年末第三弾も神羅天征についてです。

0.導入

電荷というものがあって、ここから放たれる電場というものが、
離れたところにある電荷に作用を及ぼすことから、
チャクラ場というものがあって、ある種のチャクラとチャクラが
作用を及ぼしあうように考えたのが前回の内容でした。
ところで、電荷の流れがあると電流が生じ、その周りに磁場が発生します。
直線状に導線を二本並列して、
両方に同じ向きに電流を流すと引き付けあう力が、
互いに逆向き電流を流すと遠ざけあう力が働きます。
実験からこの磁場は、磁場の向きに右ネジを回すと
電流が流れる向きになるように出来ていることがわかりました。
そこで、時間変化のない一定電流(定常電流)を\mathbb{I}
導線の微小部分\Delta s、その微小部分がつくる磁場\mathbb{B}(s)とすると、
この微小部分に働く力\mathbb{F}(s)


\mathbb{F}(s)=\mathbb{I} \Delta s \times \mathbb{B}(s)

(2,1)

と書けます。このように定義した磁場\mathbb{B}を磁束密度、
\mathbb{F}アンペールの力と呼び、フレミング左手の法則において
アンペールの力:親指
磁束密度:人差し指
電流:中指
に対応しています。


同じようにチャクラが流れると、磁界のようなものが生じ、
これが同じチャクラの流れに力を与えるのではないかとも推測できます。
そこで電流、電場が生じるととその周りに磁場ができることを数式化して見通しよくし、
それに則ってチャクラについて考えてみることにしましょう。
今回は電流と磁場について紹介し、
次回本題となるアンペール・マクスウェルの法則について触れます。


例によって嫌な予感がする方は4.チャクラ磁場までお急ぎください。

1.定常電流

定常電流は一定電流ですが、何に対して一定であるかといえば、
単位面積あたりの電流の強さである電流密度\mathbb{i}(すなわち電荷が通過する量)が
時間に依存していないとき、これを定常電流といいます。
単位時間あたりに流れる電荷量を電流といいますが、
定常電流である場合、任意の閉曲面で囲まれた領域において、
入ってくる電荷と出ていく電荷の量は同じであることになります。
すなわち、法線ベクトルを\mathbb{n}とする微小な面dSを通過する
電荷の量は\mathbb{i}を用いて、\mathbb{i} \cdot \mathbb{n} dSと書けます。
ここで内積をとる理由は前回電場が貫く量を考えたときと一緒です。
ここで面s1から入って面s2から出ていくような定常電流を考えれば、それぞれの領域を合計した


\int_{s1}\mathbb{i} \cdot \mathbb{n}_1 dS=\int_{s2}\mathbb{i} \cdot \mathbb{n}_2 dS

が成り立ちます。さらに、面s1、s2について、
定常電流となるためには両方の面積が等しくかつ面s1,s2をつなぐ円柱形の領域を考えればよく、

\mathbb{n}_1=-\mathbb{n}_2


(∵)通り道が曲がっている(=円柱でない)と、
   内側と外側で通る電荷のタイムラグが発生する。
   これは定常電流の“単位面積あたりの電流の強さが一定”に反する。
   また仮にタイムラグが消えるように対称形となる任意の領域を設定した場合も、
   最終的には面s1とs2の法線ベクトルの向きは反対になる。


となりますから、閉領域Sに対して


\int_{s}\mathbb{i} \cdot \mathbb{n} dS=0

となって、ガウスの定理(1,4)式(※前回参照)により、

\nabla \cdot \mathbb{i}=0

(2,2)
となります。この式(2,2)こそが定常電流を表す式です。

2.変位電流と電荷保存則

定常電流ではない時間変化する電流は、
電流それ自体は一定ではありませんが、電荷の総和は一定となります。
任意の区間を考えたとき、その区間の中でタイムラグがあるものの、
流れる量は全く一緒であるということです。これを電荷保存則といいます。
適当な空間領域Vを考えることにしましょう。
ここから単位時間あたりに閉曲面Sを通って漏れ出す電荷の量(=発散、湧き出し)は、
ガウスの定理から面積分でかけて、法線ベクトル(位置関数)n(x)を用いて、


\int_{S}i(x,t) \cdot n(x)dS

と書けます。また領域Vから漏れ出していった減少電荷量は、
電荷密度\rho(x,t)に関して、

-\frac{d}{dt}\int_{V}{\rho}(x,t)dV

と書けてこの2つが等価な現象を表していることから。

\int_{S}i(x,t) \cdot n(x)dS=-\frac{d}{dt}\int_{V}{\rho}(x,t)dV

ガウスの定理によって左辺を書き換え、右辺の時間微分積分に入れて

\int_{V}\nabla \cdot i(x,t) \cdot n(x)dV=-\int_{V}\frac{\part}{\part t}{\rho}(x,t)dV

したがって、この微分形から

\nabla \cdot i(x,t)=-\frac{\part {\rho}(x,t)}{\part t}

(2,3)
が導かれます。この(2,3)式が電荷の保存を表します。

3.ビオ・サバールの法則

実験より直線導線に流れる定常電流が作る磁場は
電流に比例し、電流からの距離に反比例することが分かっています。
すなわち、


B(r)=\frac{{\mu}_0I}{2{\pi}r}

(2,4)
です。ここで、微小磁束密度dBについて

dB=\frac{{\mu}_0}{4\pi}\frac{Ids}{r^2}

として無限に長い導線を流れる電流のつくる磁場を距離rで観測した場合、



磁場の導線に直行する成分以外は相殺されるので結局、

r=\frac{a}{sin\theta}
s=-\frac{a}{tan\theta}

から、

\begin{eqnarray}B&=&\frac{{\mu}_0}{4\pi}\int_{\qquad\qquad-\infty}^{\qquad\qquad+\infty}\frac{Isin{\theta}}{r^2}ds\\&=&\frac{{\mu}_0}{4\pi}\int_{0}^{\pi}\frac{Isin{\theta}}{r^2}\frac{a}{sin^2{\theta}}d{\theta}&=&\frac{{\mu}_0}{4\pi}\int_{0}^{\pi}\frac{sin{\theta}}{a}&=&\frac{{\mu}_0 I}{2{\pi}a}  \end{eqnarray}

となってarとすれば(2,3)式に一致します。
これより(2,4)式を単位ベクトル\frac{\mathbb{r}}{|r|}をかけ、
外積で表した(電流に対して右ネジを回す向きに方向を持つので)磁束密度ベクトル

d\mathbb{B}=\frac{{\mu}_0}{4\pi}\frac{\mathbb{I}ds \times \mathbb{r}}{r^3}

(2,5)
が導かれます。これをビオ・サバールの法則と呼びます。

4.チャクラの流れとチャクラ磁場

さて電荷の流れが電流であるように、
チャクラ荷の流れチャクラ流を考えたとき、
電流の周りに磁場が発生したように、
これとよく似たチャクラ磁場がチャクラ流の周りに発生したとしましょう。
作中ではあまり明らかにされていませんが、
チャクラを練るということは、チャクラに流れを与えると考えて、
もし電磁気と似た作用があるとするなら、
身体チャクラと精神チャクラは互いのチャクラの流れによるチャクラ磁場の作用で、
同じ方向に流れを揃え、互いが引き付けあう方向に力を働かせることで、
互いを吸着させた結果“練る”という形に結びついているのではないかと考えられます。
反対にチャクラの流れを対象と逆にすれば、
その対象に斥力が働くということになりますね。