今週も遅れております...m(_ _)m

596『一つの術』

1.一つの術(1)

トビの面に皹<ひび>が入ったことに気付いた一同。

隙をついて、八尾が外道魔像を攻撃にかかりますが、
トビが《うちは火炎陣》により灼熱の火柱で、
外道魔像を覆ってしまうのです。

「結界までやられたら…、
 いよいよもう面の奴を先にやるしかなくなったな。」

ともらすガイですが、

「ハナから面狙いだってばよ!!
 コンチクショー!!」

とナルトの狙いははっきりしています。

「待てよ……。イヤ…、そんなハズは…
 しかし…、本来、神威を止められるなんて聞いたこともない。
 もし…あの面の傷が神威で飛ばした
 クナイによるものだとしたら…奴の忍術は――」

ナルトの攻撃が当ったかに見えたようですが、
もっと鋭利なもので削れたことにカカシは着眼します。
あの攻防の一瞬、トビを透過してナルトに向かうクナイを、
カカシは《神威》によって飛ばして、
それがトビに当たりました。
このことに何か引っかかったような表情をするカカシ。

「考えてばかりいてもしかたないね…。
 (ありえない仮説だが…可能性が無い訳ではない…)」

それはカカシが思い直すほど突飛な仕組みのようです。
飛ばしたクナイと同じ時空間に次元転移したのか、
そもそもいま見えているものが、
光の屈折のように違うところに映し出されているのか――
どんな種があるにせよ、検証せずには対策は立てられません。

「ガイ…、ナルト、ビーさん…。
 少し試したいことがある。協力してくれ。」

二、三やりとりをかわした後、
一同は素早くトビに攻め込んでいきます。

2.一つの術(2)

八尾が三人を宙空へ同時に押し上げます。
まずはガイが上空に舞い上がる岩々を駆け抜け、
死角から奇襲攻撃をかけます。

「どうだ吸い込むスキもないだろう。」

文字通り岩をも砕く猛烈なヌンチャク攻撃を
ひょうひょうとかわし続けるトビに対して、
ガイは言い放ちます。

「写輪眼をナメすぎだ。
 もう動きは読める。
 こいつはいただいておく。」

透過したヌンチャクを、
まるでガイへの当てつけのように掴み取ったトビ。
しかし、これこそガイの狙いでした。

「(吸い込む間は実体化する。)」

ガイの背後に隠れていたナルトが螺旋丸を携えて攻撃にかかります。

「無駄だとまだ分からないのか。」

とトビ。螺旋丸が接触するときに合わせて、身体を透過させます。
そして腕をすり抜け面に当たる手前、
トビがそれを透過させようとした瞬間
ナルトの螺旋丸が消えます。
それはカカシが《神威》で飛ばしたためです。
ナルトトビ、互いを睨み合った次の瞬間、
トビの右腕上部を凄まじい衝撃が襲います。

「カカシ先生の言う通りになったってばよ!」

と嬉しそうなナルト。

「そうか…。
 ナルトが螺旋丸を消したのでなく…、
 カカシ…、貴様が螺旋丸を神威で…飛ばしたのか。」

事態を冷静に見つめ直すようにトビは言います。

「思った通りだ…。
 すり抜ける術と物を出し入れする二つの術を
 持っていると思ったが、そうじゃない…。
 お前の術は一つだ。」

コピー忍者カカシ――
多くの術を見切ってきたその写輪眼と才覚が、
ついに覚醒します。