434 『ナルト VS 天道』

扉絵はナルトの人形劇。
足遣い、左遣い、そして主遣い扮するナルト3人が、
少し恐い(?)ナルトのからくり人形を動かしている絵です。
螺旋手裏剣もちゃんと演出されています。
背景には初代、2代目…5代目火影の顔岩の小道具もあり、
里を舞台にペインと戦うナルトを人形劇で演じているという趣向のようです。

1.ナルトVS天道

地獄道を上空から螺旋連丸で叩き潰したナルト。
前後方向から天道ペインを挟みます。
天道ペインへの同時攻撃で畜生道にとどめを刺そうとしますが、
どちらのナルトも神羅天征によって吹き飛ばされてしまいます。
インターバルを縫って、すかさずガマブン太達が斬り込みにいきますがかわされます。

「どうやらあの中心となってるペインの力が戻ったようですね。
 おそらくこの里をふき飛ばしたのも同じペインの術だと思われます。
 大きな力を使うほど、その間次の術を使用するまでの
 インターバルも長くなるのでしょう。」

里を壊滅させ、螺旋手裏剣を弾き、今度は自分を吹き飛ばした奇術。
忍術、体術はもとより相手に近づくことすらままならない術。
カツユは術発動後五秒間の隙があることをナルトに教えます。
一方斬り込みにいった3対の巨大蛙も神羅天征の前には、
その巨体も風に流される塵と同じ。遠くまで吹き飛ばされます。
その衝撃はナルトとペインの戦いを見守る忍達にも伝わります。
ナルト一人でペインと戦っている…
しかし手出しはしない方がよい。
歯がゆい思いはありながらもナルトを信じるしかないといった状況。

「あんな戦いに入ってもナルトくんの足手まといになるだけです…
 ナルトくんを困らせるだけです!」

いてもたってもいられなくて飛び出そうとしたヒナタを止めるコウ。
助けたいのに助けられない。唇をかみ締めてぐっとこらえるしかないヒナタ。


前のように幻術によって制圧するのが得策だと考えたフカサク。
しかしその幻術には大量の仙術チャクラが必要とし、
術の発動まで少し時間が要るようです。
そこで王道通りナルトは5秒間の隙をつく攻撃に出ることにします。
しかし興味深いのは次のフカサクの発言。

「ただしナルトちゃんも仙術チャクラを練ってくれとる影分身はあと一人。
 それがなくなったら言った通り戦闘中には仙術チャクラは練れん
 もう仙人モードは五分ももたんのじゃしの。」

裏を返せば、影分身がいれば戦闘中に仙術チャクラを練ることができる、という意味にとれます。
つまり影分身を解かずとも、仙術チャクラはナルト本体に還元され続けているということです。
本来影分身とは術を解いて、それが本体の経験として蓄積されるという術です。
リアルタイムで連続的に本体に影分身の経験が蓄積されるまでに
ナルトが影分身の術を昇格させたのでしょうか。

「右を見るときに左を見るようなもんじゃ。
 役割分担はしたが仙術チャクラは練るのが難しいけん。
 …影分身は二人が限界じゃった。」

しかしいかに影分身を極めたナルトとはいえ、
仙術チャクラを練れるほどの力を残した影分身の数は2体が限界。

「その上、こっちの戦闘影分身も三人分しかできねェ…
 あまりこっちで大人数にしちまうと仙術チャクラ練ってる側が乱れちまう。」

さらに戦力を保った上で影分身をつくるのは3体までのようです。
戦況が長引くと明らかに不利。

「お前は確かに強い…。
 ペインがここまでやられたのは初めてだ。だが…万象天引

突如ペインに引きつけられるナルト。
神羅天征が斥力、万象天引が引力ということでしょうか。
ただ、里を壊滅させたあの引力の技も神羅天征だったような…?
万象天引は神羅天征の一部ということでしょうか?
引き付けたナルトは畜生道に羽交い絞めでとらえられてしまいます。
人柱力だから殺しはしない…
ペインはナルト自身にある仙術チャクラを畜生道を使って吸収し、力を削ごうとしています。

「九尾捕獲完了。」

あまりの呆気なさですが、これは少々腑に落ちにくい結末。
まだフカサクたちの幻術も発動していませんし、
仙人モードにはあと1回なることができますし。
もしも幻術も仙人モードもダメなら、最近すっかりなりを潜めた九尾の力を借りて
やはり妖狐の衣という展開でしょうか。

2.神羅天征について

ところで神羅天征はナルトを吹き飛ばしたときと、
巨体蛙を吹き飛ばしたときとあまりインターバルの差が無いように見えます。
カツユの情報では大きな力を発揮したときほどインターバルが長引くため、
この両者を吹き飛ばしたペインの力はあまり大差がないといえます。
当然巨大蛙はナルトにくらべてとても重いですし、
ナルトと巨大蛙たちを飛ばした距離を比較すると
同じ“力の大きさ”で飛ばされたとは考えにくいわけです。
このように物体を吹き飛ばすには、

    • (1).野球でホームランを打つように瞬間的に大きな力を加える
    • (2).スケートで加速するようにある一定の力を加え続ける

の2通りがあります。
ここで(1)のような場合、瞬間的に大きな力を加えてナルトやガマ達を吹き飛ばすには、
全身を負傷させるほどの大きな力がかからなければなりません。
ホームランするときボールはあまりの大きな力のため変形し、
元の状態に戻ろうとする反発力も加わって遠くへ飛んでいきますが、
ナルトたちにはこの変形が起きていないですし、その変形の痕とも言うべき負傷がないので、
(1)の可能性は否定されます。そこで、(2)というわけですが、
記事【神羅天征と電磁気4・術の仕組み】 *1では、
力を伝達する媒体として電磁場のような『場』という考え方を導入しました。
『場』とは影響力がある空間のことですが、
ここでは電磁場になぞらえてこれをチャクラ場と考えました。
ペインの作り出したチャクラ場はある有効領域まで働いて、
そこまで物体を加速させ続けると考えられます。
もちろん風遁・螺旋手裏剣やガマ達ひいては里を壊滅させるまでに至るのですから、
チャクラ場ができてすぐ、はじめにかかる力も大きいと考えられますが、
対ナルトなどでは変形させるまでにはいたらずに、
力を加え続けるために遠くへ飛ばせるというわけでしょう。