455 『繋がり』

1.繋がり(1)

「フーとトルネは残れ。
 テライはカブトの件を任せる…。行け。」

包帯が巻かれた右手でその眼を押さえるダンゾウ。
根の忍のうちテライと呼ばれるものが、
カブトの件を任されその場から姿を消します。

「さて…ワシはこれから五影会談へ行く。
 会談には特例を除き連れ添いは二人までと決まっている。
 “根”の中でも一・二を争うお前達二人にそれを任せることにした。
 面は禁止されている。取れ。」

暗部根の二頭。
一人は長髪を結わえた髪型のフー。
そしてもう一人は黒髪でアイマスクをしたサイのような風貌のトルネです。

「護衛のための武装はどの程度まで…」

と訊くフーに対して、

「そんな事は気にするな。フー、お前に任せる。」

と答えている様子からダンゾウが全幅の信頼を置いている様子が分かります。

「トルネ、お前の部下にナルトを見張らせておけ。
 サイが“根”を裏切るようなマネはしまいが…用心のためだ。」

万に一つだとしても、根を裏切るようなマネ…とダンゾウが口走るのは、
サイの変化に薄々ながらも気付いている、
あるいは気付きかけているということでしょうか。
トルネはダンゾウの命令に従います。


一方、カルイにボコボコにされても言葉を曲げず、耐え抜くナルト。

「先に言っとく! いくらやろうがウチらの気は晴れねェ!
 サスケの事を言うまで永遠に続ける!」

ナルトを殴りかけたカルイの拳を受け止める左手。
様子を見守っていたサイが割って入ります。
すっこんでろと言うナルトにサイは言います。

「ナルト…。君がサスケなんかの為に殴られてやる必要はない。」

ボコボコに顔を晴らしてまで、サスケとの絆を大事にするナルト。

「…るっせ――――…。オレの勝手…だろ。」

友達、そして大切な繋がりだからこそ守りたい――
そのナルトの強い心は、同じようにサイをも突き動かします。

「サスケは…君を傷つけるばかりじゃないか。…ボクなら。」

“根”では押し殺さなければならなかった感情。
人としての気持ち。友情というには行き過ぎかもしれませんが、
サイに他人を思いやる気持ちが芽生えてきたのは確かです。
邪魔するサイを左手で殴ろうとするカルイを今度はオモイが止めます。

「ここまでやって仲間を売らねェ…。
 敵だけど、こーゆー奴は好きだ。男は軽率に言葉を決めないもんだ。」

殴り倒しても進展は見込めない、そうカルイを諭しつつ、
仲間を庇い続けるナルトのことを認めるオモイ。
そこへサムイが駆けつけます。
ナルトの様子から何か問題を起こしてないかと訊かれて、カルイは冷や汗の様子。
オモイがすぐキラービーのことを報告します。

「そんな事よりキラービー様が生きてるかもしれねーって事が分かった!
 助けにいこう! まず“暁”のアジトを探索しまくるんだ!」

しかし状況は易しくはない。

「それでどうする? キラービー様を捕らえるような奴らに、私たちだけで…。
 …それもいくつあるかも分からない“暁”のアジトをしらみ潰しに…?
 まずは情報収集と分析。そっちの方が早い!
 ユギトの時の二の舞はしてはいけない。

サムイの台詞から、二尾のユギト失踪時も捜索が行われたようですが、
角都、飛段を突き止めるには至らなかった様子が窺い知れます。
もう一つ。キラービー“様”なのに対してユギト、とサムイが呼び捨てにしてることから、
サムイはユギトと同期かあるいは同階級である可能性が高いです。
――というのも、二位ユギトはキラービーが一目置くほどの忍。*1
ですから呼び捨てにすることができるとなると、
ユギトと同格である可能性が高いです。

