429 『痛みを』

1.痛みを(1)

妙木山…ペインはガマの隠れ里であることを知っているようです。

「圧倒的な力の前では全てが無意味。
 お前たち大国が証明してきたことだ。」

ペインの術に対向して、足元にチャクラを集めますが、
大きな力の前には無力であることを――
火影である綱手に詰問するような形で突きつけます。

「この世界の主役だと思い上がり、死を遠ざけて考える。
 平和ボケして浅はかだ。人を殺せば人に殺される。
 …憎しみがこの二つを繋ぎ合わせる。」

連環した鎖を一周するように、永劫憎しみの輪は回り続ける――

「戦いとは、双方に死を傷を痛みを伴うものだ。」

痛み――それが道理だとペインは言います。

「私たち大国も痛みを受けてきた。
 言いがかりを付けてこんな事をするのはやめろ!」

しかし、それはペインの独善的な考え。
ペインが願うあるべき平和は、皆からすれば破滅なのです。
平和と破滅を履き違えて、塗り替えられた平和に導こうとするペインの考え方は、
“言いがかり”に過ぎないのです。
憎しみはなくならない――
先の台詞にもあるようにペインは分かっているはずです。
なくならない憎しみを潰すためだけに
幸福を無視して、喜んで破滅を招き入れる姿勢は、
ただの考えなしでしかありません。

「痛みを知らぬ者に本当の平和は分からん。」

そう言い残して空高く飛翔するペイン。
他の5体のペインも撤退します。
その中にはシズネの幽体を掴んだまま撤退する人間道ペインの姿も――。
シズネはぴくりとも動きません。
一方、里の外で待機していた本体の小南。
いち早く戻ってきた畜生道ペインは口寄せの術で他の4体を呼び戻しますが、
天道ペインが戻らないことに小南は何かを察します。

「ダメよ! あの術はアナタの命を縮める事になる!
 どうしてもやるのね…長門。」

神羅天征――他の5体の操りをといて、天道一体に集中するペイン――長門
ペインは火影の屋敷その周辺をまるで爆撃でもあったかのように、
小南の制止を振り切って、放たれたその術は
跡形も残らないような壊滅的な打撃を木ノ葉に与えます。
九尾相手でもここまで甚大な被害は出なかった木ノ葉の里。
ここにペインの恐ろしさが垣間見れるでしょう。

2.痛みを(2)

妙木山のガマの一匹が連絡ガマの名前が名簿から消えていることに気づきます。
ただちにナルトとフカサクへ報告。
木ノ葉で何かがあったことを察知します。
ちょうど木ノ葉近くへ食材の調達に出向いていたシマ。
報告を受け里を覗いてみると、
見るも憐れな状態になっています。
シマは早速口寄せの術を発動。
ペインが見下ろす無と化した荒野へ、
瓦礫に埋もれ、無力さと無念さからか涙を流す
サクラや木ノ葉の里の人々の想いを汲んで、
ようやくナルトが登場するのでしょうか。