435 『万象天引』

1.万象天引

ナルトから多量の仙術チャクラを吸い込んだ餓鬼道ペイン。
餓鬼道ペインの技――封術吸印は、相手の術を相殺するように、
体内のチャクラを逆回転させ、吸収したチャクラを霧散させ掻き消す技。
しかし逆にナルトはこの“動かない”状態を利用して仙術チャクラを練る状態をつくり、
本来は危険であるためやらないのですが、過剰に自然エネルギーを摂取することで、
封術吸印を逆手にとって蛙石化させてしまいます。

自然エネルギーは扱いが難しいんだってばよ!」

自然エネルギーと体内、精神チャクラの配合比か、
あるいは自然エネルギーを吸収するある一定のリズムかは分かりませんが、
餓鬼道が妙木山でないのに自然エネルギーを取り込んで蛙化してしまったのは、
ナルトが妙木山で身につけた自然エネルギーの“取り込み方”に由来するのでしょう。

「そうかあのペイン。
 ナルトちゃんから仙術チャクラを取り込みすぎて、
 蛙石化してしもうたんか!」

座礁して船底に大きな穴が開き、多量の水が止め処なく流れ込んでくるように、
封術吸印が掻き消せるチャクラの量を、次々に入ってくる自然エネルギー量が上回った…
というわけです。
とうとう残されたのは天道ペインただ一人。ところがどういうわけか、

「うむ…それは少し違うな。」

と余裕の様子です。これをカツユは次のように解釈しています。

「このペイン達はあやつり人形です……
 陰でこのペイン達を操ってる輩<やから>…
 本体がいるようです。」

ナルトがカツユの方を見やった一瞬の隙をついて、
ペインはナルトを見すえたまま攻撃の照準を
幻術を使うため仙術チャクラを練っていたフカサクに合わせ、万象天引。

「あの幻術はもう懲りてるよ。」

ペインは、フカサクの喉を一突きにします。

「父ちゃん!」

シマも必死の形相でフカサクの方へ手を伸ばしますが、ダメでした。

「てめェホンっ…!!」

殴りかかろうとしたナルトへ、斥力の術でフカサクをぶつけます。
フカサクを受け止めたナルト。
間髪入れずに両者諸共に万象天引で引き付け、ナルトの首を鷲掴みにします。
そして勢いよく地面へとなぎ倒し、ナルトの手に黒い棒を刺します。
おぞましい輪廻眼の気配に青ざめ、一瞬戦意を失うナルト。

「これで少しはおとなしくなるか? 九尾。」

地に這い蹲るナルトに息絶えたフカサクを悔し涙で頬をぬらすシマが見つめます。

「てめーは何だ!!? いったい何だってんだ!!?
何でこんな事しやがる!!?」

ナルトの喚く様子を冷酷にその輪廻眼の眼が見下ろします。

「何で……か…。
 出来事はいつも突然だ。理由は後になって気付く。
 この状況……そうだな…少し話をしよう。」


一方、シカマルたちのもとへやってきたいの、いのいち、暗部の忍。
暗部忍の背中にはシズネの遺体が背負われています。

「シズネ先輩の死を無駄にはできねェ…
 先輩が解こうとしたペインの謎を解き明かして、
 その本体ってのを見つけ出すまでは泣き言はなしだ!」

意気込むシカマルに賛同するいのいち。
しかし、かなりの術者であるいのいちとて、ペイン本体を割り当てるのは難しい様子。

「敵は常にチャクラの周波を変えていやがる。逆探は無理だ。
 かなりのやり手だよ。」

それに対して、シカマル(座ってる場所からおそらく)が

「ペインと接触した人達からカツユを通してなるべく詳しく情報を集めるんだ。
 死んだ者も何かしらの情報を残してるかもしれねェ。
 死体を運び出してでも徹底的にやるぞ!」

と言います。死体を運ぶ――その言葉にいのいちが何か分かった様子。

「待てよ…そうか分かってきたぞ!」

2.死体を運ぶ

いのいちはその記憶を探る術によって、雨隠れの忍からある情報を手に入れました。
それは、雨隠れの忍リュウスイとユウダチの会話(424話『決断!!』)です。

「オレ達がいつも死体を運ぶこの里で一番高いあの塔、
 あそこが何か知ってるか?
 だいたいこの里では塔ってのは骨を安置するためのもんだろ。
 元々は死者の供養や報恩のために築かれた建造物だ。へへ…」
「…何だよ? もったいつけんなよ。」
「実はな…あそこにペイン様がいらっしゃるんじゃないかと噂されてる。」
「へーそりゃすげェ。…ってそんな訳ねーだろ。」
「噂だうわさ…。」

もしも長門がいるとするならやはり雨隠れのあの塔の中…
ペイン6体が安置されていた部屋があったあの建物のどこかにいる可能性が高い気がします。


それにしても、雷影からの使者はいつやってくるのでしょう…