463 『サスケ VS 雷影』

1.サスケVS雷影(1)

雷影は重流暴<エルボウ>という雷遁を纏った肘打ちを、
サスケは千鳥を繰り出します。
雷影の肘を刹那でかわして、相手の懐に深く潜り込むと、
心臓目掛けて千鳥の手刀で一突き。

雷遁で威力と貫通力を高めた突き攻撃…。
 ……はたけカカシと同じ術か!

 雷遁の鎧をまとったこのワシに触れることができるとは…
 たいした術だな!」

普通の雷遁と千鳥や雷切が違う理由は、雷影が述べています。
威力と貫通力を伴い雷影の雷遁の障壁を突き抜けて左胸に突き刺さりますが、
致命傷とはならなかったようです。
突き刺さった手刀があだとなり、生じた大きな隙を雷影は逃しません。
必殺の一撃雷我爆弾<ライガーボム>
サスケを捕らえた雷影はサスケを持ち上げ、
自重を乗せて尻餅をつくように
サスケの頭をめりこむぐらい勢い良く地面に叩きつけます。
プロレス技のライガーボムですが威力は段違い。
どうやら弟のキラービーもそうですが、
兄弟揃ってプロレス技に似た忍術・体術を使うようです。

「あれが雷影の忍体術か…。これではもうサスケは生きていまい…。
 増援はいらなかったな。」

凄まじい衝撃で抉れる地面。
陰から見守る侍だけではなく、誰もがそう思いましたが、
サスケを骨のような何かが覆い、サスケは無事です。

「あれが万華鏡写輪眼か…。」

サスケの瞳の模様が変化したのを見た雷影はスパークするように、
まとう雷遁をさらに強めて活性化します。
サスケを覆う骨のようなものは間違いなく
イタチがサスケに使って見せた須佐能乎<スサノオ>でしょう。

「“月読”と“天照”…。…二つの能力を開眼した時に、
 この眼に宿ったもう一つの術だ。」

とイタチの言葉にあるように、サスケが須佐能乎<スサノオ>を使えるということは
すなわち天照も月読も自在に使いこなせるということ。

「アレを食らって生きてる奴なんて今までいなかった…。
 あの骨にしろ…何なんだコイツ?」
「オレが幻術で押し負けた。
 ……体がまだ思うように動かない…。
 ああいう天才ってのはたまに出てくる…。」

雷影必殺の投げ技でも致命傷を与えることはできなかったことに驚くダルイ。
シーも自分を超える幻術で身体が動かず、サスケの実力に慄きます。

「雷影のチャクラがむちゃくちゃでかくなった。
 これじゃ尾獣並だぞ。」

雷遁をまとい大活性した今の雷影のチャクラレベルは尾獣並と、
香燐がとらえています。
サスケの写輪眼の変化に気付くシー、ダルイ。
雷影がさらに纏う雷遁をスパークさせたのは、
瞬身の術で対抗するためだと読んだようです。
写輪眼から血を流し、雷影を注視するとそこから黒炎があがります。
しかし高速移動でかわす雷影。
後ろにいた侍に焦点が合い、代わりにその侍が燃えます。

「見ている視点から発火する天照! コレが…!」

ダルイの協力があったのでしょうか。
冷静にサスケと雷影の戦いを見ているシーは幻術から回復したようです。
雷影は手刀薙ぎ払い雷虐水平(いわゆる水平チョップ)で
須佐能乎を纏うサスケを、その鎧ごとぶち抜こうとしますが、
その刹那須佐能乎に天照の黒炎を纏います。

「雷影の瞬身スピードはケタ違い!
 目で追いきれないなら触れてはいけない盾にすればいい!
 これでうかつにサスケに攻撃できない!」

これは香燐の言葉。いくら雷影が速いとは言っても
実際に雷影の動きが目で追えていないというわけではないでしょう。
写輪眼は飛んでくる手裏剣をいとも容易く見切る程凄まじい動体視力を持っています。
つまり見切る能力を妨げる、あるいは低下させる要因があると考えられます。
それは雷影の纏う雷遁のせいかもしれません。
雷遁はおそらく強い発光を伴いますが、電気のように絶えず流れると考えられるため、
常に同じ場所が同じくらいのコントラストで発光しているわけではなく、
そのためちらつきが生じ、雷影が纏うほどの面積を持つとそれが目立ちます。
加えて、それが瞬身の術等で瞬時に動くと、残像が強く認識され
それがまるで写真の焼きつきのような像としてサスケに認識されるため
ではないかとも考えられます。しかもその視覚効果は写輪眼という高感度の目では、
さらに大きなものとなるでしょう。

「黒炎をコントロールしたのか!? 形態変化まで!!
 イタチよりも黒炎に長けているというのか?

