423 『天道の能力』

.天道の能力

秋道一族を中心とする班が援軍として駆けつけ、
少々余裕を取り戻すことができたカカシ。

「相手の能力が何なのかを判断するまで
 変わり身と分身を使うカカシの常套手段。
 …前に組んだ時と変わってねーな。
 相変わらず巧みなやり方だ。」

チョウザは以前組んだときを思い出しつつ、
カカシをこのように評しています。
しかしカカシは必殺を狙い、巧みに戦ってはいるものの、

「もう雷遁影分身使っちゃたんで、
 チャクラ半分以上持ってかれてます。
 これほどの相手に長期戦はキツイってのが正直なところです。」

ペイン相手に長くは続かないと考えているようです。
とはいえ、カカシの戦闘にまわせる残存チャクラ量ですが、
土流壁や雷切に加えて、雷遁の遠距離攻撃、雷遁影分身と
かなりの忍術を駆使していてまだ半分ということは、
雷切数発で限界に達していた以前よりも、
雷遁にまわすチャクラが効率的になりカカシの進歩があった証拠だといえます。
しかしペインは倍化のパンチ、鎖鎌、風遁と思われる攻撃、
散弾手裏剣による包囲攻撃すらものともせず、
神羅天征により全ての攻撃をまるで拒絶するように弾き返します。

「奴の術は己を中心に物質を引き寄せたり、突き放したりするもののようです。
 言わば引力と斥力のようなものかと…」

前回私の記事【ペイン襲来4・カカシVSペイン】では空間の短縮などを考えましたが、
天道ペインの術神羅天征をカカシはこのように分析しています。
ところでこれはアイザック・ニュートンの二つの質点における万有引力を表す、


F=G\frac{Mm}{r^2}


F:力 G万有引力定数 M,m:質量 r:質点間距離


やシャルル・ド・クーロンによる荷電粒子間に働く静電気力、

F=\frac{1}{4\pi{\epsilon}_0}\frac{Qq}{r^2}


F:力 {\epsilon}_0:真空の誘電率 Q,q電荷量 r:荷電間距離


に似ているといえます。
電荷Q,qが異符号+と−であれば引力、同符号であれば斥力となるので、
どちらかというと静電気力の方に近いかもしれません。
いくつか考えられますが、
修羅道ペインは引き寄せられなかったり、斥力が存在したりするので、

  • (1)ナルト世界の地球の引力(重力ポテンシャル)を打ち消すほどの影響をもつ
  • (2)自分と任意の対象の間に作用を及ぼすことができる

と言えるでしょう。これらの詳しいお話は追々[忍術について]で触れることにします。
(またもや脱線気味になるかもしれませんが…)

「ただし連続ではその術を使用出来ないようです。
 次の術を発動するまでに少しの間インターバルがあるのは確か。」

またこの術は連続使用に短いようですがインターバルを要するようで、
カカシと忍班はこの隙を突いてペインに対して作戦攻撃をしかけます。
カカシは土を潜りペインに近づいてクナイを突き立てますが、
弾き返されてしまいます。そこを肉弾戦車で挟み撃ち。
しかし、インターバルには間に合わずまた弾き返されます。
それは想定の内で、術の反動を利用して鎖で縛ることに成功します。
ところでトラップとして地中から飛び出したこの鎖が吹き飛ばされなかったことは、

  • (2)自分と任意の対象の間に作用を及ぼすことができる

ということを考えましたが、ということから裏返しに、

  • 任意の対象のみに作用を及ぼすことができる

ということなのかもしれません。つまり鎖はペインの想定外で、
神羅天征における《任意の対象》の蚊帳の外だったわけです。
天道ペインの動きを封じたところを狙って雷切で貫こうとしますが、
そこを修羅道ペインが盾となって防ぎます。
まるでパーツを持った人形(サソリの傀儡にも似てます)のように分解する修羅道ペイン。
サイボーグ、改造人間だったようです。
修羅道ごと天道も貫こうとしますが間に合わず、
班員も含めカカシ達はやられてしまいます。

「影分身でないことは分かっている。
 …確実に死んでもらう。…終わりだ。」

瓦礫に埋もれ身動きが取れなくなったカカシを、
天道ペインは引力によって引き抜いた釘を使って、
斥力で弾丸の様に飛ばして打ち抜きます。


来ることはない連絡蛙を待ち、ナルトが里の心配をしてる最中、
暗転していく木ノ葉の里。カカシは果たして無事なのでしょうか。
そしてナルトは駆けつけることができるのでしょうか。