464 『闇の力』

遅ればせながら464話についてです。

.闇の力

黒い炎に守られているサスケ。
しかし雷影は構わず全体重が乗った脚でサスケの首目掛けて義雷沈怒雷斧【ギロチンドロップ】。
サスケも纏っていた黒い炎を徐々に寄り合わせるように集めていき、
炎遁・加具土命<カグツチ>で雷影の攻撃に備えます。
サスケは天照の炎を形態変化し利用する術を炎遁としているようです。
雷影の脚と天照の炎が接触する刹那、砂の壁が両者を隔てます。

「砂漠の我愛羅…」

風影・我愛羅の登場にサスケも意外な様子。
テマリの鎌いたちの術、カンクロウの傀儡術で
天照の炎に包まれた侍の鎧を剥がせ、中の人を救助します。

「侍達は下がっていろ。これは忍の世界のゴタゴタだ・
 アンタ達侍が犠牲になる事はない。」

我愛羅に感謝し、侍は傷ついた仲間とともに引き下がります。

「なぜ邪魔をした風影!? 返答次第では許さんぞ!!」

といきり立つ雷影に我愛羅は答えます。

「あのままアンタが技を出せば黒炎でさらに体を傷つける事になった。
 それにうちはサスケには話したい事がある。」

雷影は我愛羅の言い分にしぶしぶといった様子で、
自分の左腕を雷遁で切り落とします。

「ボ…ボス!! シー早く止血しろ!
 出来次第サスケをたたく!!」

すぐさま治癒活性させるチャクラを送り込みながらシーは思います。

「雷遁の鎧をまとった雷影様に触れる事ができ…
 二つの大技を食らってもまだ生きている…。
 左目は“天照”…
 右目はその“天照”の黒炎を形態変化させる能力とみて間違いないだろう…」

サスケの万華鏡写輪眼の能力を冷静に分析するシー。
血の涙を流す左目が焦点を発火させる天照の能力。
見開かれ続けている右目がそれを形態変化させて操る能力。

本当にビーはこのサスケに捕まったのかもしれない…。
 忍の世界…まだ先があるというのか……」

雷影の弟であるビーを呼び捨てにしていることから、
雷影直属のシーとビーは同格の立場にあると推測できます。

「お前の目は昔のままだな…」

我愛羅はサスケを見ていいます。
この場合の“目”というのは写輪眼ではなく眼光の方です。

「言ったはずだ。お前はオレと同じ目をしていると……。
 力を求め憎しみと殺意に満ち満ちている目………。
 オレと同じ………。
 己を孤独という地獄に追い込んだ者を殺したくて
 ウズウズしている目だ。」

我愛羅をその右眼で正視しながら、我愛羅の言葉を思い出すサスケ。

…復讐を生きる糧としても何も解決しない事をオレは実感してきた。
 お前ならまだ間に合う…。憎しみに取り憑かれ一人の世界に逃げ込むな…。
 帰って来られなくなるぞ。」

“孤独と復讐”という凝り固まった世界。
その世界以上に広く個人の孤独や復讐などちゃちでしかない広大な世界。
復讐しか目に映らなかった我愛羅は、その世界になかなか一歩を踏み出せずにいたのですが、
ナルトの想いに触れ、踏み込んでみたその世界は、
やはり復讐などちゃちなものであったと実感できる世界でした。
風影となり、大勢の人々の想いにも触れ、
自分を必要としてくれる人々の温もりとそれを大事にする想い…
復讐という世界では解決できなかった孤独も解決されたのです。

「で…オレが帰ったとして……
 そっちには何がある?

