ペインとトビ

「(九尾は)お前が狩れ。リーダーとして失敗は許さん。」
「話は終わりだ…他のメンバーに残りの人柱力を急がせろ。」

暁のリーダーであるペインより上の立場かのような振る舞いでペインと会話するトビ。
この描写中で天気が晴れから雨へと変わっていきます。そして、

「写輪眼の本当の力が…このうちはマダラの力が。」

という台詞のところでは激しい落雷が背景に描かれています。
一見すると、トビがその正体(?)を明かす場面を、
より盛り上げようと描かれている描写に見えますが、

「また空が鳴き出した…ペイン…アナタ…」

と小南がペインの様子を窺うように言うこの台詞。
少し後の描写で里の侵入者を探しだすために、ペインが雨をあげるなど、
天候を自在に操っている様子から、どうやらトビが外出するときの雨は、
自然に振り出したというよりもむしろ、ペインが降らせているようです。
トビの外出を狙って雨を降らせている――それは、
上の立場にあるトビに対する反抗――ではないでしょうか。
そこから暁という組織の中枢にあるペインとトビの二人の潜在的な対立が見て取れます。

「いよいよだ…我らが目的を達成するのもあと僅か…」

トビは彼の目的を我らが目的としています。
我らとは複数の人間の同意のもとになしえるその共同体を指す言葉です。
つまり、トビの目的=ペインの目的で利害関係が一致しているように見えますが、
この雨の描写から実はペインはトビに全面的に賛成でないことが分かります。
例えば具体的にどういうことかと言いますと、
暁の目的は“世界征服”ですが、
ペインは自らを平和主義者の神と称していますから、
世界征服は自分の理想とする統治体系をつくりあげる上でのものとしていて、
一方でトビは“世界征服”は自分の野望の達成段階の一つに過ぎず、
世界の平和など全く考えていない利己的な欲望のもとにあるものとしているということでしょうか?


いずれにせよ、暁も黒幕(?)とされるトビの一枚岩ではなさそうです。