シーのこの思考は、イタチが天照という黒炎を使う術を持っているという認識の上に成り立ちます。
イタチ自身およびその能力や天照という術およびその黒き炎の存在は、
雲隠れの忍も知っているほど広く知れ渡っているようです。
ですが、流石のシーもはじめて見たといったような反応をしているので、
実際にその天照という術や黒炎をその眼で見た者は多くないでしょう。

「雷影をなめるな!!!」

黒炎をものともせず、攻撃を止めない雷影。
須佐能乎をものともせず、サスケを殴り飛ばします。
そして地に伏したサスケに止めの踵落としが入る寸前。
サスケに反撃の手はあるのでしょうか――

2.サスケVS雷影(2)

「ナルト……。お前はいずれサスケと戦う事になるだろう。
 イヤ…オレがお前にサスケをぶつける。
 長きに渡る因縁の戦い。…うちはの存在をサスケに証明させる。」

というトビ。

「サスケはおめーのオモチャじゃねェー!!
 勝手な事言ってんな!!」

まるでサスケが自分の手駒であるかのように話すトビに、
ナルトは苛立ちをぶつけます。

「サスケも長門のように心変わりさせてやるとでも?
 それこそ勝手な言い分だぞ…ナルト。
 人をコントロールするのは心の闇を利用するテクニックが必要だ。
 長門はたまたま人に感化されやすい子だったがな。」

心の闇をついて人を操ってきた――トビの生き様を表す台詞でしょう。
はたして曲がりなりにも自分やうちはの為と、
千手柱間と真っ向からぶつかっていったうちはマダラなのでしょうか。
確かにトビの柱間に対する感情は、つくりものとは思えない。
実感がこもっていて、マダラと柱間の当事者二人しか知らないようなことを知っています。
でも腑に落ちないところです。マダラを語る何者か、とも考えられる零落した台詞。

長門とてめーを一緒にすんな!!
 やり方は違ってもあいつは本心で平和を望んでた!
 けどおめーは違う!!」

平和――長門は絶望の淵を彷徨いながらも、
その信念を決して投げ出そうとしなかった。
長門のことを認めるナルト。
しかし目の前の仮面をつけた男は違う。
もっとどす黒い、私利私欲のため――そういった雰囲気を感じ取らざるを得ません。

「フッ…だな…。」

ナルトの怒号に薄ら笑いを浮かべるように答えるトビ。
長門と違う、すなわち平和のためではない――認めるところなのでしょう。

「くだらないその証明が目的なら…なぜ尾獣を集める?
 お前の目的は一体――何だ? 何が望みなんだ?」

と訊ねるカカシ。仮面の奥の写輪眼がギョロっとカカシを見ます。

「…そうだな…しいて言うなら…完全体になる事か…。

完全体になる――トビの口から語られた意味深な言葉。
マダラの力、写輪眼の力を完全に取り戻すということ、
すなわちこれが月の眼計画でしょうか?
得てして完全体になるとは、真の姿になること月並みですが合体することが考えられます。
トビが望むことが平和でないというなら、
チャクラの膨大な塊をもつ尾獣たちを利用するとすれば、
間違いなくその膨大なチャクラを私利で使うこと。
これらの尾獣の力を寄せ集めかつての六道仙人を超えるほどの力を持つべく、
神に近い存在へと自分を昇華させること――
なんかがジャンプ王道的に考えられる展開ですが…(^_^;)
その場合、全ての尾獣の統合体として君臨するという意味で十尾<トビ>――
というのもあり得る話かもしれません。

「お前らに話してもあまり意味がない。
 もっと効果的な場で話す…。
 …お前らとの会話…、楽しかったよ…。じゃあな…。」

そう言ってトビは異空間に消えていきます。