565 『人柱力 VS 人柱力』

1.人柱力VS人柱力(1)

「九尾も八尾もお前なんかにゃやらねェ!!」

尾獣化する彼らを見ても、怯まない様子のナルト。

「奴ら尾獣を抜かれたハズだろ!?」

ビーは尾獣化する彼らを見て、
なにやら不自然さを感じている様子。
それもそのはずでしょう。
彼ら人柱力は尾獣を抜かれて死んだはずなのです。
つまり最終的な状態では、尾獣から切り離されているのです。

「穢土転生で蘇った後で、もう一度人柱力にされたんだろうな…。
 …尾獣達も今までと様子が違うのを感じる……。
 気をつけろビー!」

八尾の見解では、穢土転生の後に再び尾獣を入れたということです。
術者はカブトですので、マダラを最盛期の状態で術を施したように、
時を遡って穢土転生させることもできるのかもしれませんが。

「了解♪ なら今度はこっちから行くかい♪」

込み入った事態を理解するように努めるよりは、
実際に動いてみてそこから現在の状況を打破する情報を得る方がよいでしょう。
ビーは剣を構え相手に向かっていきます。

「ちょっ、待って。
 ビーのオッチャン!!」

一方、いつもなら向かっていく方のナルトは慎重な構えです。
突進したビーに相対するは七尾のフウ。
七尾の羽を羽ばたかせ、空中で自在な動きをとり、
ビーの剣撃を簡単に回避します。
上空に舞い上がったフウの死角をつくように、鮫肌を開放したビー。
鮫肌を陽動にフウの背後をとるような形で移動し、
絶好の位置からフウに剣を投げつけます。
しかしまるで背中に眼があるように回避するフウ。
再び背後をとって投げつけた剣もいとも容易く避けられてしまいます。

「(見えてもねーのに、なんでかわせる!?
  バカヤロー! コノヤロー!)」

不思議そうに見上げるビーに、ナルトは言います。

「それじゃダメだ。ビーのおっちゃん!
 前戦ったペインの六道と同ンなじだ!
 あいつらの眼、輪廻眼は全員つながって見えてんだ!」

輪廻眼の視野共有。彼ら6人もまたペイン六道と同じく、
輪廻眼の恩恵を受けているようです。
ビーに話している隙をついて、
四尾の人柱力・老紫が溶岩をまとってナルトに突進してきます。
それをかわして体勢が崩れたところをユギトが狙ってきます。

「(ヤベェ! ユギトのねずみ毛玉!)」

ユギトの手の内を知っているビー。
ナルトを八尾の尾でキャッチし、
彼女の術から逃れるために即座に移動を開始します。

「追って来るってばよ!!」

ネズミのような形を核にもった炎塊はいくつにも分裂し、
まるで鼠の群れが一斉に突進してくるように
ナルトとビーの方へ向かって飛んできます。

「これは誘導♪
 一旦逃げるぜ 堂々♪」

木々を掻い潜りながら逃げる中で、
いくつかは衝突して潰えます。
先回りして迎え撃つように回り込んだユギトは、
爪を伸ばして一撃を与えにいきます。

「(ユギトの奴昔と動きが違う…サプライズ♪
  高かったオレのマフラー半分 これじゃ半プライス♪)」

すれ違いざまにビーの首を狙った攻撃は、
襟巻きを半分に引きちぎっていきました。
驚くべき鋭い攻撃にビーも肝を冷やします。
同時にかつてのユギトを知っているビーとしては、
存命時の彼女に比べて格段に上達しているような印象を受けます。

「あの写輪眼だ! あれでこっちの動きを細かく見切ってるな!
 人柱力に瞳力が加わった分、さらに人柱力の能力がおのおの上がってやがる!
 さらにあの共有した視界で人柱力六人の位置関係や攻撃のタイミングを
 有利に運びやがってんな。」

冷静に分析していた八尾。
輪廻眼での視界共有に加えて、写輪眼の見切りも加われば厄介この上ない。

「ビー…!
 ナルトと話させろ!」

八尾はナルトと話させるようにビーに要求します。

2.人柱力VS人柱力(2)

拳を突き合わせると、八尾の声がナルトに届きます。

「ナルト…。あいつら二つの瞳力と尾獣の力をうまく使ってきやがる。
 ここもおそらくバレてるぞ。どうする?」

それに対してナルトは、かつてペインと戦った経験を思い出しながら答えます。

「人柱力六人を一人ずつ止めていくしかねーよ!
 長門の時と同じなら皆チャクラで操られてるハズだ!
 あの時はそのチャクラを受信するために、
 皆、体のどこかに黒い受信機が刺してあったってばよ!!」

ペイン戦で見たのは黒い棒のようなチャクラの受信機です。

「なるほど…。
 そいつを引き抜くか壊しさえすれば、
 "外道の術"とやらは解けるってことか…。
 …しかしそりゃやっかいだな……。
 こっちの攻撃を当てるのも難しいってのに…。
 どこにあるかも分かんねーその黒い受信機をピンポイントで…」

受信機の場所が分からないのでは手の打ちようがない――
そのとき閃いたようにビーが言います。

「ユギトの胸元をガン見して点検♪
 そしたら黒い出っ張りを発見♪
 最初は使いこまれたチク…ぐはっ!!」

八尾にどつかれるビーの言う通り、
ユギトの胸元には黒い棒のようなものが。

「まる見えは不感♪
 チラリズムで実感♪」

とこの状況下で色呆けたことを言ってのけるビーは大物です(笑)
否、あの攻防の中で視線がそこに向いていても、
攻防を誤らなかったビーの実力は相当のものでしょう。
代償に襟巻き半分ですが…。

「お前。この戦いが世界の未来を左右するっちゅー時に、
 必死で何を…。」

と思わず八尾もあきれます。

「アレだってばよ!!
 なら他の奴も…」

ペインのときと同じものを確認したナルト。
攻撃が当たりにくく捕まえにくい状況――
相手の攻撃を受け止めその隙に破壊する、肉を切らして骨を断つ作戦に出ます。
溶岩をまとって突進してきた老紫の拳を受け止め、
螺旋丸を受信機が刺さっている胸元へ放ちます。
しかし砕けるか否かの瞬間に五尾の人柱力ハンの強烈な飛び蹴りが入り、
ナルトは勢いよく吹き飛ばされます。
打ち付けられるところをビーが八尾の尾を使ってキャッチしますが、
予想以上の勢いにビーも一緒に飛ばされます。
そう簡単にはいきません。

「ビー…。こいつら相手に林の中じゃ逆に不利だ。
 お前にとっちゃよけい視界が悪くなる!
 分かってんなビー!
 ここらの森全部ふっとばしちまえ!!」

八尾から大胆な提案が。
尾獣化して辺り一体を薙ぎ払うのも辞さないというのです。

「八尾がサビのキラービーだぜ、オレ様が!!
 ウィイイ――――」

大きな雄たけびをあげて、巨大な闘牛が姿を現します。
八尾全開モード。快進撃となるでしょうか。