猛烈に忙しいため、なかなか予定通りに更新できず、です。(*o*;)
申し訳ありません――

589『穢土転生の術・解』

1.穢土転生の術・解(1)

山一つに匹敵する巨大な須佐能乎。
そのスケールの大きさに五影といえど、
ただただ舌を巻いて圧倒されるばかりです。

「…ここまでの差が…。
 おじい様はこんな奴を相手に…。」

綱手も暴れるのを忘れてしまったように、
ただ呆然と見上げるだけです。

「オレを止められるのは、
 唯一、柱間だけだと言ったハズだ。
 だが、奴はもういない。
 …それもお前らにとっては、
 却ってよかったとも言えるかもしれない。
 なぜなら――」

そう言って須佐能乎が剣を振りかざすと、
すさまじい衝撃が地面を伝っていき、遠くの山を切り崩します。

オレ一人分なら…、
 地図を書き直す範囲が狭くて済みそうだからな。

滅尽滅相――
もとより自分以外に残るものは、この世にない――
破壊の権化と化したマダラを端的に表現している台詞です。

「これが…、うちはマダラ…。
 なら…、なぜあの時…、
 ワシらを前に手を抜いた!?」

かつて二代目土影・無とともにマダラに挑んだオオノキ。
その時のマダラは自分たちに対して手を抜いて相手をしていたのだと、
改めて気づかされます。

「砂利と本気でケンカする大人がいるか?
 そんなことより…、もう終わりか?」

圧倒的な力――
ただただその前では自分の握りしめた石を捨て
ひれ伏すしかなかったかつてのオオノキ。
今度はもう見失わない――
皆が後ずさる中、一人だけ、前へ踏み出します。

「ワシらはまだ道に迷うてばかりじゃが、
 今やっと道を見つけられそうなんじゃ。
 こんな所で…!」

歩むべき道がようやく見えつつある――
だからこそ歩むべき道を歩むために、
強く一歩を前へ踏み出さなければ。

「この須佐能乎は破壊そのもの…。
 その一太刀は森羅万象を砕く力を持つ…。
 あの尾獣にすら匹敵するな…。
 お前らの道諸共、砕け散れ五影。」

そんな五影たちの前に、
マダラが立ちはだかるのです。

できればイタチが穢土転生の術を解く前に、
五影の力でマダラを懲らしめてほしいものです。

2.穢土転生の術・解(2)

…子、丑、申、寅、辰、亥
イタチは穢土転生を解くための印を、カブトを操って結ばせます。

「もう…何を言っても無駄なようだな。」

兄との別れが惜しいのか、
いったん目を伏せた後、
後ろしか見せない兄に語りかける弟。

「アンタを見かけた時…、
 トビやダンゾウの言った事が本当なのかどうか
 確かめたいとアンタに付いて来た。
 だが確かめられたのはそれだけじゃなかった。
 アンタといると昔を思い出す。
 …兄を慕っていた幼い日の気持ちをな。」

闇に染まりかけたサスケが再び見た光。
兄が好きだったあの頃の気持ち――
あの時の兄は本当の姿で、
いままで憎んできた兄の姿は偽りの姿だと、
やはり分かったときの気持ち――

「だからこそなんだ。
 昔のような仲の良かったオレ達兄弟に
 近づけば近づくほど…、
 アンタを理解すれば理解するほど…
 アンタを苦しめた木ノ葉の里への憎しみが
 ふくれ上がってくる。
 前にも増してどんどんそれが強くなる…。」

兄を理解すればするほど、
兄が守ろうとしていた木ノ葉が、
いったい兄に何をしてくれたのか――

「アンタがオレにどうしてほしいのかは
 分かってるつもりだ。
 アンタはオレの兄だからこそ、
 オレを否定するだろう。
 でもオレもアンタの弟だからこそ、
 アンタが何を言おうとも止まらない。
 ここで兄さんが里を守ろうとも…、
 オレは必ず里を潰す。
 さよならだ。」

この別れの言葉はある種の寂しさでもあるでしょう。
もう一度、兄に振り返ってほしい。
そして、自分を認めてほしい、という気持ちの顕れ。
――と同時に、純粋に兄の為に復讐を誓った
覚悟の言葉であるともとれます。
イタチが守ろうとしていたから壊すのではなくて、
イタチが守るに値しないと思うから壊すのです。
サスケが再びイタチと邂逅したことは、
本質的な闇に堕ちること、すなわち、、
憎しみに取り憑かれ破滅の限りを尽くすことから救ったといえますが、
根本的な解決とはなりませんでした。
常<とこ>しえの奈落にただ落ちていくばかりだったサスケも、
ようやく光の存在を、細い細いロープを見つけるのですが、
とても自力では登れない深さに彼はいます。
引き上げてくれる誰かが必要です。
ロープを垂らしたのはイタチ。
あとはナルトの仕事でしょう。

「まだ…間に合う…」

穢土転生の術が解かれ、
各地で光の柱があがって導かれていく死者の魂たち。
イタチは最後の最期、ようやく振り向くのです。