496 『再会九尾』

ジャンルは異なりますが、
四象封印の記事についても併せて二部構成とします。
後半は【四象封印】*1

1.再会九尾(1)

ビーの後を追ってナルト、ヤマトが滝の中の
遺跡のようなところに入ります。

印を組む首無しの石像が彼らを迎えます。
尾獣を模してあるのでしょうか、
怪獣が描かれた大きな壁画を背に、
3人は奥へと歩を進めていきます。

「無茶しないでコントロールできると思うな
 バカヤローコノヤロー!
 ここは昔から人柱力に選ばれた者が、
 禊を行う神聖すぎる場所だ。」

ここはどうやら人柱力と尾獣との対話をスムーズにする
そういった領域がこの遺跡にあるようです。
雲隠れだけでなく、木ノ葉隠れにもこういった“場所”はあるでしょう。
しかし尾獣の力をコントロールしようと、
他里に抜きん出て軍事研究を進めてきた雲隠れにしか、
ともすると、こういう本格的な“施設”は見られないのかもしれません。
ヤマトが九尾と戦うということに異を唱えますが、
ビーは無茶をしなければコントロールなど到底できないといいます。

「ここへ入れるものは選ばれた者だけ……選抜♪
 その石像の中へ頭を入れろ善人♪
 心の闇がなけりゃ扉が開く全開♪

 ただし…もし少しでも心の闇があれば
 扉は開かない 承諾?♪
 どころか…首を石像に咬みちぎられる! 承知?♪

 ここに来る時に見た首のない石像はかつての人柱力達が正体♪」

まさに真実の口のような洗礼。
悪人であれば首を噛み千切られてしまうという石像。
ここでいう悪とは、憎しみなど負の感情に満ちた人間を言うのでしょう。
ナルトは憎しみの象徴であった闇の自分を超えた自分を信じて、
意を決するように首をその石像の口に捧げます。

「ぐああああ!!」

と突如ナルトの悲鳴が!
血相を変えてヤマトが助けにいきますが、
ナルトは首から上がありません。

「なんてね〜〜〜〜〜!!
 スイッチがあるだけでした。」

――と実はジャージ様の忍服の中に首をすぼめていたナルトが、
顔をのぞかせてにんまりと笑顔を見せるお約束の展開。

「オレの時もやったぜ 常談♪
 石像は壊れてただけ 冗談♪」

とまあビーもナルトのノリと連動してビートをかまし?ます。

「ここは神聖な場所じゃなかったんですかァああ!!
 バカヤロー!! コノヤロー!!」

と虚仮にされた冗談の通じにくいヤマトは思わず
バカヤローコノヤローと言ってしまうという、喜劇な展開です。
開かれた扉の先。滝の時と同じように瞑想することで、
尾獣と会うことができるようです。

「オレってば昔修行して心の中で
 自分から九尾に会う事はできんだけどもよ……」

ナルトは九尾になら会うことはできると主張しますが、

「それなら人柱力の誰もがやってる事だ。
 ……ここはもう少し別の意味もあるオーケー!?」

ビーは心の中で尾獣に会うことは、
人柱力なら誰もがやっていることだとした上で、
“別の意味”があることを示唆します。
まず、ビーは九尾をどのように封印したか、
その封印術について尋ねます。

四象封印か…。立派なもんじゃねーか。
 オレ様の鉄甲封印より堅いな…。」

というビー。
ナルトは二重四象封印による八卦の封印式により九尾を封じています。
脱線しますが、ビーの肩の“鉄”の文字は
なにやら鉄甲封印と関係深いようにも見えます。
鉄甲――はしかし鉄の手袋またはナックルのようなもの。
ナルトの場合は腹に封印式がありますが、
ビーは腕あるいは手に封印があるとみて間違いないでしょう。

「新しい人柱力を連れてくるまで九尾はここに封印♪
 いきなり早くもブーイング?♪」

九尾が完全に解放され制御されないままであったとしたら、
この場所に閉じ込め、封印をするようです。

「そうはならねーよ…!」

――と、強い口調でナルトは言います。
ビーもその意気をよしと見て、
早速九尾とのやりとりの仕方を伝えます。

2.再会九尾(2)

「よう…。あい変わらず目つきわりーな。」

精神世界で九尾との再会。
うずくまるように丸まった姿勢をといて、
九尾はナルトに関心を向けます。

「本当のお前はどこに行った?
 感じないぞ…!」

九尾も体よく利用できる存在であったはずの闇のナルト。
しかしその姿が見当たらないことに九尾は違和感を感じます。

「ここに居るだろ…。
 お前の目の前によ!」

そう言ってナルトは、
九尾を閉じ込めている檻の封の貼り紙に手を伸ばします。

「お前は憎しみを克服した…
 だが安心するな…極力♪
 九尾は憎しみのかたまりだ…極論♪」

ビーの忠告が聞こえてきます。
おそらく外界からナルトの精神世界に反響しているのでしょう。

「!? どういうつもりだ?」

予想外の行動に九尾も驚いた様子。
しかし、徐々に封印が解放されていく様子を見て、
しめたという表情を見せます。

「九尾が封印から出たら…、
 自分のチャクラで九尾のチャクラを捕まえて引っ張り抜け!!」

檻から解放された九尾は、
ナルトごとすさまじい勢いで檻の扉を打ち抜きます。
しかし、ナルトもビーに言われたとおり、
ドッペルゲンガーのように自分のチャクラの凝集体をつくり、
九尾のチャクラ体を自分へと引き寄せるようにして、
一寸の隙も許されない精神世界での攻防が始まります。

「チャクラはチャクラでしか捕まえられねェ… これ常識♪
 九尾から直接九尾のチャクラを奪えばいい… それ勝者♪」

ビーもナルトの精神世界で加勢。
おそらくビーは自分のチャクラをナルトに流しているのでしょう。
八尾の足が絡みつき、拘束しますが、
九尾にいとも容易く打ち破られてしまいます。

「言っとくがチャクラを取ろうとする時は、
 逆に引っ張り取られる危険もあるぜ。
 こっちが全部抜き取られてチャクラが0になったら、
 どうなるか…説明はいらねーな?」

九尾とのチャクラでの綱引き勝負。
食うか食われるか…。
かなり危険な賭けではあります。

「…そうか…ワシの力をコントロールする気だな…。」

ナルトの真意に気づいた九尾。
九尾としても全力を出してくるでしょう。
自分が完全に解放されるチャンスですからね。

「来いってばよ!!」

ナルトは意気込みます。
天地橋での大蛇丸との戦いでは、
九尾の衣四本目ですら自分の意識を保てませんでした。
あれから自来也の死、仙人モードの修行や
ペインとの戦いを経て、憎しみに対する理解を深め、
己の答えも出し、闇の自分をも克服しました。
そして今、史上最大最凶の相手にナルトは挑みます。