659『輪墓・辺獄』


非常に遅くなりましたが、
659話を挙げておきます。

1.輪墓・辺獄(1)

「この血の味…この痛み…
 オレの体だ…。
 やっと……闘いを実感できるぞ!!」

《輪廻天生》によって、
完全復活を果たしたマダラ。
穢土転生による偽の肉体ではなく、
痛みを感じ、血も漲る肉体の感覚を取り戻したことに、
再び"生きて"いることを実感します。

「どした、九喇嘛!?」

マダラが口寄せの印を結ぶと
何かを感じたように九喇嘛が固まります。

「…あいつの血…
 嫌な感覚を思い出しちまった。
 かつて、ワシを口寄せした…
 おぞましい血だ。」

と九喇嘛。

「ビビって尾を丸めてんなよ、バカ狐!
 たかだか人間一人によ!」

と九喇嘛のらしくない様子を見て守鶴。

「アレを人間だと思って
 甘く見ない方がいいぜ。」

と九喇嘛は忠告します。

「お前らしくねーな…。
 気にくわねェ!」

九喇嘛が普段見せない様子に
守鶴も多少の困惑を隠せません。
マダラの口寄せの術が発動すると、
オビトから外道魔像が剥ぎ取られ、
マダラのもとに現れます。
それを阻止すべくカカシは《神威》によって
外道魔像自体を異空間へ封じ込めようとしますが、
その巨大な容量を封じ込めることはできず、
たかだか右腕程度しか飛ばせませんでした。

「右腕がもがれたか…。
 向こうにもまだいい眼を持っている奴が
 いるようだな。
 …まぁ特に支障はない。
 これであいつらの小屋はできた。
 後はぶち込んでいくだけだ。」

とマダラ。
どうやら外道魔像は尾獣たちを詰め込んでいくだけの
単なる"小屋"的な役割に過ぎないようです。

「穢土転生の偽物輪廻眼でも
 アレを口寄せできんのかよ!?」

と孫。

「…奴は血を出し、傷を負っているわ。
 つまりもう穢土転生ではない…
 本物の輪廻眼を持っているのでしょう!」

とそれに対して猫又が答えます。

「どうやって生き返った!?」

と重明。彼らは輪廻天生を知らないようです。

「…まさか…オビトで。」

ようやく事の成り行きに気付いたナルト。
そう――オビトを媒体に、
《輪廻天生》が発動したということに。

2.輪墓・辺獄(2)

「シツコイナ…死ニカケノクセニ。」

黒ゼツに操られることに対して
必死に抵抗するオビト。

「コノ左目ハ長門ニ渡リ、
 オ前ニ行キ着イタガ…
 アルベキ本来ノ場所ヘ戻ル時ナノダ。
 コノ世ニ輪廻眼ヲ開眼シタ者ハ
 六道仙人トウチハマダラダケダ。
 オ前ノ様ナ者ガ持ッテイイ代物デハナイ。」

と黒ゼツは語ります。

「右目は隠した…
 左目は今ここでカカシに潰させる。」

とオビトは抵抗を止めません。
カカシもオビトの意志を尊重するように、
クナイを構えます。

「クク…右目ハ白ゼツガトックニ見ツケテイタ。
 スデニマダラ様ニ渡ッタ。
 死ニゾコナイノ用済ミガイチイチ抵抗スルナヨ。
 オレガ付イテイナケレバオ前ハ死ンデルンダゾ。」

と黒ゼツ。
もはや外道魔像を抜かれ虫の息の状態です。

「だったらオレから離れろ。
 オレが死んでから輪廻眼を取ればいいだろ…。」

というオビトに対して、

「離レタトタン、
 オレハコイツラ二人ニ命ヲ取ラレル…
 輪廻眼ヲ取ル前ニナ。
 オレハ暁ノ情報収集屋ダッタノヲ忘レタカ?
 コイツラ二人ノ力モ分析済ミダ。」

と黒ゼツ。非常に狡猾です。
オビトに寄生し手出しできない膠着状態をつくり、
隙を見て左の輪廻眼をマダラのもとに
持っていくつもりです。

「左目はもう少しかかりそうだな。」

黒ゼツの事態を白ゼツから把握したマダラ。

「ペットを連れ戻すのに
 何年もかかったガキと一緒にするな。」

とマダラ。輪廻眼一つでも過ぎるくらいでしょう。

「…血だらけですけど…」

心配するように白ゼツ。

「柱間の治癒の力があると分かっている分…
 戦い方に優雅さが欠けてしまう。」

とマダラ。
自分の肉体を実感する為に、
わざと攻撃を喰らっていた節があります。

「もう少し丁寧にいく。
 輪廻眼本来の力を使えば、
 高尚な戦いに見えよう。
 数秒だ…よく見ておけ。」

とマダラは外道魔像の天辺に場所を移します。
そして輪廻眼を見開き《輪墓・辺獄》を発動するのです。

「何かしてくるかも。注意を――」

猫又が警戒したのも束の間、
突然見えない何かに攻撃されたように
尾獣たちが吹っ飛び、地面に倒れます。

「少しはおとなしくなったな。
 これでやっと首輪をかけられる。」

とマダラは畳み込むように、
外道魔像からチャクラの鎖を伸ばします。
チャクラの鎖に掴まれた九つの尾獣たち。

「まずは八尾と九尾を…
 人柱力から引きはがす!」

喉元をチャクラの鎖に掴まれ、
抵抗するにもできない九喇嘛とナルト。
絶体絶命です。