です。
ではイタチに似た暗部の格好をしたあのシルエット、誰でしょうか?
4.暗部、粛清へ
イタチ以外に暗部部員がこの場にいるとしたら、それは、
暗部によるうちは一族粛清が行われたと考えてよいでしょう。
イタチもその任務を遂行する立場にあった。
だとすれば、短時間の間に一族全てのものが皆殺しにされたのも合点がいきます。
イタチがサスケに「来てはならん」と言った場合、それはなぜか?
フガクとミコトを暗殺したのはイタチ本人だったなら、
その生の様子をサスケに見せるのは「兄」として
無意識のうちにやはり抵抗があったからなのではないでしょうか。
ただ、暗部任務説にも難があります。
この後、イタチが一族虐殺事件の容疑者として里を追われる身となっていることです。
通常の暗部の任務であればこのようなことは起こらないはず。
一つだけこの疑問を解決する答えをあげるとすれば、
里の中枢が関わったことを周囲に知られたくなかったからと考えられます。
つまり里の中枢はイタチ一人が単独でこれを成し遂げたかのように
イタチに全てをなすりつけた。
そう考えると、一族虐殺事件の後、捜査が進んでないように見えることもうなずけるのです。
5.最後に
この事件は、NARUTOの物語の核心部分で、そう安くは明かされないでしょう。
徐々に徐々に分かっていくと思います。
イタチ単独犯行説が根強いですが、
どうもそうとは思えない描写がたくさんあります。
いずれにせよ、それらが思い違いであったとしても、
真実が明かされる段階で、ベタではありますが
イタチはサスケにとって「兄」のままで在り続けるんじゃないかと思います。
「ただ…お前とオレは唯一無二の兄弟だ。
お前の越えるべき壁として、
オレはお前と共に在り続けるさ。」
「許せサスケ…。……また今度だ。」
――と。