658『尾獣 VS マダラ』

1.尾獣 VS マダラ

「…ここに居るのは…」
「ああ…マズイな。」

尾獣たちとマダラが睨み合う中、
連合軍の忍たちは一旦退却します。

「ここから離れろ!」

とシーが呼び掛けます。
守鶴と共に我愛羅が見据える先にはマダラ。

「守鶴! 仕込め!」

我愛羅の言葉を皮切りに、
一気に動き始めます。

「暴れるぜェ!!!」

《風遁・砂散弾》――
ショットガンのようにして飛ばされた砂霰が、
マダラを際限なく襲います。

「いい術だ。だが決定打に欠けるぞ!」

と全てを受け切りながらも前進してくるマダラ。
しかし狙いは決定打ではなく、
マダラの体内に忍び込んだ砂をコントロールして、
動きを鈍らせることです。

「お前の砂を埋め込み、
 自由を奪う術だったか。」

まるで第三者が鑑賞するかのように、
その場その場を楽しむかのようなマダラ。
絶対的な力に裏打ちされた自信です。
その隙を二尾・又旅が強烈な叩打。
トスアップされたマダラを三尾・磯撫が
硬い殻で打ち返します。
すかさず四尾・孫悟空が掌打で打ち上げると、
五尾・穆王が突進からの頭突き。
上空に打ち上げられたマダラは七尾・重明によって
はたき落とされて六尾・犀犬の粘り沼へ。

「今だ。守鶴!!」

我愛羅の掛け声とともに、
守鶴が自身の身体を砂化して、
沼ごと覆ってしまいます。
そして印を張り巡らせ、
《砂漠層大葬封印》を完成させます。

「オレ様の砂体と呪印模様を使った大層封印だ!
 もう二度と空気に触れる事はねェーぜ。
 ギャハハハ!!」

と守鶴。
しかし喜んだのも束の間、
《須佐能乎》を宿らせ、
その強固な封印を突き破り出てくるマダラ。
目を開いていないのに、
万華鏡写輪眼の術を軽く使うとは恐るべしです。

「すぐに首輪をかけたやる。
 一匹も逃がしはせん!」

ゾンビのように這い出てきたマダラに
たじろぐ一同ですが、

「させっかよォ!!」
「てめーに尻尾振る奴はいねーよ!」

すかさず九喇嘛とナルトが叩きます。

「遅くなってすまない!
 負傷者を移動していた!」

と八尾・牛鬼も加わり、
ついに尾獣九体が揃います。

「大丈夫!
 もう負傷者が出る事もないわ。決着よ!」

と二尾・又旅も必殺の構え。

「尾を重ねろ!!」

九喇嘛の合図とともに尾獣たちが
一斉に自らの尾を振り翳してそして下ろします。
尾獣九体が力を合わせた渾身の一撃。
マダラとはいえ粉微塵でしょう。

「惜しかったな。クソ狸!」

と九喇嘛。

「フン…
 えらそうに命令しやがって、バカ狐が。」

と守鶴。
しかしそんなやりとりも束の間、
何事もなかったかのように、
折り重なった尾を吹き飛ばして見せるマダラ。

「…しつこい奴だ!」

四尾・孫も呆れ顔です。
ちょうどそんな折、
地中より白ゼツが現れます。

「遅くなりました…マダラ様。」

そういって握りしめた右腕ごと手渡された何か。

「やっと来たか。…持っているな?」

ちょうど負傷した右腕を入れ替えるように、
受け取ります。

「これで…少しは楽しくなるか……。」

徐に閉じられた右眼へそれをもっていき、
しばらくして見開きます。
そこにはマダラのオリジナルの輪廻眼があります。