しかしサスケにその想いを大事にする部分があれば、サスケの信念に違わなければ、
サスケは泣きじゃくるサクラに別れを告げたり、
仲間と認めたナルトを殴り倒してまでも
その信念を貫くことはおそらくないでしょう。
そういった温もりなどかなぐり捨てて、
孤独や復讐の世界に生きる修羅の道を選んだのはサスケ自身なのです。

我愛羅…やめとけ…。説得できるならナルトは失敗してねーじゃんよ。
 こいつは今や“暁”にまで落ちた犯罪者だ…。お前とは違う。」

と言うカンクロウ。続けてテマリも、

「それに雷影や…“暁”にやられた者達も黙っていない。
 五影会談を襲撃した時点で国際手配される…。
 どの道こいつに未来はない。」

と言います。

「サスケ、お前はオレと似ている…。
 この世の闇を歩いてきた者…。
 だからこそ小さな光明ですら目に届くはずだ。
 昔も…そして今も…」

孤独と復讐の世界にまるで夜に輝く星のように時節見えるその外の温もりのある世界。

オレはとっくに目を閉じた…。
 オレの目的は闇の中にしかない。

でもサスケはその温もりのある世界をあえて見ません。
その世界に行こうと思えばいけたのです。
でも闇の中にしか自分の信念、そして目的はない――
この目的の為ならば進んで闇へ向かう姿勢は兄弟似ています。
ともすると、一族という私利のためというよりも、
サスケも何か大事なものを守るために闇へ進んでいるようにも見えます。
「ああ……。分かっている!」
テマリに促され答えるも、涙を流す我愛羅
サスケが進んでいく道。それはかつて自分が目指そうとした目指すべきでなかった道。
闇の虚しさと光の温かさを知った我愛羅だからこそ、
あえて孤独と復讐という虚しさへの道を進んでいくサスケが悲しく思えるのでしょう。
かつての自分の境遇を重ねると、その道には確かに何も無かった。
だからこそサスケを止めたいという思いに駆られますが、
しかし立場や情勢が複雑に絡み合ってそれすら結局は許されない。
やり場のない思いが涙となって我愛羅の頬を伝います。


「見つけた! ダンゾウもいる!
 すぐにサスケに知らせねーと!」

隙を見て香燐がダンゾウを探知していたようですが、
フーに気付かれてしまいます。
やはり存在を感知するには、香燐自身から特殊なチャクラ波のようなものを放出、
反響してきたものから様子を知る、といったような行程があると推測されます。

「どうやら敵には感知タイプがいるようです。
 いずれここに来るかもしれませんがどのように?」

ダンゾウに耳打ちするフー。ダンゾウは答えます。

「このままでいい…。そいつらが来たら、その混乱に乗じて外へ出る。」

その様子を見ていた青。

「こそこそ話すのはやめろ! 悪いがオレも感知タイプだ。
 …敵にここがバレたのも分かっている。
 だがアンタ達は決して動くな。敵はこちらで対処する。」

どうやら膠着状態が続いているようです。


「炎遁をここまでガードされるとは絶対防御は健在だな。」

サスケの天照の炎を砂の壁で悉く防ぐ我愛羅
ダルイが加勢。嵐遁・励挫鎖苛素<レイザーサーカス>という
おそらく風遁のミサイルのようなものを放射状に放つ技を皮切りに、
カンクロウがサソリに似た傀儡を使って赤秘技・機々三角。
テマリの大鎌いたち。そして我愛羅の連弾砂時雨がサスケへ集中します。
見開かれた左眼。両眼を開いたサスケの周りを、
禍々しい骸骨のようなものが覆いサスケを守ります。

我愛羅…お前以上の絶対防御だ。」

サスケの周りを覆う邪気のチャクラを、
シーは幻術のとき感じたものと同じであることに気付きます。

「…このチャクラ…もう前のサスケじゃねェ…。
 冷たすぎる……!!」

香燐もそのおぞましさに冷や汗が止まりません。

「両目の万華鏡を開眼した者だけが手にする力…。
 第三の力…“須佐能乎”だ。」

邪悪な表情を見せるサスケ。
イタチの時には万華鏡の模様が消え、
瞳孔が完全に異常収縮しましたが、サスケでは模様が健在です。
使いこなしている…ということでしょうか?