「オ…オレも…連れて行って……くれってばよ…。
 オレも…お前らの人柱力助けるのに協力してェ………。
 それに雷影に…話してー事が…あんだ…。」

雷影に直接情報を報告しにいくと聞いて、自分も行くというナルト。
サイが呼びかけ、止<とど>めようとします。
その時ナルトという名を聞いて、里の噂を思い出すサムイ。

「この子がナルト…。木ノ葉の里の皆が噂していたうずまきナルトか…。」

暁の脅威から里を救った英雄――
その噂の人物を考え深げに見やります。

「素性のハッキリしない君を移動中で警備の手薄な今…
 雷影様に会わせるわけにはいかない。」

しかしとりあえず今の状況は雷影への報告の為に、
情報をまとめることが先決と判断したサムイは深入りせずに、
カルイとオモイを引き連れてこの場を後にします。

2.繋がり(2)

カカシ、ヤマトがいるテント。

「サクラさんに看てもらった方が…。」

そういってナルトの手当てをするサイに、
ややこしいことになるから、と微笑するナルト。

「サイ……。さっきはすまねェ…。
 ありがとだってばよ。」

やや間があって、素っ気無い様子でそう言うナルトに、

「…いえ。」

と微笑むサイ。この微笑みは、
見張り役であるのに、助けに入っていった理由。
自然な気持ちであることを、サイ自身が認め始めたという証でしょう。
雷影にあう、カカシやヤマトにもそう打ち明けるナルト。
それには確たる理由があるようです。一つはサスケのこと。
そしてもう一つは九尾化のときの四代目との邂逅から得られた事実。

「……そん時四代目が教えてくれたんだ。
 16年前の九尾事件は“暁”の面してる奴がやったって!
 それに四代目も手が出ないくらい強かったって!」

16年前の九尾来襲。それは、トビの仕業であると。
サスケの前ではあたかも自然発生的な災いであるかのように言い振舞っていますが、
四代目の証言からトビによって人為的に引き起こされたものであると確証付けられます。

「四代目はそいつが黒幕だって言った! 
 ペインはそいつに利用されてるって。
 サスケが“暁”に入ったって事は、
 サスケもそいつに利用されてるだけだってばよ。」

かつてサスケ追跡のときに対峙した暁の面をつけた忍。

…そいつは写輪眼を持っていた。
 里の恨みを持ち、里を抜けたうちは一族で、
 九尾を口寄せできるのはマダラぐらいだ。」

カカシはその時のことを思い出し、
自来也からの情報を加味した結果、そのように結論付けています。
その他にナルトが四代目に何か言われなかったかカカシは訊きます。

父親ってのは息子に色々言いたがるもんだろ。

かつて風遁修行のときにナルトの背中に四代目が重なって見えたカカシ。
ナルトがミナトの息子であることをやはり知っていたのですね。

「オレを信じてるって――、…言ってくれた!!」

満面の笑顔を浮かべるナルトに、カカシも親指を立てて喜びます。
こうして里の復興という任務があるヤマトも強引に
雷影謁見の付き添い人という形でナルトに同行させられます。(笑)

3.繋がり(3)

般若面のようなものを被った複数の忍に襲われるダンゾウ。

久しぶりの実戦…。なまった体を動かすにはちょうどいい…。」

そういって頭部当てられた包帯を解き、
中から覗かせる右目は――写輪眼です。
それも瞼がない眼球が剥き出しの状態。
まるで移植を受けたかのような――。
そもそも純粋にうちは一族だったら、
その左眼の写輪眼を覚醒させれば済む話です。

わざわざ包帯を解き右眼を見せなければならないのは、
右眼にしか写輪眼がないから、ということが推測されます。
加えて大蛇丸とのパイプ、異様な形状から移植が考えられますが――。
ところで、この異様な右眼だけの写輪眼。
トビの右眼だけに穴が開いた異様な仮面に符号しなくもありませんが――。

*1:NARUTO-ナルト- イラスト集』(人柱力についての最新情報は近々記事にまとめます。)