432 『螺旋手裏剣再び』

.螺旋手裏剣再び

仙術を使った螺旋手裏剣。
妙木山で密かに特訓していたのはやはりこの術だったということになるでしょう。
先の戦いで仙術を使って戦う自来也と一戦交えたペイン。
同じく仙術を使うナルトを見て、自来也の思想である“平和”を、
同じ師を仰いだ者として理解できるだろうと語りかけるペイン。

「お前らがやったこれの…
 これのどこに平和があんだってばよォ!!!?

隕石でも衝突したかのように抉られた地面、
累々と積み重なる瓦礫、それに埋もれた人々…
いったいこれのどこが自来也が望んだ平和だというのか…
ナルトは心の底から突き上げられるように叫びます。

「木を見て森を見ていないお前には、
 平和の意味が理解できていないだけだ。
 おとなしく捕まれ。お前の死が平和へと繋がる。」

理解しあうという問題でなく――
ただ自分の思想を傲然と押し付けるペインに、
ナルトは怒り昂ぶる感情をぶつけるが如く、
ついにその高密度のチャクラの手裏剣を投げつけます。

「あれだけ高回転・高密度のチャクラを飛ばせるとは!」

 確かに同じ体積の球でもプラスチックでできたものと高密度の鉄球とでは
 明らかに鉄球を飛ばす方が大変です。
 高回転の方は回転軸と垂直な方向に働く強い遠心力*1による抵抗のおかげで
 この回転体を飛ばす推進力をつけにくい、というのがあるでしょう。





 螺旋手裏剣は螺旋丸を核にして銀河状の形態をとっていますが、
 螺旋丸の回転は乱回転です。もしこの乱回転に従って風遁の刃が回るならば、
 乱回転してその形態も螺旋丸と同じく球状に見えるでしょう。
 ところが銀河状に見えるということは、
 この風遁の刃は一定方向への回転を続けているということなので、
 核となる螺旋丸の回転のエネルギーだけをうまいこと利用して回っていると考えられます。
 そしてこの螺旋丸のエネルギーは非常に大きいために、
 高回転を実現しているといったところでしょうか。

放たれた螺旋手裏剣に対して、ペインは当然回避行動に入ります。
ここで不利な位置にいた畜生道を庇って人間道ペインが、
巨大化した風遁の刃に飲み込まれます。
拡大し地面を巻き込んだためか、換気扇の羽に異物が挟まって止まるように、
失速して墜落した螺旋手裏剣はなおも爆風を放つエネルギーを残しています。
その様子を高台から見ていた奈良親子。
カツユからの情報でどうやら戦っているのはナルトだと判明。
シカマルはナルトに助太刀したいところをシカクに止められます。

「仙術を身につけたという事はもうレベルが違う。
 足手まといならない事が今あいつにしてやれるチームワークだ。
 ここは我慢しろシカマル。」

シカクは仙術について知っている様。
仙術は秘術中の秘術の扱いという印象がありながら、
知名度は一般的にあるようです。


畜生道ペインは巨大鳥の口寄せによって、術を放って隙ができた術者へ攻撃をかけます。
上空へと回避したナルトを追撃にきた畜生道ペイン。
シマが砂埃を起こし、その隙にフカサクがガマブン太を投げ、
ブン太はナルトと畜生道ペインを丸呑み。
その口の中で両手での螺旋丸――螺旋連丸を決めたナルト。
術者不能の為か分裂した狼も消えていきます。
しかし外に吐き出されたナルトの顔に隈取はありません。
どうやら仙人モードが切れてしまったようです。

*1:遠心力については【多重影分身の回転系3・遠心力と転向力】を参考にしていただければ幸いです