632『共闘』

1.共闘(1)

第七班メンバー全員が揃う姿を見て、
どこか懐かしさを感じている同期の面々。

「なんか懐かしい画じゃない?
 …シカマル。」

と、いの。

「…どうあれ、目の前の敵を倒すのに、
 協力するってんなら今はしかたねェ…。
 認めたくはねーが…」

と、突如現れたサスケを受け入れがたいシカマル。

「同期が全員揃うのって久しぶりだよね!
 この感じも中忍試験以来だし!」

と、チョウジ。

「火影になんのはオレだァ!!
 ちょっ! お前ら聞いてんのかァ!!」

というキバに、

「キバ。今は誰も聞いてない。
 惨めに見える…。よせ。
 なぜなら、いきなり出てきて
 "火影になる"と宣った
 サスケの方がインパクトが強すぎるからだ。」

とすかさずシノが口をはさみます。

「キ…キバくん。
 私はちゃんと聞いてるよ…。
 火影は皆が目指すものだもんね。」

とフォローにまわるヒナタ。

「オレらの力を見せてやるってばよ!!」

ナルトの掛け声とともに、
士気も高まります。

「ちょい待ち!」

アクションを起こそうとする忍連合の忍たちを
とどめる柱間。
十尾がまた巨大な尾獣玉を練り始めたのです。

「先代の皆さん!!
 気合いを入れ直して備えて下さい!!」

とミナト。

「分かっておる!」

ヒルゼン。

「さぁーて…」

扉間は余裕綽々といった感じがあります。
放たれた尾獣玉。
しかし張られた結界の壁は、
壊れるどころかむしろそれを跳ね返し、
十尾にダメージを与えます。

「十尾め…。己でくらっておるわ!」

とミフネや侍たちをはじめ忍たち各々が
初代火影柱間の実力に舌を巻きます。
しかしさすがの十尾。
巨大な威力をもった己の攻撃を受けきります。

「簡単な結界ではないぞ!」

閉じ込めた十尾に言い聞かせるように柱間。

「オレが、結界の4面に忍たちの出入り口を作る!
 オレに続け!」

《木遁・木分身の術》でサポートにまわる柱間。
そしてナルトたちを促します。

「まだまだァー!!」

今度は《仙法・明神門》より《封頭》。
巨大な鳥居が十尾の頭を抑えつけ、
さらに十尾の力を削ぎます。
そしてあとを連合の忍に任せ、
マダラのもとに颯爽と登場するのです。

「さて…相手をしよう…。
 マダラ…待たせたなァ。」

しかし現れた柱間に対してたいそう不服であるようで、

「イヤ…分身ではつまらぬ…。
 本体が出ばるまで待つ。」

とその場に胡坐で座すのです。

2.共闘(2)

「今ぞ!!」

柱間の号令とともに結界の中へ突入する忍たち。
しかし動きが鈍くなっている本体を庇うように、
十尾の分裂体が行く手を遮ります。

「怯むなァ!!」

先陣を切って果敢に突き進むナルト。

「そう…中忍試験の時…
 私は一人前のくの一のつもりでいたくせに、
 サスケくんとナルトの後ろばかり
 隠れて歩いてて…
 そんな私を二人はいつもかばって戦ってくれた…。

弱い自分――
守られてばかりいる自分――
そんな自分がイヤだったから、
強くなろうと決心した――

「そんな自分が嫌になって…、
 今度は私の後ろ姿を見せるって自分で…。
 あの時、誓ったハズなのに…。」

サクラもこの瞬間のために
力をつけてきたのです。

「サスケくんもナルトも、
 いつも私の前にいて、
 どんどん突き進んでいくから…私…。
 やっぱり追いつけないやって…
 2人とも凄すぎるからしかたないって諦めて…」

でも追いつこうとした二人は
あまりにも遠い存在のように感じた――
守りたいと誓ったはずなのに、
そして何度も守ろうとしたけど、
結局は守られている――

「アナタは私の弟子…
 三忍の力を受け継ぐくの一。
 そして…春野サクラ
 アナタは五代目火影の弟子でもあるのだから!」

いつも自分を守ってくれた二人に、
その恩を返すためにも、
そして自分を育ててくれた火影である
師の言葉に報いるためにも、
医療忍術やサポートに向けてきた力を、
今度は戦闘に傾けます。

「今…溜まりきった…。
 やっと解放できる。」

先陣を走っていたナルトを追い抜いたサクラ。
そして――十尾の分裂体に
会心の正拳突きをお見舞いします。
吹き飛ばされていく分裂体。

「しゃーんなろー!!」

追撃をしかけたサクラ。
隕石でも衝突したかと見紛うほど、
地面を激しく割るほどの衝撃です。

「2度と…、もう2度と…!!
 サクラちゃんに歯向かうのはよそう……。
 塵にされる…!」

とナルトの本能が訴えるほどの凄絶さ。
サスケもサクラの成長をみて、
笑みを浮かべます。

「なんという怪力…。
 アレは綱以上かもしれんな。」

と嬉々と語る柱間。

「3年間チャクラを一定に溜め続ける…
 至極緻密なチャクラコントロール
 私でもできなかった百豪の印!!」

姉弟子シズネすら極められなかった
チャクラコントロールの極致。
額に浮き出る菱形の紋。
サクラはついにその力を解放します。

「私は若作りする必要はない分ね!!」

しかし、他の二人も負けてはいません。
《風遁・螺旋手裏剣》に《炎遁・加具土命》。
少し気が緩んでいたサクラを守るように、
ナルトとサスケが強力な攻撃を仕掛けます。

「サスケくん!!」

自分たちを守るように
黒い炎が辺りを包み込みます。
思わずサスケを見やるサクラ。

「あの〜〜〜
 オレも居んだけど、サクラちゃん!」

と不服そうにナルト。

「足を引っ張るなよ、ナルト。」

といつものように憎まれ口をたたくサスケ。

「そうよ!
 細かい事言ってると、
 私が火影の座、ぶん獲るわよ!」

守るとはいかずとも、
ようやく二人と並んで戦う事ができる。
サクラはその喜びを密かに噛みしめます。

「今度は背中合わせでいくわよ!!」

かつての喧々囂々を楽しむかのような
第七班の面々。
あの頃とは違う――
新しい三忍として第七班が力をふるいます。