第500話『ナルトの出生』では、
クシナによってナルトの出生と、
九尾の人柱力にまつわる話題に触れられます。
【九尾事件1・九尾の人柱力】*1で扱った解釈しがたい内容は、
ここではどのように明かされているのか、
二部構成で順を追って説明していきます。


前半は【九尾事件2・クシナの真相】*2
非常に重要ですので
是非前半を読んでから、後半を読み進めてください。

1.ナルトの出生(3)

「…16年前に木ノ葉を襲った九尾の事件…。
 アレは“暁”の面をしている男の仕業だったって、
 父ちゃんが言ってた!
 それなのに何で母ちゃんが九尾を持ってたんだ?」

“暁の仮面の男”が九尾を使って里を襲わせたはずなのに、
クシナが九尾の人柱力であったということに
ナルトはふと疑問を感じます。

「…父さんから詳しくは聞かされてないようね。
 それもそうかも…。あの時、私の割合を大きく…。
 ……ミナトの方は時間が無かったのね…。」

クシナはナルトの様子から、
ナルトの出生のことについて何も知らないことを察したよう。
しかもこの台詞から、九尾および自分達の思念体封入の際に、
ミナトよりもクシナの方が大きい割合で
チャクラを入れられたことが推測されます。

「確かにそう! 16年前里を襲った九尾は、
 その面の男が操ったのは事実。
 …でもその寸前までは私が九尾を封印して持っていた。」

人柱力として封印されていたはずの九尾。
それを操った仮面の男は、ある事を利用したのです。

「…人柱力の尾獣の封印が弱まる唯一の機会を知っていた。
 そこを狙われて…九尾を奪われた……。」

その仮面の男はなぜ知っているのかは分からない。
でも、その機会を虎視眈々を狙っていたのです。

「封印が弱まる唯一の機会……!?
 何だってばよ、それ!?」

逸<はや>る気持ちを隠せないようにナルトが訊きます。

出産よ。
 人柱力の女性が妊娠をし、
 出産を迎えるまでの約10ヶ月の間…、
 封印に使ってるエネルギーが、
 お腹の子供へと移行していくために、
 尾獣の封印がそれに比例して弱まっていく傾向にあるの。」

胎児の成長に伴って栄養を与えるために、
母親が吸収できる栄養は低くなります。
したがって活動力(エネルギー、チャクラ)は低下し、
それに伴って封印は緩くなるものと思われます。

2.ナルトの出生(4)

クシナの回想――
あの日――現在から遡ること16年前の10月10日。

「封印の事もあるし…。出産には立ち会うよ。
 先に行って準備しておくから。」

とミナト。どうやらクシナが臨月を迎え、
そろそろ出産という段階に入ったと思われます。

前任のミト様がそうだった…。
 出産の時、封印が解けそうになったのじゃ。
 もしもの事を考え、すまぬが、
 里から少し離れた結界の中で出産してもらう事になった。
 ミナトとワシの妻ビワコと暗部のタジを付き添わせる…。
 これも全て極秘とする。」

三代目火影猿飛ヒルゼンとその妻ビワコが
ミナト、クシナ夫妻と何やら内密な話をしている様子。
どうやら人柱力の出産は尾獣が解放される危険性があるため、
人里から隔離された結界につつまれた場所で出産をする様子。
三代目は火影直轄の護衛をつけることも提案。
早速クシナはお産の場所まで
ビワコの道案内に従って移動することになるのです。


ところでうずまきミトが出産していることも分かります。
ここで少し脱線しますが、
うずまきミトはもう既知の通り初代火影・千手柱間の妻。
つまり初代火影の血を受け継いだ子孫がいるということです。
ミトが産んだのが男性か女性かは分かりませんが、
その子供、つまり初代火影・柱間の孫にあたるのが
綱手と縄樹ということになります。

またここで大蛇丸の人体実験の中で、
唯一初代火影の遺伝子と適合したヤマトが頭に浮かんできます。
年齢を考えるとヤマトは柱間のひ孫世代の、
千手の血縁である可能性が濃厚となるでしょう。
縄樹は若くして亡くなっていること、
綱手は未婚で、子供もいないことが推察されることから、
ヤマトは柱間の直接の血縁である可能性は低いと思われますが、
ミトが何人産んだか不明であることから、
可能性はないとは言い切れないでしょう。

「アレ? 女の子だったっけ?」

道中、親しい友人とあったのか、
足を止め話しかけるクシナ。

「ううん…。男の子…。」

――とその女性は答えます。

「名前は何にしたの? ミコト…」

女性は抱きかかえた赤ん坊をあやしながら、
クシナに答えます。

サスケよ。」

そうこの女性はサスケとイタチの母親うちはミコト
なんとクシナとミコトは友達だったのです。
サスケの誕生日は7月23日。
抱きかかえられたサスケは生まれてから2ヶ月強ということになります。
さて、

