掲示板の方に応援のメッセージを書き込んでいただいていた方
返信がなかなかできずに申し訳ありませんが、
とても励みになっております。
いずれお返事を書かせていただきたいと思っておりますゆえ、
いましばらくお待ちください。

申し訳ついでに前回の記事にて、
穢土転生で魂が還る場所は"穢土(=現世)"ではなくて"浄土(=あの世)"でした…。
ちょっと直しておきます。

592『第三勢力』

1.第三勢力(1)

「(一族とは…何だ…?
  …里とは…何だ…?
  …忍とは…何だ…?)」

いままで自分が信じてきた"憎しみ"――
イタチの本当の真実を確かめられたことで、
再びサスケの中の何かが揺れ動きます。

「オレはいったい…」

イタチが守った里――
でも里はイタチを守ってくれませんでした。
イタチを大事に想うからこそ、
イタチを無下に扱うかのような"木ノ葉の里"が憎かった――。
でも、改めてイタチの想いに接することで、
いま自分が何を思い、何を為そうとしているのか
サスケは分からなくなります。

「見ーつけた!」

思索にふけりかけたところで
突如壁が崩壊し、どこか懐かしい声が響きます。
水月と重吾です。


場面は五影対マダラに切り替わります。

「この程度の術で縛られるオレではないことは…
 戦っているお前らなら納得いくハズだが?」

穢土転生の契約を打ち破り、
穢土から浄土へ還ることを拒んだマダラ。
まさに不条理の塊のような存在に、
五影も手を拱<こまね>いてます。

「さて…須佐能乎完成体…
 アレを一度目にした者は「死ぬ」と言われている。
 一度引っ込めてしまった以上、
 二度も出すとなると少しみっともないな。」

絶対的な力をもって君臨するマダラ。
そのプライドが、須佐能乎を以て五影と戦うことを拒むようです。

「邪魔が入って興が削がれた…
 そろそろ九尾を獲りに行ってもいいのだが…」

影たちの実力を取るに足らないものと判断したような台詞。

「土影様!
 もう私たちでたちうちできる相手ではありません!!」

すっかり弱気のメイ。
それに対してオオノキが吼えます。

「それでもやるんじゃ!
 ここでこいつを止めねば……」

ナルトに対して"こちらのマダラ"は自分たちでケリをつけると
約束したことを思いだしながら、
折れてしまいそうな心をなんとか保ちます。
捨ててはならない意思を――

「醜いな……」

そんなオオノキを見て、
マダラははるか高いところから見下ろすように言います。
絶対的な力の差――
それが理解できないかのように振る舞うことに、
ある種の醜悪や嫌悪を感じるのでしょう。
地を這う虫けらを疎み蔑むような目をしています。

2.第三勢力(2)

ナルトたちとトビが戦っている場面へ移ります。
外道魔像を操って戦うトビ。
カカシの雷切やガイの体恤で、
外道魔像の姿勢を崩すことに成功します。
そして倒れかけたところへ八尾の渾身のアッパーが決まり、
その巨体は勢いよく地面へ倒れ込むのです。

「ヘッ! 苦しそうな顔してんな!」

とナルト。

「……どういう意味だ?」

冷静を装って訊き返すトビ。

「顔隠してっから…、
 オレが勝手にそう思って見てんだよ!
 くやしかったら面取って
 余裕かましてみろってばよ、バーカ!」

形勢はナルトたちに有利です。
その攻勢の雰囲気を理解しているかのようなナルトの挑発。
普段は気にも留めないものですが、
さすがのトビももう手を抜いてはいられないという
切迫感があると見えます。

「仕方ない…やらざるをえんか
 本当なら完全な状態で、
 復活させたかったのだがな…
 しかし欠片でもその力に変わりない。」

印を結び、ついに切り札を発動させる構えです。

「もうずいぶんと遅い…。
 約束の時間だ。」

外道魔像に何やら変化が現れ始めます。
十尾の復活でしょうか――

再び場面はサスケたちに戻ります。

「これがカブト…?
 なんかキモイね…。
 この腹から出てるのなんてまるででっかい…」

イザナミ術中にあり、動かないカブトを見て、
水月が小ばかにしたように言います。

「生きているな…」

一方でイタチの憑代<よりしろ>とさせられていた
みたらしアンコ。まだ生きているのを重吾が確認します。

「今さらお前らがオレに何の用だ?
 わざわざオレを探してまで。」

水月と重吾がわざわざ自分に会いに来る理由――
そんなものがあるのかどうか、
やや怪訝そうに相手の出方を窺うかのようなサスケ。

「うん! それがその…
 すごいのアジトでみつけちゃってさ…。
 えっと…」

何から説明していいのか、
まとまりのない話し方をする水月

「さっきイタチとお前が
 カブトの穢土転生を止めたと言ったな…。
 だがマダラとかいう穢土転生は止まっていないようだぞ。」

アンコを担ぎ上げた重吾。
水月の話に割って入るように、
マダラの情報をサスケに伝えます。

「里がどんなに闇や矛盾を抱えていようと、
 オレは木ノ葉のうちはイタチだ」
「…頼めるのは親友のお前だけだ。
 この里を…、うちはの名を守ってくれ。」
「言ったハズだ。
 やらなければいけないことがあると。」

イタチの言葉や、シスイの言葉が頭をよぎります。

「…そうか……。
 止まっていないのか…。」

イタチが為そうとしたこと――
それが完全ではないことを聞いて、
サスケの眼光が鋭くなります。
もしかして、イタチの遺志を継いで
穢土転生を止めようという気持ちが生じたのでしょうか?

「ボクとサスケが話してんの、
 水ささないでくれる!
 と…そんなことよりコレ!
 見てみてみ!」

重吾に割って入られたことに不満を言いながら、
サスケに大蛇丸のアジトで見つけた巻物を手渡します。
巻物を広げて読みふけるサスケ。

「なっ! すごいでしょ!?
 これがあればボクたち鷹がこの忍の世界を…」

しばらくたって興奮を隠せないように水月が言います。

「これだ…
 全てを…知る人間…」

しかし対照的にサスケは静かに考え込む様子。

「…とりあえず会わなければならない奴ができた。
 …オレはいく。」

とサスケ。誰かと訊き返す水月にサスケは、
思いもよらない人物の名前をあげます。

大蛇丸だ。」

目をまるくする水月と重吾。

「なに言ってんの。
 大蛇丸は君がぶっ殺したはずじゃ…。
 ボクは君がこれを…。」

言いかける水月を制するように、
サスケが口を挟みます。

「あのしぶとい男のことだ。
 あれくらいで消え去るものか。
 あの胸クソ悪い大蛇丸に会ってでも、
 やってもらわなければならないことがある。
 一族…里…全てを知る人間に会いに行く!」

とサスケ。
大蛇丸はまだ生きていたのです。
よくよく考えれば、腹心であるカブトが
大蛇丸を穢土転生させなかったことが、
大蛇丸はまだ生きている何よりの証拠。
全てを知る人物に会うためには、
大蛇丸にやってもらわなければいけないことがあるようです。