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前回までで、極座標を導入していたのに、
それを全く使っていなかったのには理由があって、
実は螺旋丸のお話はまだ続きがあります。
そのためにどうしても必要となる数学の道具として、
フーリエ変換について触れておこうと思います。
まず前座としてフーリエ級数展開のお話です。
1.正規直交関数列とフーリエ級数展開(1)
直交系の話に入る前に、
関数同士の内積について述べておきます。
例えば2次元ベクトル同士の内積について、
次のように書けます。
これをn個の要素をもつn次元ベクトルに拡張すると
となるので、n次元ベクトル同士の内積は,
と書けます。ここで関数をベクトルと考えると、
ある において が得られるとして、
これらの内積は次のように書けます。
ここで、[tex:
[tex:
区間 において,区間をn等分したとき,
関数同士の内積はn次元ベクトル同士の内積と見なせて、
[tex:
と書けます。このnを無限に細かくしていくと、
この区間 について内積は、
[tex:
(*1)
と書けます。これが関数同士の内積の定義です。したがって、関数同士が直交しているとは、
[tex:
(*2)
ということになります。また自分同士との内積(複素関数の場合は共役な関数との内積)をとると、
[tex:
とある定数値 をとったとします。
この のときを特に正規直交関数といいます。
2.正規直交関数列とフーリエ級数展開(2)
(*3)
これらは正規直交関数列であることが、次の積分から言えます。なおn,mはここで自然数とします。
(*4)
したがって、(*3)は正規直交関数列(正規直交関数の集まり)と言えます。するとある関数について、
先の(*3)の事実からn次元ベクトルの"軸"をこれらの関数方向にとれば、
係数 を用いて次のようにn次元に分解できます。
(*5)
ここで馴染みの少ない ですが、左辺と右辺が同じものであることを等号 より強調したものです。
n,mは自然数とします。
係数 については、
(*4)より次のように簡単に求まります。
【1】:両辺を区間 で積分し倍する。
(*6)
【2】:両辺に をかけ区間 で積分し倍する。(*7)
【3】:両辺に をかけ区間 で積分し倍する。(*8)
このようにして関数を展開することを、"フーリエ級数展開"といいます。