  • ミナト、クシナが同期。
  • クシナ、ミコトが友達。

と条件がそろえば、この3人は同期だったのではないか、とも考えられます。
もし同期であるなら【年表I】*3に従って
x-4年にミコトが35才でうちは一族事件の渦中に亡くなったとすれば、
ナルトやサスケが生まれた年は【年表I】(*3)に従うとx-13年なので
この当時のミコト、クシナ、ミナトはだいたい25〜26才あたりと考えられます。
うちはミコトはナルトの同期生の母親と
忍者番号等を比べると*4多少年齢が上であることから、
ともすると若干クシナの方が若い、ということもありえるかもしれません。

「おお三代目の父上と同じかえ。」

とビワコ。どうやら三代目猿飛ヒルゼンの父親は、
“猿飛サスケ”という名前だったようです。

「はい…。強い立派な忍になるようにと。」

ミコトもそのことを意識していたことが分かります。

「…クシナのとこももうすぐでしょ…。
 名前は先に決めといた方がいいわよ。」

というミコトに、

「もう決めてあるの…。名前はナルト。
 サスケくんとは同期になるから仲良くなるといいわね。」

と答えるクシナ。
何か運命的なものを感じさせる会話です。
また脱線しますが、
ナルトの世界でも生まれてくる前に
何らかの方法で胎児の性別が分かるのでしょうね。

「…ところでさ…やっぱり痛いの?」

とちょっと不安げなクシナに、

「へ――――…、
 クシナでも恐い事あるんだぁ…。…意外……。」

と茶化すミコト。
ミコトはもうこのときイタチを産んで、
サスケは第二子目ということになるので、
余裕綽々といった感じです。
話が長くなりそうと察したのかビワコが手を引き、
近いうちにママ友にもなるミコトと別れます。

「一応お前の出産行事は極秘じゃえ。
 移動までの間、知り合いがいても接触はなるべく避けるのじゃ。」

と、ビワコ。

「それからじゃ…。
 里から離れると言っても極秘事項!
 陣痛が来てもあまり大声を出すでないぞえ!」

さらに、続けてお灸をすえられます。
ばつが悪そうに髪を掻きあげながらクシナは謝ります。

3.ナルトの出生(5)

どうにかお産場所の祠<ほこら>のようなところにたどり着いたクシナ。

「うぁぁう――!!!
 痛いってばね〜〜〜〜!!!」

大声で痛がるクシナを前に、
少しおろおろするミナト。

四代目火影ともあろうもんがオタオタすなえ!!
 男なら痛さでとーにくたばっとる!
 じゃが女は強い!!」

ビワコに喝を入れられ、九尾封印に集中します。

「がんばれクシナ! がんばれナルト!!」

その頃、外の護衛の暗部を倒した仮面の謎の男。
不穏な雰囲気に包まれながら、
祠へ透過するように入っていきます。
――トビでしょう。

「ナルトォー! 早く出てこーい!
 九尾は出てくるなァー!!」

ミナトの願いも通じ、
元気な男の子が生まれてきます。

「オレも今日から父親だ……!!」

おぎゃあおぎゃあと元気に泣く我が子を見て、
感極まってもらい泣きするミナト。

「ナルト………。
 やっと会えた…。」

苦痛を耐え抜き、ようやく我が子を見ることができた
クシナも満足げな様子です。

「よし!クシナ!
 出産したばかりで大変だけど…、
 九尾を完全に押さえ込むよ!」

ミナトが九尾を完全に押さえ込もうとした瞬間、
ビワコとタジが悲鳴をあげ倒れます。

四代目火影ミナト…。
 人柱力から離れろ…。
 でなければこの子の寿命は1分で終わる。」

仮面の謎の男が突如現れ、
その手には生まれたての我が子ナルトが――。


さてここで、【九尾事件1・九尾の人柱力】(*1)において、

  • ナルト誕生→数日後、九尾の暴動→九尾封印

としましたが、

  • ナルト誕生→直後、九尾の暴動→九尾封印

という流れが明かされました。

4.ナルトの出生(6)

ここまでのクシナの流れをフローチャートにしておきます。




●うずまきミト、余命僅かとなる。

●クシナ、渦の国(渦潮隠れの里)からやってくる。
|(このとき九尾の人柱力になることは知らない)


●アカデミー卒業、下忍となる
| <以下、順序が定かでない>
| ●雲隠れによる誘拐事件→ミナトと恋仲になる
| ●九尾の人柱力となることが告げられる
|  (ミトからアドバイスをもらう)

↓ <以下、順序が定かでない>
| ●うずまきミト逝去
| ●クシナ九尾の人柱力となる


| <数年〜十数年が経過>
| (渦の国がなくなったのはこの辺りの可能性が大)


●ミナトと結婚

自来也がナルトの名付け親となる
|(このときも自来也はクシナが人柱力であることを知らない)

●ナルト誕生

●九尾事件へ